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赤の空  作者: 岩
旅の終点
38/53

5.

「‥‥マナファナ‥‥」

 彼は何も言わないし、聞かない。その気持ちが嬉しくもあり、哀しくもあった。


 ただ何かを言いた気に、静かに見つめるその目を見返して、マナファナは拳を握った。震えは、無理矢理だが、止まる。


「‥‥もぅ大分近い。‥‥行こう」


 驚いたようにソノリアは瞬いた。


 マナファナは苦笑した。そういえば、ついて来られるのが当たり前で、自分から誘ったことはなかったな、と思った。邪魔にしてはいなかったけれど、求めたわけでもなかった。


 それから、今度は本当に微笑んだ。


「‥‥行こう。ついて来てほしい。見届けて、ほしいんだ。‥‥お前にはひどいことばかりしてしまうな‥‥」


 自分が何を望んだのかに思い至り、微笑みは悲しい色を帯びる。


「‥‥大丈夫だよ」


 何が起こるかは知らないだろう。


 けれどもしかしたら分かっているのかもしれないと思った。


「大丈夫。何が起こっても‥‥僕は、絶対、君の味方でいるから。‥‥頑張るから。誓うよ‥‥」


 あぁ、やはり分かっているのか。分かっていて、それでも見届けてくれるのか。


 自分の心の中に、すべてが落ち着いた。今はじめて覚悟が決まったんだと分かった。


 大丈夫。これなら、誇りを持って


 死ねる。

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