5.
それから、台所にすら立つことを許されなくなった。
「‥‥いよいよ虜囚じみて来たわねー‥‥」
マナファナはぽつりとつぶやいた。今日はコーニアの家に遊びに来ている。と言っても隣の家だし、なのに相変わらずテヘトはついてきていたし、コーニアの5人の兄たちもいるし、娘2人で水入らず、とはいかない。
「だってしょうがないじゃない。あんな怪我なんてするんだもの」
あきれたように、茶器を手で包みながらコーニアが言った。このお茶も、それは茶会の会場が彼女の家であるから当然とも言えたが、コーニアが淹れたものだ。最近はお湯を沸かすことすら1人でさせてもらえない。お茶うけも、以前だったら色気も何もなく果物とナイフが出てきたりもしたのだけれど、今日のものは既製品のクッキーだ。そりゃクッキーも好きだが。
ではなくて、本格的にマナファナの身辺に凶器となりえるものを置かない方針になったらしい。
(意味なんてないのに)
「そりゃそうだけどさ、ちょっと滑らせただけじゃん」
「あれをちょっととか言われると、ちょっと苛つくんだけど」
本当に心配したんだからね、と怒ったように言われて、膨れて見せていたマナファナはすぐに表情を変えた。
「‥‥ごめん」
申し訳なく思う。
女性は本当に産まれにくくなっているから、コーニアとマナファナと、同い年の娘がこんなに近所に揃っているのは稀有なことと言えた。だからこそ2人は貴重な友人同士だし、それぞれの保護者達から大事に大事にされている。その気持ちを蔑にしてよいわけはない。
「‥‥でもさ、学校にも行かしてもらえないなんてさ」
「‥‥それはわたしも淋しいけどさ‥‥」
確かにマナファナの不注意ということになっているし、真実から言ってもマナファナが悪いのは確かだが、さらに息苦しくなったことも確かだ。
「あ、でも、わたしも学校辞めるし」
マナファナにとって、身内からのこの心配は重苦しいだけのものなのに、この友人にはそうでもないのか、彼女はあっさりとそう言った。
「え。
‥‥私のせい?」
確かにセットで扱われることが多い2人だから、セットであればと通学を許されていたような気もするが、だからと言ってその措置はどうなんだ、とマナファナは思ったが、コーニアは軽く笑った。
「でもわたし、もともとそんなに勉強好きじゃないし」
だからごめんね、とコーニアは笑った。
「マナファナのおかげって言ったら嫌な感じだけど、でも丁度良かったのはホント」
それは清々したといった表情で、マナファナは反応に困ってしまった。




