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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第90話 準備の追い込み


学園祭まで残り一週間。教室には、これまで以上に活気が満ちていた。


「よし、展示パネル、大体できてきたな」


フェリックスが完成間近のパネルを眺めながら言った。マナレス・ランプとストックアイズ、それぞれの開発秘話や特長が、わかりやすくまとめられている。


「ソフィア様、実演の練習、いかがですか?」


エミリーの問いに、ソフィアは少し緊張した面持ちで頷いた。


「はい、少しずつ、慣れてきたと思います。でも、まだ本番を想像すると、緊張してしまって……」


「大丈夫、ソフィアの説明、本当にわかりやすいから」


ニコラスの励ましに、ソフィアは嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとうございます。頑張ります」


「よし、それじゃあ、もう一回、実演練習してみようか」


ソフィアが試作機を手に取り、練習用の説明を始める。


「こちら、マナレス・ランプは、魔力を一切使わずに点灯する画期的な魔道具です。魔力操作が苦手な方でも、安心してお使いいただけます」


「いいぞ、その調子だ」


フェリックスが客役になって、質問を投げかける。


「これ、値段はどれくらいなんだい?」


「はい、詳しい価格につきましては、魔道具ギルドの窓口にてご案内しております。本日は、実際の性能を、ぜひお試しください」


「おお、スムーズな受け答えだな」


「本当に、上達してますね」


エミリーも感心したように拍手を送った。


シャルロットは、展示ブースのレイアウトの最終確認をしていた。


「うん、この配置なら、来場者の動線も良さそうね」


彼女が丁寧に描いた配置図には、装飾用の花や、目を引く看板のデザインまで、細部にわたる工夫が凝らされていた。


「シャルロットのデザイン力、本当にすごいな」


ニコラスの言葉に、シャルロットは得意げに笑った。


「当然でしょ! お客様の目を引くには、こういう細部へのこだわりが大事なのよ」


賑やかな準備風景の中、フェリックスがふと思い出したように言った。


「そういえば、当日は、ガレスも見に来るって言ってたぞ」


「本当ですか!」


エミリーが嬉しそうに声を上げる。


「ああ、剣術部の出し物もあるみたいだけど、時間を見つけて寄ってくれるらしい」


「楽しみです」


そんな話をしながらも、作業の手は止まらなかった。日が暮れる頃には、展示ブースの準備が、着実に整っていった。


「よし、これで、あとは当日を迎えるだけだな」


「はい、頑張りましょう」


教室を出て帰る道すがら、ニコラスは今日一日の充実感を、静かに噛み締めていた。


「なあ、皆」


ふと立ち止まり、ニコラスが振り返った。


「この一年、本当に色々あったけど……学園祭、絶対成功させような」


「もちろんよ!」


「当然だな!」


「はい、頑張ります!」


賑やかな声が、夕暮れの校舎に響き渡る。グラント商会、クレイン商会との騒動を乗り越え、数々の発明を成し遂げてきた五人にとって、学園祭は、これまでの集大成とも言える、特別な舞台になろうとしていた。


その夜、寮の食堂で、五人はささやかな決起集会を開くことにした。木のテーブルを囲み、いつもより少し豪華な料理を並べながら。


「かんぱーい!」


フェリックスの音頭で、果実水のグラスを掲げる。グラス同士がぶつかる音が、静かな食堂に心地よく響いた。


「学園祭、絶対に成功させましょうね」


ソフィアの言葉に、皆が力強く頷いた。その声には、これまでの努力への自信が、確かに滲んでいた。


「にしても、この一年、本当に色々な発明をしてきたわよね」


シャルロットがしみじみと振り返る。夕食を終えても、その日の余韻は、なかなか冷めそうになかった。


「保冷魔道具から始まって、マナレス・ランプ、ストックアイズ……。数えてみると、結構な数だな」


フェリックスが指を折りながら数え上げた。その一つ一つに、忘れられない思い出が詰まっていた。


「全部、皆さんと一緒に作り上げたものですね」


エミリーの言葉に、ニコラスも深く頷いた。


「一人じゃ、絶対にここまでこられなかった。皆のおかげだよ」


「何よ、改まって。柄にもないこと言うじゃない」


シャルロットが少し照れくさそうに言いながらも、その表情には、確かな嬉しさが滲んでいた。フェリックスとソフィア、エミリーも、同じように温かい笑みを浮かべていた。


「学園祭が終わったら、また次の発明について、皆で話し合いましょう」


ソフィアの提案に、皆が期待に満ちた表情で頷いた。その目には、まだ見ぬ次の挑戦への、確かなワクワク感が宿っていた。


「次は、どんなものを作ろうかな」


「私も、色々アイデア考えてみるわ」


「わたしも、母のお店以外の視点からも、色々提案できたらと思います」


それぞれの言葉には、次への挑戦を心待ちにする、確かな熱意が込められていた。


賑やかな会話が、夜遅くまで続いた。窓の外に広がる星空の下、五人の絆は、また一段と、確かなものになっていた。学園祭という新たな舞台に向けて、それぞれの心には、確かな期待と決意が満ちていた。


第91話へ続く


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