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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第56話 ギルドの対策


魔道具ギルドに駆け込んだ四人を出迎えたのは、既に帰り支度を終えかけていたバルトロさんだった。


「おや、皆様お揃いで。何かございましたかな」


「バルトロさん、今日、グラント商会の人間が接触してきました」


「なんですと」


事の顛末を話すと、バルトロさんの表情がみるみる険しくなっていった。


「業務提携の打診、しかも断られた後に『簡単には諦めない』、と……」


「はい。正直、不気味でした」


「ふむ……。よくぞ、正直に報告してくださいました。すぐに商業ギルドの上層部にも共有いたしましょう」


バルトロさんは机に向かい、羊皮紙にさらさらと何かを書き記していく。


「グラント商会については、以前から商業ギルド内でも要注意商会として名前が挙がっておりましてな。強引な買収、下請けへの不当な圧力、今回のような産業スパイまがいの行為――枚挙にいとまがございません」


「そんな商会が、王都で急成長してるんですか?」


「ええ、それが厄介なところです。資金力と政治的な繋がりが強く、なかなか尻尾を掴ませない。しかし今回の一件は、明確な証拠が揃っております。これを機に、正式な処分に持ち込めるやもしれません」


フェリックスが腕を組んで唸った。


「つまり、俺たちの証言が、グラント商会を追い詰める決め手になるかもしれない、ってことか」


「その通りです。もちろん、皆様に危険が及ばぬよう、ギルドとしても最大限の対応をいたします。何かあれば、すぐに私にご連絡を」


「ありがとうございます、バルトロさん」


「いえいえ、こちらこそ、ニコラス様には随分と稼がせていただいておりますからな。このくらいの恩返しは当然のこと」


冗談めかした口調に、少しだけ場の空気が和んだ。


「それにしても」とバルトロさんが続けた。「例の保冷魔道具、来月の『王都商業祭』への出展が正式に決まりましたぞ」


「王都商業祭……?」


「王国内の主要な商会や職人が一堂に会する、年に一度の大祭典です。新しい技術や商品が、まさにお披露目される場。ニコラス様の魔道具も、そこで大々的に紹介されることになります」


「そんな大きな舞台に……!」


思いがけない話に、ニコラスは目を丸くした。


「もちろん、学園の許可も得ての話ですぞ。学業に支障のない範囲で、皆様にもぜひご協力いただきたい」


「面白そうじゃん! 俺、そういうお祭り系のイベント大好きなんだよな」


フェリックスが目を輝かせる。ソフィアもどこか嬉しそうに微笑んだ。


「私も、お手伝いできることがあれば、ぜひ」


「私だって参加するに決まってるでしょ! 王都商業祭なんて、社交界でも話題になる一大イベントよ!」


シャルロットも意気込みを見せる。四人の反応に、バルトロさんは満足げに頷いた。


「では、詳細は追ってお伝えいたします。グラント商会の件も含め、今後も気を引き締めてまいりましょう」


ギルドを後にした四人は、夜の帰り道、それぞれの思いを胸に歩いていた。


「王都商業祭、か……。楽しみだけど、正直グラント商会のことも気になるな」


「まあ、心配しても仕方ないだろ。今は目の前のことに集中しようぜ」


フェリックスの言葉に、ニコラスは頷いた。


「そうだな。とりあえず、商業祭に向けて準備を進めよう」


「私も、頑張って、また魔道具の腕を上げますね」


「私も負けないから!」


賑やかな声が、静かな夜道に響いていく。新たな目標を得て、四人の表情には、また少し違った活気が宿っていた。


だが、その活気の裏で、グラント商会の影が静かに、着実に、次の一手を練っていることを、この時のニコラスはまだ知らなかった。


第57話へ続く


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