179.塩の花畑(17日目)
塩釜で作った肉を皆で分けて食べたあと、俺はログアウトした。そして、夕飯を食べた。その夕飯のメニューは、ローストビーフ丼だった!なんと、エルドさんが太郎さんに依頼をしてくれていたようだった。
味はすっごく美味しかった。タレも旨いし、多分これは自分では作れないだろうなぁ。いや、現実で出来なくても、向こうだったらワンチャンいける気がする!そうか、あの肉はまだ未完成品だったか。この旨さを目指すにはソースも作らなければ‥‥。って俺はどこを目指してるんだ?
朝はローストビーフを使ったサラダも出てきて、この豪華さにちょっと王様気分になった。
「さーて、今日は何しようかな」
俺はDWMにログインする。
しかし、ログインして小屋の外を見て、後悔することになる。
「な、な‥‥」
言葉が出なかった。絶句とはこういうことを意味するのだろう。小屋の外の地面は、穴ぼこだらけ、そこに目一杯に詰め込まれたスライムたち。スライムたちは逃げ出そうとしても、エリマキやスネアテ、ウィルに押し戻され、更にはそれに先生まで参加している。これ、何の儀式だ?
俺は駆け寄り、尋ねた。
「な、何してるんですか?」
「昨日の肉が美味しかったから、もっと作れ。あの花があれば作れるんだろ?」
いや、作れますけどもぉ。
一番端から順にウィンが死んだ魚のような目をしながら、淡々とスライムが入った穴に水を入れている。きっと今の俺も同じ目をしていることだろう。先生は人使いが荒い‥‥。
フレッドやエミルは口に咥えている塩の花を水の入った穴に落としていく。潰れないように力加減を調整しているところをみて、俺は器用だなと思った。俺だったら、くしゃっと潰しそうだ。
塩の花は水を吸うと、ぐんっと成長する。根を生やし、そこから茎を生やし、花を咲かせる。まるで植物の早送り動画を見ているようだ。
「これだけあれば足りるか?」
「ハイ、足ります」
足りないと言ったら、きっと木を切り倒し、穴を増やすのだろう。なんという環境破壊。塩釜焼きの為に環境が壊される光景なんて、見たくはない。先生にそんな事させたくもない。
徐々に増えていく塩の花の畑。畑?いや、水で増やしてるから水田?花に水田?良く分からないけど、とりあえず語呂が良い塩の花畑とでも呼ぼう。
塩の花畑は綺麗だった。いろんな色の花が咲いていて、まるで地面に咲いた花束のようだ。この量の花を俺が摘んで肉塊に刺さなければいけないなんて考えなければ、綺麗だった。




