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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第38話「三年目、新たな一歩」


学園三年目の初日、教室に集まった生徒たちの顔ぶれには、これまでとは違う、確かな落ち着きが感じられた。


「三年目ともなると、さすがに新入生の頃みたいな緊張感はないな」


ルーカスが伸びをしながらそう言うと、フェリックスも頷いた。


「まあ、俺たちも立派な中堅生ってわけだ」


「その割には、相変わらず寝坊癖は直ってないみたいだけど」


シャルロットの容赦ない指摘に、ルーカスは苦笑いを浮かべた。


新学期最初のホームルームで、担任のグレイソン先生が三年目のカリキュラムについて説明を始めた。


「三年目からは、より専門性の高い授業が増える。それぞれの得意分野を伸ばすための、選択科目制も導入される予定だ」


生徒たちの間に、これまでとは違う種類の緊張と期待が広がった。今までは一律のカリキュラムだったが、いよいよ自分の進路を意識し始める時期に差し掛かったのだと、誰もが実感していた。


「選択科目、か。何を選ぼうかな」


ニコラスがそう呟くと、エドワードが興味深そうに口を挟んだ。


「お前のことだ、どうせ全部の科目で高得点を取るんだろう」


「そんなことないと思うけど……」


「謙遜しなくていい。むしろ、選択の余地があること自体、お前には贅沢な悩みだろうな」


エドワードのその言葉に、周囲からも小さな笑いが起きた。


その日の放課後、掲示板には、三年目から選択できる新しい科目の一覧が張り出されていた。


「魔道具学、上級剣術、薬草学、外交学……色々あるんだな」


ルーカスがそれを眺めながら、迷った様子でそう呟いた。


「僕は迷わず上級剣術だな」


エドワードが即座にそう決めると、ルーカスも便乗するように頷いた。


「よし、俺も剣術系で行くか」


「フェリックスは、何を選ぶんだ?」


ニコラスが尋ねると、フェリックスは既に答えを決めていたようだった。


「僕は外交学かな。将来、商売をやるにしても、色んな国との付き合い方を知っておいて損はないだろうし」


「意外と将来のこと、ちゃんと考えてるんだな」


ルーカスが感心したようにそう言うと、フェリックスは得意げに胸を張った。


「当然だろ。これでも、商家の跡取り候補の一人なんだからな」


シャルロットとソフィアは、二人とも薬草学を選択することにしたらしい。


「私、昔から薬草には興味があったんです」


ソフィアがそう言うと、シャルロットも頷いた。


「私もよ。それに、実用的な知識は、いざという時に役立つでしょうから」


「二人とも、案外現実的な選択するんだな」


ルーカスがそう感心すると、シャルロットは扇を軽く振りながら微笑んだ。


「貴族の令嬢たるもの、いざという時に役立つ知識は、多いに越したことはないのよ」


その言葉に、フェリックスが横から茶々を入れた。


「なんか、その言い方だけ聞くと妙に説得力あるな」


「当然でしょう」


得意げにそう返すシャルロットの様子に、教室にはまた笑いが広がった。


こうして、六人はそれぞれ、少しずつ違う道へと足を踏み出し始めていた。だが、それは決して、これまでの絆が薄れることを意味するわけではなかった。


剣術系を選んだルーカスとエドワード、外交学を選んだフェリックス、薬草学を選んだシャルロットとソフィア――そして、いまだ迷い続けるニコラス。それぞれの選択が、これから先の三年目を、どのように彩っていくのか、まだ誰にも分からなかった。


「選択科目は違っても、放課後はいつも通り、みんなで集まろうな」


ルーカスがそう提案すると、全員が自然と頷いた。


「もちろんよ。そこは変わらないわ」


シャルロットがそう答えると、教室にはいつも通りの、温かな空気が流れた。


窓の外に広がる、三年目の学園の景色を眺めながら、ニコラスは静かに、これから始まる新たな一年への期待を膨らませていた。それぞれが自分の道を見つけ始めている今、この先の学園生活が、どのような彩りを見せてくれるのか――まだ誰にも分からない、その未知への期待が、胸の内で静かに輝いていた。


「ところで、ニコラスは結局、何を選ぶんだ?」


ルーカスがふと思い出したようにそう尋ねた。


「うーん、実はまだ迷ってるんだよね。どれも面白そうで」


「お前のことだから、結局全部平均以上でこなしちゃうんだろうな」


フェリックスが呆れたようにそう言うと、エドワードも同意するように頷いた。


「それは間違いないだろうな」


「そんなことないと思うけど……」


苦笑しながらそう返すニコラスの様子に、周囲にはまた温かな笑いが広がった。


「まあ、何を選んでも、放課後はいつも通り集まろうな」


ルーカスが改めてそう言うと、全員が自然と頷いた。三年目という新たな節目を迎えても、この六人の絆だけは、変わらず続いていくのだろう――そんな確信を、ニコラスは静かに胸に刻んでいた。


(第39話へ続く)


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