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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第57話 商業祭準備、始動


「よし、王都商業祭まで、あと三週間だ。準備、本格的に始めるぞ!」


放課後の空き教室に集まった四人を前に、フェリックスが張り切った声を上げた。テーブルの上には、バルトロさんから預かった企画書や資料が山積みになっている。


「まず確認だけど、俺たちが出展するのって、保冷魔道具だけでいいのか?」


ニコラスの問いに、フェリックスが資料をめくりながら答える。


「いや、バルトロさんが言うには、新作もあると盛り上がるってさ。何か新しい魔道具、考えられないか?」


「新作か……」


腕を組んで考え込むニコラスに、ソフィアがおずおずと手を挙げた。


「あの、提案があるんですけど……」


「なに、ソフィア?」


「実は、実習で作った『自動温度調整ティーポット』、あれをもう少し改良したら、面白い商品になるんじゃないかと思っていて」


「ティーポットを?」


「はい。温度調整の技術に、もう一段階、香りを保つ機能を加えられないかなと。魔力で密閉空間を維持する仕組みを応用すれば……」


ソフィアが図面を描きながら説明する様子は、普段の控えめな態度からは想像もつかないほど生き生きとしていた。


「これ、いいんじゃないか? 茶葉の輸送とか保存にも使えそうだ」


「本当ですか……!」


「ソフィア、お前、実は才能の塊なんじゃないか?」


フェリックスの称賛に、ソフィアは頬を赤らめながらも、まんざらでもなさそうだった。


「じゃあ、私は何を担当すればいいのよ」


シャルロットが少し不満げに口を挟む。


「シャルロットには、デザイン面を頼みたいな。魔道具の機能はもちろん大事だけど、見た目の美しさも商業祭では重要だろ」


「デザイン……! それなら任せなさい! 社交界で培った美的センス、見せてあげるわ!」


急に自信満々になったシャルロットに、フェリックスが小声でニコラスに耳打ちする。


「単純だよなあ、シャルロットって」


「うるさい、聞こえてるわよ!」


「地獄耳か!」


賑やかなやり取りが続く中、作業は着々と進んでいった。ソフィアの設計図をもとに、ニコラスが魔法陣を組み立て、シャルロットが外装のデザインを描き起こす。


「ねえ、この持ち手の部分、もっと曲線を活かした方が優雅に見えると思うの」


「なるほど、確かにその方がおしゃれだな」


「でしょう!? 私のセンス、褒めてもいいのよ」


「はいはい、すごいすごい」


「その言い方、絶対心こもってないでしょ!」


賑やかな声が空き教室に響き渡る。フェリックスは資料整理をしながら、その様子を眺めてニヤニヤと笑っていた。


「なあソフィア、あの二人、また息ぴったりだと思わないか」


「そうですね……。見ていて、なんだか微笑ましいです」


「まあ、こっちはこっちで頑張るとしますか」


そう言って、フェリックスはギルドとの調整業務に取り掛かった。彼の商才は、こういった裏方仕事でも遺憾なく発揮されていた。


作業を終え、教室を出る頃には、すっかり夜が更けていた。


「今日はいいペースで進んだな」


「はい。このまま順調にいけば、商業祭までに完成しそうです」


「私のデザインも、完璧に仕上げてみせるわ!」


意気込む三人を見て、ニコラスは自然と口元が緩んだ。あの騒動を乗り越えたからこそ、こうして皆で一つの目標に向かえることが、何より嬉しかった。


「よし、明日からも頑張ろう」


四人の声が重なり、夜の校舎に小さく響いた。準備は順調に見えたが、その裏でグラント商会が静かに動き出していることを、この時の彼らはまだ知らなかった。


第58話へ続く


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