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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第77話 調査の進展


証拠を提出してから数日後、バルトロさんから経過報告の連絡が入った。


「皆様、お集まりいただき感謝いたします。クレイン商会の件、調査が進んでおりますのでご報告を」


会議室に集まった五人を前に、バルトロさんが資料を広げた。


「エミリー様のお母様以外にも、複数の下請け業者から、同様の被害報告が寄せられております。総数、確認できただけで七件」


「そんなに……」


「はい。しかも、証言を集める中で、興味深い共通点が見つかりました」


バルトロさんが一枚の書類を指し示す。


「被害に遭った業者は、いずれも、以前グラント商会と取引があった業者ばかりなのです」


「グラント商会と取引があった業者を、狙い撃ちにしてるってことですか?」


ニコラスの問いに、バルトロさんは頷いた。


「その可能性が高いと見ております。おそらく、グラント商会時代の顧客リストを、そのままクレイン商会が引き継いでいるのでしょう」


「なるほど……。だから、うちの母のお店も標的にされたんですね」


エミリーが納得したように呟いた。


「今回は、証拠固めも順調に進んでおります。しかし、一つ問題がございまして」


「問題、ですか?」


「クレイン商会の代表者が、非常に用心深い人物でしてな。表立った違法行為の証拠を、なかなか残さないのです。今のところ集まっている証言だけでは、正式な処分に持ち込むには、いささか力不足かと」


「じゃあ、どうすれば……」


「決定的な証拠が必要です。できれば、実際の取引の場での不当な要求の様子を、直接確認できるものが望ましいのですが」


その言葉に、フェリックスがふと何かを思いついたように顔を上げた。


「なあ、それって、エミリーのお母さんの店で、実際に交渉の場に立ち会えれば、証拠が取れるんじゃないか?」


「フェリックス様……」


エミリーが不安げな表情を浮かべる。


「危険はないでしょうか」


「もちろん、無理強いはできません。あくまで、お母様のご意向次第です」


バルトロさんが慎重に言葉を選んだ。


その日の夕方、五人は再びエミリーの母親を訪ね、事情を説明した。


「なるほどね……。私にできることがあるなら、協力させてもらうわ」


母親は意外にも、力強くそう答えた。


「お母さん、危険じゃない?」


「大丈夫よ。それに、このまま泣き寝入りしていたら、また別の誰かが同じ目に遭うかもしれないでしょう。それは、看過できないわ」


母の毅然とした態度に、エミリーは目を潤ませた。


「わかりました。それでは、次回の交渉の際に、記録用の魔道具を用意させていただきます」


バルトロさんが早速、記録機能付きの小型魔道具の手配を進めることになった。


「これなら、会話の内容を正確に記録できます。証拠として、十分な効力を持つはずです」


「準備が整い次第、決行しましょう」


ニコラスの言葉に、皆が真剣な表情で頷いた。


数日後、クレイン商会からの定期訪問の日程が確認された。決戦の日は、思いのほか早くやってくることになった。


「よし、皆、油断せずにいこう」


「ええ、絶対に証拠を掴んでみせるわ」


緊張と決意が入り混じった空気の中、五人は静かに、その日を待つことになった。


会議室を出た後、フェリックスが少し心配そうに口を開いた。


「なあ、記録用の魔道具、こっそり仕込むわけだけど、相手にバレたりしないよな?」


「バルトロさんが用意してくれるものなら、その辺りもしっかり考慮されてるはずだ」


「まあ、そうだよな」


「それより、当日、お母さんが一人で対応するのは、やっぱり不安だわ」


シャルロットが眉をひそめる。


「私も、できれば近くで見守りたいです」


エミリーの申し出に、ニコラスも頷いた。


「バルトロさんに相談してみよう。もしかしたら、店の奥に控えるくらいなら、問題ないかもしれない」


翌日、改めてバルトロさんに相談すると、意外にも前向きな返事があった。


「なるほど、それは良い考えかもしれません。ただし、決して姿を見せず、あくまで記録と見守りに徹していただくことが条件です」


「わかりました。絶対に、余計な行動は取りません」


「それと、万が一の際にすぐ動けるよう、商業ギルドの人間も、近くで待機させておきます」


「心強いです、ありがとうございます」


こうして、決行に向けた準備は、着々と整っていった。


その夜、エミリーの部屋に集まった五人は、改めて当日の役割分担を確認していた。


「私は、店の奥で記録係。フェリックスとニコラスは、店の外で待機。何かあったら、すぐに駆けつけて」


シャルロットが計画を確認するように言う。


「私も、母のそばで、できる限りサポートします」


エミリーの言葉に、皆が頷いた。


「よし、これで準備は万端だな」


「あとは、本番を待つだけね」


窓の外に浮かぶ月を見上げながら、五人はそれぞれの想いを胸に、静かに夜を過ごした。明日への緊張を抱えながらも、それぞれの心には、確かな覚悟が宿っていた。決戦の日は、もう目前まで迫っていた。




第78話へ続く


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