178.美味しいお肉
9人分に肉を切り分ける。
不器用なせいで大きさはちょっとバラバラになってしまった。もっと均等に切り分けるはずが‥‥。
「あー、とりあえず一番大きいのが先生で、2番目がエリマキ、えっと3番目は、というかここは大きさは同じくらいに削って、フレッドとウィンとウィル、ついでにエミル。んで、一回り小さくなったやつはスネアテで、一番小さいのと削りカスは俺の」
先生が大きいのは、当たり前。大きめと言っても、当社比だけど。後の分配加減は俺の依怙贔屓だ!ゴメンね、皆。俺が不器用なばっかりに。
さてさて。切り分けの分配も終わったことですし、最初の一口は作った奴の特権ってことで、いただきます!
俺は削りカスの肉をつまんで口に運んだ。
「んーーーっま!」
塩加減も丁度いいし、こう、香り?香辛料も強く主張してるわけでもなく丁度いい。噛むごとにジワリと肉汁が染み出てくる。肉の味は多分、豚肉よりも牛肉に近い、多分。
削りカスでこれ何だから、肉の真ん中の方はもっと美味しいんだろうなぁ。
「おい」
俺が味わっていると、先生から催促が来た。
「あ、はい」
俺は先生用の肉を皿に乗せて渡そうとしたが、先生は待ちきれなかったのか、自分の分の物が分かるとさっさと手で掴んで一口に飲み込んでしまった。
その大きさを良く一口で食べられたことと、肉を取っていく素早さに驚き目を丸くする。
「美味しいですか?」
「おいしい」
うむっと、顔を大きく縦に振り頷いていたので、かなり美味しいと感じたのだろうと推測した。
「にゃあ」
「わ、待ってね」
エリマキがズボンの裾を爪でひっかけて、俺を呼ぶ。今度こそ皿に乗せてエリマキとスネアテに提供した。
ハグハグと肉を食いちぎりながら口に頬張るエリマキの姿を見て、嬉しくなる。
スネアテは何故か一口食べた後、エリマキを見て食べるのを止めてしまった。
「どうした?」
スネアテは何かを伝えようとしていた。鱗を擦ってみたり、エリマキと肉を交互にみたり、俺をジッとみたり。
伝えてくれてる感情を読み取ろうとしても、上手くできなかった。なんか、邪念みたいなものが混ざってる‥‥。
「んぁー?」
エリマキはそんな俺の困惑している姿を見て、ため息を吐いたあと、蛇の姿になった。すると、スネアテは器用に尻尾で皿をエリマキの方に寄せる。
「あぁ、エリマキにあげたかったのね。‥‥美味しくなかった?」
俺の質問に答えるように、首を横に振った。多分、これは美味しかったってことで良いのか?
小屋の外にいるフレッド達は俺が外に出ようとすると、入口の前で鼻の押し付けれて潰れかけたので、先生に肉を渡した。
先生が肉を持つとフレッド達は、小屋から離れてお行儀よくお座りする。先生がぴょいっと肉を投げると、一人ずつ順番にジャンプしてキャッチする。
犬がフリスビーをキャッチするというよりは、さながら、水族館のシャチが輪を通り抜ける芸だった。大きさといい、躍動感といい、まんまそれだった。
明けましておめでとうございます。




