180.摘み
花を摘む。それは意外にも体力を使うものだった。
「疲れる!腰が痛くなりそう!!」
中腰の姿勢になったり、あるいは地面に寝そべってりして、ちまちまと花を摘み、籠に入れていく。肉塊に刺すのは、花を全部積んでからでいいだろうと後回しだ。
バランスを崩せば、穴に落っこちそうになるので、注意しなければならない。既に何回か落ちそうになって、フレッドに助けてもらっているうちにフレッドが監視役として、ついて回るようになってしまった。それはまるで落ち着きのない子供と親のようだった。勿論、俺が落ち着きのない子供の方だ。
最初は花を根っこごと引き抜いてから、摘めばいいなんて思っていたが、そんな簡単なものでは無かった。
一度フレッドに頼んで、引き抜いたら、花がちらちらと散り始めた。舞う花びら。残ったのは茎と根だけ。綺麗だったけど、一つの畑を無駄にしてショックを受けた。
なのでこうして、ちまちま摘んでいるのだ。無駄にしないように。
エリマキはやることが無くなって、暇になったのか森に遊びに出かけてしまった。それについていくスネアテ。
先生は肉塊を製造中。どんだけ作らせるつもりなんですか?そんなに気にいったんですか?
ウィンは穴に水を入れ終えたが、疲れたのか、遠い目をしてどこかを見ている。お疲れ様です。
ウィルはふんすふんすと鼻息が荒くしながら、熱い眼差しで俺達を見ていた。
エミルは取り終えた塩の花の根を食べている。それ、美味しい?俺はちょっと気になってぱくりと食べてみた。
土が一緒に口の中に入って、じゃりじゃりする。美味しくない。硬くて、しなっていて、繊維質で木をかじっているような感覚だ。噛み切れない。味は無味で、しょっぱくないのが意外だった。花と同じとはいかないまでも、塩味がついているものだと思っていたから。
フレッドを見ると、呆れたような目をされた。その後にぽこんっと優しく頭を叩かれる。俺はガムのように噛んでいた根っこを飲み込んだ。ほんのちょっとしか食べてないからセーフ!
良し、ここはあの歌でも歌おう!
「夏も近づく八十八夜~」
茶摘みっていうか、花摘みだけど。気分は茶摘み。
‥‥なんかずっと、草摘んだり、果物摘んだりしてる気がする。で、今日は花を摘んで。このゲームって摘みゲーなのか?皆何かしら摘んでるんじゃ?何を摘んでいるのか、他の人の内容が気になる。でも、見れないしなぁ。エルドさんに頼めばワンチャン見せてもらえるかな?
それともこの摘みゲーは俺だけなのか?




