182.ファイアー
「お、ぁあああぁぁああ‥‥」
今、俺の目の前にはキャンプファイヤーがあります。いや、もう既に火柱‥‥、それとも火炎放射か?
穴に入れた枝と丸太はあっという間に赤くなって燃え、空まで届くほどの火柱になった。熱風が肌を撫でる。熱い‥‥。
ここまでするつもりは無かったのに、なんでこんなことになったのか。圧縮木炭のせいか?それとも、丸太を入れたのが悪いのか。はたまた、花のボールが多すぎたのか。原因は特定できないし、もしかしたら、全部かもしれない。
あまりにも勢いが強すぎて、火の粉も飛んでいない状態だ。逆に言えば、森に火が飛んで大火事になることは無い。多分‥‥。
こんなに燃えているのに何故か弱まる気配もない。どうしてこうなった。
「良し、こうなれば」
エリマキとスネアテに、俺の後ろを着いてくるように頼んだ。手に口を当てたり話したりして、高い声を上げる。
「あ、わ、わ、わ、わ、わ、わ」
そしてカクカクしながら、火の周りをまわる。本当なら、ここで太鼓とかの楽器があれば良かったんだけど、無いからしょうがない。
良し、エリマキ!鳴け!
「にゃ、にゃーん」
小さな声で何だかエリマキは恥ずかしそうだった。
今度はスネアテだ!!
シュー!!
スネアテは大きな音を立ててくれた。
そして、俺も「わわわわ」と高い声を上げながら、カクカクする。
その様子を見ていたウィルが参加してきた。
「わぉおおおん!」
鼻息を荒くしつつウィルは俺の真似をして、頭を上下にカクカクする。
4人で火の周りを回った。先生に声を掛けられるまで‥‥。
「何してる?」
先生の純粋な疑問に俺は立ち止まる。
「えっと‥‥」
答えられなかった。部族の祭りごっこです、なんて言えない。我に返ると、今までの事が急に恥ずかしくなった。
「あ、一緒に回りませんか?」
恥ずかしくなったが、とりあえず、誘ってみた。先生もまざれば、今出来たこの羞恥心も消える!はずだ!!!
「やらん」
「ぎゃっ」
俺の心に羞恥心が襲ってきて大ダメージ!
ウィルが立ち止まった俺の身体を鼻先で押して、もうやらないのかとせっつく。スネアテも意外に楽しかったらしく、足に絡みつく。
「もうやりません‥‥」
エリマキは俺の言葉にホッとして、森の中に一目散に逃げていった。そんなに恥ずかしかったんですか?付き合わせてごめんね‥‥。
ウィルとスネアテは不満そうだった。ウィルに何度も背中を押されて、無理矢理進まされるが、自発的に動くことはしない。羞恥心に気づいたら、もう出来ないよ‥‥。
こうしてる間も、火は止まることなく、空に届きそうなほど燃えていた。




