↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
104/174

第104話 卒業試験、開始


卒業試験当日、学園は、これまでにないほどの緊張感に包まれていた。


「よし、皆、落ち着いていこうな」


試験会場に向かう途中、ニコラスが声をかけると、皆がそれぞれに頷いた。


「筆記は、まあ、なんとかなると思うんだけど……実技が、やっぱり緊張するわね」


シャルロットが、珍しく不安げな表情を見せた。


「大丈夫だ。皆で、しっかり準備してきたんだから」


ニコラスの励ましに、シャルロットは小さく微笑んだ。


まず行われたのは、筆記試験だった。六年間の学びの集大成として、魔法理論、歴史、魔道具学など、幅広い分野からの出題がなされた。


「これは……勉強会でやったとこだ」


フェリックスが、問題用紙を見ながら、小さくガッツポーズをした。


試験時間いっぱいまで、皆、真剣な表情で問題に向き合っていた。


「よし、終わった……!」


筆記試験が終わり、会場を出たフェリックスが、大きく伸びをした。


「手応えは?」


ニコラスの問いに、フェリックスは自信ありげに頷いた。


「ばっちりだ。商業計算のところ、特に自信あるぞ」


「私も、魔法理論のところ、しっかり書けたと思うわ」


シャルロットも、安堵の表情を浮かべていた。


「わたしも、何とか……」


エミリーが少し不安げに言うと、ソフィアが励ますように微笑んだ。


「大丈夫ですよ。これまで、しっかり勉強してきましたから」


午後からは、いよいよ実技試験が始まった。各専攻分野に分かれ、それぞれの実力が試される。


「魔道具学の実技、始めます」


試験官の声に、ニコラスとソフィアは、互いに視線を交わし、頷き合った。


「課題は、指定された機能を持つ魔道具の製作です。制限時間は、二時間」


課題を確認すると、それは「簡易な通信機能を持つ魔道具」という、これまでの学びの応用力が試される内容だった。


「よし、できる」


ニコラスは、落ち着いた手つきで、魔法陣を描き始めた。保冷魔道具、マナレス・ランプ、ストックアイズ、クイックレジ――これまでの経験の全てが、今、確かな力となって発揮されていく。


隣では、ソフィアも、繊細な魔力操作で、着実に作業を進めていた。


「ソフィア、そっちの調子はどうだ?」


「はい、順調です。基本構造は、ほぼ完成しました」


試験時間が進む中、会場のあちこちから、苦戦する声や、成功の歓声が、入り混じって聞こえてきた。


「よし、完成!」


制限時間を少し残して、ニコラスの通信魔道具が、完成を迎えた。試験官が近づき、動作を確認する。


「素晴らしい完成度ですな。構造も、非常に洗練されています」


試験官の評価に、ニコラスは安堵の息を吐いた。


隣のブースでは、ソフィアも、見事な完成度の魔道具を作り上げていた。


「お二人とも、素晴らしい出来です」


試験官の言葉に、二人は顔を見合わせ、笑顔を交わした。


実技試験を終え、会場を出ると、既にシャルロットとフェリックス、エミリーが、心配そうな様子で待っていた。


「どうだった?」


シャルロットの問いに、ニコラスは安堵の笑みを浮かべた。


「うん、思った以上に、手応えがあった」


「私たちも、剣術と商業の実技、なんとか乗り越えたわ」


「わたしも、接客と作法の実技、丁寧に対応できたと思います」


それぞれの報告に、五人は互いに顔を見合わせ、安堵の笑顔を交わした。


「あとは、結果発表を待つだけだな」


ニコラスの言葉に、皆が頷いた。


帰り道、少し離れた場所から、見覚えのある姿が近づいてきた。


「よう、お前らも終わったのか」


ガレスだった。剣術の実技を終えたばかりらしく、少し疲れた様子を見せている。


「ガレス、お疲れ様。実技、どうだった?」


ニコラスの問いに、ガレスは満足げに頷いた。


「ああ、悪くない出来だったと思う。皆もそうみたいだな」


「エミリーも、頑張ったんですよ」


フェリックスが茶化すように言うと、エミリーは頬を赤らめた。


「フェリックス様! そういうこと、言わなくていいです!」


「いやいや、事実だろ?」


賑やかなやり取りに、ガレスも小さく笑った。


「エミリー、お疲れ様。試験、本当に頑張ってたな」


「あ、ありがとうございます、ガレス様」


照れくさそうに答えるエミリーに、ガレスは優しい眼差しを向けていた。


「それにしても、卒業試験が終わったってことは、本当に、もうすぐ卒業なんだな」


ガレスの言葉に、皆が少し感傷的な表情を浮かべた。六年間という歳月の重みが、今になって、じんわりと胸に染み渡ってくるようだった。


「ああ、実感、湧かないけどな」


ニコラスが、しみじみと呟いた。


「結果発表までの間、記念展示の準備も進めないとな」


フェリックスの言葉に、皆が頷いた。


「そうですね。これまでの集大成、しっかり形にしましょう」


ソフィアの言葉に、皆が力強く応えた。


長い学園生活の集大成となる、卒業試験。その全てを終えた今、五人の胸には、確かな達成感と、少しの寂しさが、静かに広がっていた。夕暮れの空の下、六人の影が、仲良く並んで伸びていた。


第105話へ続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。