177.お腹が空く
「おい」
先生に声を掛けられて、閉じていた目を開ける。
目の前にあった焚火やほとんど燃料と化していた花のボールの火が消えていた。辺りの陽もすっかり落ちた事にすら気づかなかった。
あれ、もしかして寝てた?
焚火の心地よい暖かさと花の香りで眠くなり、目を瞑った事は覚えているが、本当に寝るつもりは無かった。
「ヤバっ」
俺は慌ててステータス画面を開き、時間を確認する。ゲームが出来る時間は決まっている為、それを過ぎると、ペナルティを食らう。それだけは勘弁したい。
「え?」
俺の心配とは裏腹に、ゲーム出来る時間内だった。それどころか、ログインしてまだ数分しか経ってない。
「何、どういうこと?」
俺は、ログアウトしたつもりはないが、これの時間だとログアウトしてまたログインした状況になっている。つまり、これは‥‥。
どういうことなんだ?
「ニャ~?」
不安そうな俺にエリマキが鳴いた。エリマキを安心させるために、頭を撫でる。
「ダメだ、さっぱり分からん」
無い頭で考えてもどうせ答えは出ないんだから、考えるのは止めよう。そう、多分、眠ると休憩に見なされるんだろう。きっとそう言うことだ。
俺はステータス画面を消して、目の前の黒焦げボールを注視する。
「良し。食べれるかどうかだけでも確認しよう」
黒焦げボールの串を持って、小屋の中に入る。エリマキやスネアテ、先生も後ろをくっついて歩く。
残念ながら、フレッド達は大きさゆえに小屋の中には入れない。フレッド達の残念そうに耳が垂れる。
テーブルの上に黒焦げボールを置き、ナイフで少しずつ、黒焦げを剥がしていく。
最初はあまりにもガチガチに焦げてしまって、凄く硬かった。まるで金属でも削ってるような感覚だった。ナイフが刃こぼれしなくて良かった。
真っ黒な部分が終わり、焦げ茶色くらいになると、手で持てる大きさになった。手を傷つけないようにゆっくりと、じゃがいもの皮をむくように削っていく。硬さは木くらいの硬さだ。
「ふぅ」
全体が茶色の塊になると、肉の感触や弾力に戻って来た。大きさは俺の拳より一回り大きいくらいしかない。
その肉の塊を半分に切った。想像以上だった。
「わぁ!!」
中はピンク色でジワリと透明な肉汁が出てくる。焼けた肉の匂いが部屋中に漂う。
グゥー
お腹の音が小屋の中からも外からでも聞こえてきた。多分、この匂いが外まで漂っていったんだろう。
分かる、分かるよ、この匂いはお腹すくよなぁ!!まぁでも、一人一口分しかないんですけどね!




