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転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


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第37話「二年目の終わりに」


灯火祭りの余韻も落ち着き、学園には再び日常が戻ってきていた。だが、その日常もまた、あっという間に過ぎ去っていった。気づけば、二年目の学年末を告げる季節が、すぐそこまで迫っていた。


「もう二年目も終わりか。早いもんだな」


放課後の教室、ルーカスが窓の外を眺めながら、しみじみとそう呟いた。


「本当にね。振り返ると、色々なことがあったわ」


シャルロットがそう応じると、フェリックスも大きく頷いた。


「合宿に、大会に、祭りに……この一年、濃かったよなあ」


学年末の総合試験は、これまでの努力の成果もあり、六人ともそれぞれに納得のいく結果を残すことができた。ニコラスは相変わらず全科目で学年トップを維持し、エドワードもそれに次ぐ好成績を収めていた。ルーカスも剣術の実技で高い評価を得て、座学も無事に合格ラインをクリアしていた。


「今回も、僕はローウェルには一歩及ばなかったな」


エドワードが試験結果を確認しながら、悔しさよりもむしろ清々しい表情でそう言った。


「その分、剣術では武芸大会で優勝したじゃないか」


ニコラスがそう返すと、エドワードは満更でもなさそうに頷いた。


「まあ、それはそうだな」


終業式の日、体育館に集まった全校生徒を前に、学園長が一年の締めくくりの挨拶を述べた。


「今年度も、多くの生徒たちの成長を見ることができました。特に、武芸大会での活躍は、この学園の歴史に新たな一ページを刻んだと言えるでしょう」


その言葉に、会場のあちこちから拍手が起こる。壇上から見下ろす学園長の視線が、一瞬、ニコラスの方向へと向けられた。


式が終わった後、教室に戻った六人は、それぞれの荷物をまとめながら、この一年を振り返っていた。窓から差し込む夕陽が、机や椅子を茜色に染めている。


「来年は、いよいよ三年目か」


ルーカスがそう呟くと、ソフィアが小さく頷いた。


「上級生としての自覚も、少しずつ持たないといけませんね」


「まあ、僕らのクラスなら、大丈夫だろ」


フェリックスがそう楽観的に言うと、シャルロットが扇を軽く振りながら微笑んだ。


「その根拠のない自信、嫌いじゃないわよ」


窓の外には、二年間の思い出が詰まった学園の風景が広がっていた。入学したばかりの頃には想像もできなかった、多くの出会いと経験。友情、ライバルとの絆、そして水面下で静かに動き続ける貴族社会の思惑――それら全てが、この二年間で、ニコラスという一人の少年を、着実に成長させてきていた。


(前世では、ここまで濃密な人間関係を築けたことなんて、なかったな)


会社員として過ごした三十年以上の日々を思い返しながら、ニコラスは静かにそう思った。同僚との付き合いはあったものの、こうして心から信頼し合える仲間との絆は、前世では味わえなかった、この世界ならではの財産だった。


「なあ、みんな。この二年間、本当にありがとう」


ニコラスがふと、そう素直な気持ちを口にすると、一同は少し驚いたような顔をした後、それぞれに笑みを浮かべた。


「水臭いこと言うなよ。まだ学園生活は、これからも続くんだからな」


ルーカスがそう言って、ニコラスの肩を軽く叩いた。


「そうだな。まだまだ、これからだ」


エドワードもそう頷くと、フェリックス、シャルロット、ソフィアも、それぞれに温かい言葉をかけてくれた。


「私たちがいる限り、あなたは一人にはならないわ」


シャルロットがそう言って優雅に微笑むと、ソフィアも控えめながら大きく頷いた。


「私も、これからもずっと、皆さんと一緒にいたいです」


「僕だって、お前らと過ごす毎日、結構気に入ってるんだからな」


フェリックスがそう言って照れくさそうに頭をかくと、ルーカスがすかさず突っ込んだ。


「素直に『大好き』って言えばいいのに」


「うるさい! それとこれとは話が別だ!」


そんな軽いやり取りに、教室にはまた温かな笑い声が広がった。


夕暮れに染まる教室に、六人の笑い声が、いつまでも響いていた。学園二年目の物語は、こうして多くの絆と成長を刻みながら、静かに幕を閉じた。


だが、この平穏な日々の裏側で、レイモンド家を巡る因縁や、ニコラス自身の規格外の力が、これから先の人生に、どのような大きな波紋を広げていくのか――その答えは、まだ誰にも分からなかった。


三年目という新たな一章に向けて、ニコラスの物語は、確かな一歩を踏み出そうとしていた。


その夜、寮の自室に戻ったニコラスは、窓辺に腰掛け、静かに夜空を見上げていた。無数の星々が、いつもと変わらぬ輝きを放っている。


(次の一年も、きっと色々なことが起きるんだろうな)


そう思いながらも、不思議と不安よりも、期待の方が大きく胸を占めていた。仲間たちと共に歩んできたこの二年間があったからこそ、これから先も、どんな困難が待ち受けていようと、乗り越えていけるという確信があった。


穏やかな夜風が、静かに窓辺を吹き抜けていった。


(第38話へ続く)


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