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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第54話 実技試験、決着


実技試験当日。魔道具学の教室には、緊張と期待が入り混じった独特の空気が漂っていた。


「シャルロット様、この会場の空気、すごいですね……」


「当然でしょ、今日は私が汚名返上する日なんだから」


腕を組んで胸を張るシャルロットだが、その足がわずかに震えているのを、ニコラスは見逃さなかった。


「大丈夫、練習の成果、ちゃんと出せるよ」


「わ、わかってるわよ! 応援なんていらないんだから!」


「はいはい」


クレア先生が教壇に立ち、試験内容を告げる。


「今回の実技試験は、指定された魔道具――『光量調節ランプ』の製作です。制限時間は一時間。魔力循環の安定性、魔法陣の精度、そして完成度を総合的に評価します」


「では、始め!」


合図と共に、教室中に緊張感が走った。各々が机に向かい、黙々と作業を始める。


ニコラスはさりげなくシャルロットの様子を窺った。深呼吸を一つしてから、彼女は落ち着いた手つきで魔法陣を描き始めた。以前の危なっかしさは、もうそこにはなかった。


「……いい調子だ」


小さく呟いて、ニコラスも自分の作業に集中する。


三十分ほど経過した頃、教室のあちこちから小さな悲鳴や煙が上がり始めた。


「あー! また失敗した!」


「くっ、魔力循環が乱れる……!」


苦戦する生徒たちの中で、シャルロットの手元だけは、驚くほど安定していた。淡い光が魔法陣に沿って美しく巡り、やがて小さなランプへと形を成していく。


「……できた」


試験終了の十分前、シャルロットの前には、繊細な意匠の光量調節ランプが完成していた。優しい光量で灯り、指先の動きに合わせて滑らかに明るさを変える。


「終了です、皆さん、手を止めてください」


クレア先生が教室を回り、一人ずつ作品を確認していく。シャルロットの番になると、先生は目を見開いた。


「これは……素晴らしいわね。魔力の流れが非常に安定しているし、意匠も丁寧。三回連続で爆発させていた生徒とは思えない完成度よ」


「そ、それは余計な一言では……」


「ふふ、褒めているのよ。本当に、よく頑張ったわね」


その言葉に、シャルロットは何とも言えない表情で頬を赤らめた。試験結果は後日発表とのことだったが、その出来栄えを見れば、結果は誰の目にも明らかだった。


放課後、開放感からか、四人は寮の近くの茶屋に繰り出していた。


「いやー、シャルロットの成長、本当にすごかったな」


「フェリックス、いちいち感心しすぎよ」


「いや、マジですごかったって。あの縦ロールが、まさかここまでやるとはな」


「縦ロール言うな! 名前で呼びなさい!」


いつものやり取りに、ソフィアが柔らかく笑った。


「シャルロット様、本当に素敵な作品でした。私も見習いたいです」


「そ、そんな、大したことじゃ……」


褒められ慣れていないのか、シャルロットが珍しく照れくさそうに視線を逸らす。


そんな和やかな空気の中、茶屋の入り口に一人の見知らぬ男が姿を現した。仕立ての良い服を着た、如才なさそうな笑みを浮かべる中年の男だ。


「失礼、こちらにニコラス様はいらっしゃいますか?」


「……俺ですが」


「初めまして。私、グラント商会の者でして」


その名前に、四人の表情が一瞬で強張った。


「実は、先日の一件について、折り入ってお話ししたいことがございまして」


穏やかな笑みの奥に、何を考えているのか読み取れない気配を感じ、ニコラスは思わず身構えた。


第55話へ続く


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