↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/126

第52話 執事の真意


数日後の午後、バルトロさんから緊急の呼び出しが再びかかった。応接室に入ると、そこには険しい顔のバルトロさんと、見覚えのない中年の男が座っていた。


「ニコラス様、こちらは王都の商業監査官、ドナルド殿です」


「監査官……?」


「レイモンド商会の類似品騒動について、正式な調査が入ることになりました」


ドナルドと名乗った男が、静かに口を開いた。


「先日、レイモンド家の専属執事――ジョセフという男が、こちらに出頭してきましてな」


「出頭……? 自首したってことですか?」


「いえ、そう単純な話ではありません」


ドナルドが眉根を寄せた。


「ジョセフ氏の証言によれば、設計図の流出を指示したのは、レイモンド家ではなく、別の商会だというのです」


「別の商会……?」


予想外の展開に、ニコラスは思わず身を乗り出した。


「ジョセフ氏は、以前から借金を抱えており、その返済のため、とある商会から資金援助を受けていたそうです。その見返りとして、レイモンド家の内部情報を横流ししていたと」


「じゃあ、レイモンド家自体は、被害者側だったってことですか」


「その通りです。今回の類似品も、ジョセフ氏が独断で流出させた情報をもとに、その商会が製作し、あたかもレイモンド家が開発したかのように装って発表させた――というのが真相のようです」


バルトロさんが渋い顔で補足する。


「レイモンド家の名を利用し、責任だけを押し付けて、真の黒幕は裏で利益を得る。実に狡猾なやり口です」


「その商会というのは……」


ニコラスの問いに、ドナルドが一枚の名刺を取り出した。


『グラント商会』


「王都で急成長中の新興商会です。以前から強引な商売手法で悪評もありましてな。今回の件は、証拠が揃い次第、正式に告発する予定です」


話を聞き終え、応接室を出たニコラスは、深く息を吐いた。廊下で待っていたフェリックスたちに事の顛末を伝えると、シャルロットが呆れたような声を上げた。


「つまり、ガレスもレイモンド家も、完全にとばっちりだったってこと?」


「そういうことになるな。ジョセフって執事が、借金のカタに情報を売った、と」


「なんというか、想像より地味な動機ね……」


「地味って言うなよ。人が身を持ち崩す理由なんて、大体そんなもんだろ」


フェリックスが肩をすくめる。ソフィアは複雑な表情で呟いた。


「エミリーさんも、レイモンド家も、みんな巻き込まれた被害者だったんですね……」


「ああ。でも、これで一応の決着はつきそうだ」


数日後、ガレスから改めて連絡があった。今度は正式な書状で、ジョセフの解雇と処分、そしてレイモンド家からの正式な謝罪、さらに商品化に関する新たな取引の提案が記されていた。


「ジョセフの奴、証拠隠滅より先に、罪を軽くするために自首する方を選んだってわけか」


「保身のためだろうけど、結果的には正しい判断だったのかもな」


フェリックスの言葉に、ニコラスも頷いた。


「グラント商会の方は、どうなるんだ?」


「バルトロさん曰く、証拠固めにはもう少し時間がかかるらしい。ただ、商業ギルド全体で監視体制を強めるとのことだ」


一件は思わぬ形で幕を閉じつつあったが、ニコラスの胸には小さな引っかかりが残っていた。


グラント商会。聞いたことのない名前だったが、なぜか妙に印象に残る。まるで、これから何か関わりが生まれる予感がするかのように。


「まあ、今は考えすぎかもな」


そう独り言ちて、ニコラスは差し込む夕日に目を細めた。ひとまずの平穏を取り戻した学園生活が、再び動き出そうとしていた。


第53話へ続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。