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赤の空  作者:
旅の終点
39/53

6.

そのタイミングを見計らったかのように湧き出した泥人形たちに、世界の悪意を感じるなとマナファナは思った。思ってから顔をしかめる。世界に悪意も善意もあるものか。世界はただただ自動的だ。受動的でそこに意志などない、はずだ。


「‥‥懲りないな」


しゃがみこんだままマナファナも左手の剣を構えるが、それよりソノリアが疾るほうが余程速くて正確だった。またあの、慣れない、ひやりとする目をしているのが分かった。分かったが、彼が見せるのは背中ばかりだ。温度のない目が、マナファナに向けられることは決してない。何故だろう、こんなに信じてしまうのは。


ものの5分と立たず、湧き出したものたちはすべて空気に解けた。


振り返ったソノリアは、一瞬だけは冷たさを纏っていたけれど、すぐに慣れた立ち姿に戻ってくれた。それにほっと息をついて、立ち上がる。いつの間にこんなに弱くなっていたのだろう。守られている、それを当然と思うような自分ではなかったはずなのに。


「‥‥行くの?マナファナ」


応えず、じっとソノリアを見る。戸惑ったように見返す彼の姿に、どうしてか羞恥を覚えて、始めたのと同じような唐突さと身勝手さで目を逸らせた。


「‥‥行くよ」


「‥‥そうだね」


不審な挙動に疑問を覚えただろうに、特にそれを口に出すことなく、ソノリアは町を背にするマナファナの隣に立った。同じ方向を見ている、そこにあるのは相変わらずの荒野だけれど、目的の地が近いことは、よくよく感じられた。


怖いのだ。


そこにあるべきものを、マナファナはよく知っている。


かつてシフォの目でそれを見て、結局背を向けて逃げ出してから、一度も見ることのできなかったその場所へ、マナファナは還ろうとしている。


「‥‥行くさ」


果たさなければならなかった約束を、果たすために、足を踏み出した。


怖いほど真剣な眼で、その横顔をソノリアが見つめていたことには、気付かないことにした。

ソノリアが無暗に強すぎて、マナファナが傷つかなくて話にならない‥‥

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