↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/132

第99話 年の瀬と小さな発見


共同研究が始まって数週間。五人は週に一度、ローランドの研究室に通いながら、学園生活との両立に励んでいた。


「今日は、魔力の蓄積構造について、もう少し掘り下げてみましょう」


ローランドが黒板に、複雑な図を描き始める。


「魔石の内部には、微細な魔力の通り道があるのですが、この通り道の形状によって、魔力の保持力が大きく変わるのです」


「なるほど、通り道の形状か……」


ニコラスが真剣な表情で図を見つめる。


「では、魔石に特殊な加工を施して、通り道の形を整えることはできないでしょうか」


ソフィアの問いに、ローランドは感心したように頷いた。


「実に鋭い着眼点ですな。理論上は可能ですが、実際にやるとなると、かなり繊細な作業になります」


「試しに、小さな魔石で実験してみませんか?」


ニコラスの提案に、皆が頷いた。


早速、実験用の小さな魔石が用意され、五人はそれぞれの持ち場で作業を始めた。


「この角度で、魔力を流し込んでみる……」


ソフィアが慎重に魔力を操作する。細やかな魔力の流れが、魔石の内部へと吸い込まれていく。


「どうですか?」


「魔力の反応、今のところ安定しています」


エミリーが記録用の魔道具を確認しながら報告した。


「ふむ、これは興味深い。通常なら、この段階で魔力が漏れ始めるはずなのですが」


ローランドが目を輝かせながら、実験の様子を見守る。


しばらくして、魔石に蓄積された魔力の量を測定すると、通常の約一・五倍の数値が記録されていた。


「一・五倍!? すごいじゃないか!」


フェリックスが驚きの声を上げた。


「まだ、小さな魔石での実験ですが、これは大きな一歩ですな」


ローランドが感慨深げに頷く。


「この技術を応用すれば、マナレス・ランプの持続時間も、大幅に伸ばせるかもしれませんね」


ソフィアが嬉しそうに言った。


「ええ、その可能性は十分にあります。皆様のおかげで、長年の課題に、ようやく光が見えてきました」


ローランドの言葉に、五人は互いに顔を見合わせ、喜びを分かち合った。


その日の帰り道、王都の街は、年の瀬の賑わいに包まれていた。屋台には、色とりどりの飾りや、年越しの品々が並んでいる。


「もう、年末なのね。時間が経つのは早いわ」


シャルロットが感慨深げに呟いた。


「本当だな。学園に入ってから、あっという間だった」


ニコラスも、街の賑わいを眺めながら頷く。


「そういえば、年越しは、皆で一緒に過ごさないか?」


フェリックスの提案に、皆が顔を輝かせた。


「いいわね! 賑やかで楽しそう」


「私も、ぜひ」


「わたしも、参加したいです」


「じゃあ、決まりだな。場所は、また考えよう」


フェリックスの言葉に、皆が笑顔で頷いた。


冬の夕暮れの空の下、屋台の灯りが、温かく街を照らしている。その光景を眺めながら、ニコラスは、この穏やかな時間が、少しでも長く続いてほしいと、心から願っていた。


街を歩きながら、五人は屋台を冷やかして回ることにした。


「見て、この飾り、綺麗ね」


シャルロットが、小さなガラス細工の飾りを手に取った。


「お、いい趣味してるな」


「でしょう? これ、部屋に飾ったら素敵だと思うの」


「買っていったらどうだ?」


「そうね、せっかくだから」


シャルロットが嬉しそうに購入する様子を見て、ニコラスも微笑んだ。


「ソフィアは、何か気になるものあったか?」


「あの、この小さなランプ、すごく可愛いなと思って」


ソフィアが指差したのは、手のひらサイズの、素朴な作りのランプだった。


「マナレス・ランプの、小型版みたいな感じだな」


「はい、もし小さいサイズも作れたら、お子さんの枕元とかに置けて、便利かなと」


「それ、いいアイデアだな。次の新作の候補にしてもいいかもしれない」


ニコラスの言葉に、ソフィアは嬉しそうに頷いた。


「エミリーは?」


「わたしは、母への贈り物を探しています。何か、温かいものが良いかなと」


「それなら、あそこの店、暖かい手袋が売ってたぞ」


フェリックスが指差すと、エミリーは目を輝かせた。


「本当ですか! 見てきます」


嬉しそうに駆けていくエミリーの後ろ姿を、皆が微笑ましく見守っていた。


屋台の温かい飲み物を片手に、五人は街の広場のベンチに腰を下ろした。冷たい風の中、湯気の立つカップが、心地よい温もりを与えてくれる。


「今年も、本当に色々あったな」


ニコラスがしみじみと呟いた。


「グラント商会に、クレイン商会に、フェアに……。一年間で、こんなに色んなことがあるなんてね」


シャルロットが指を折りながら振り返る。


「でも、全部、良い思い出になりましたね」


ソフィアの言葉に、皆が頷いた。


「来年も、こうして皆で過ごせたらいいな」


「もちろんよ」


シャルロットが力強く頷き、他の三人も、それぞれ笑顔で応えた。その温かい空気に包まれながら、ニコラスは、確かな幸せを噛み締めていた。


冬の夜空に、白い息が、ふわりと溶けていった。賑やかな街の喧騒も、今の五人には、どこか心地よい子守唄のように聞こえていた。


第100話へ続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。