↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/174

第103話 ルーカスの相談


勉強会も軌道に乗り始めたある日、思いがけない来客が、五人のもとを訪れた。


「あの、ちょっといいか?」


おずおずと声をかけてきたのは、ルーカスだった。かつてシャルロットと組んで魔道具を暴走させた、剣術特化の平民生徒である。


「ルーカス? 珍しいな、どうしたんだ?」


ニコラスが驚いたように尋ねると、ルーカスは少し気まずそうに頭をかいた。


「実は、魔道具学の実技試験、本当にやばくて……。お前ら、勉強会やってるって聞いたから、もし良かったら、混ぜてもらえないかと思って」


「もちろん、構わないわよ」


意外にも、真っ先に答えたのはシャルロットだった。


「え、いいのか?」


「当然でしょ。困った時はお互い様よ。それに、あなたの魔道具、爆発させる才能だけは、本当にすごいと思ってるんだから」


「それ、褒めてるのか?」


ルーカスが苦笑いを浮かべる。


「もちろん、褒めてないわよ」


賑やかなやり取りに、皆が笑い声を上げた。


早速、ルーカスも交えての勉強会が始まった。


「まず、基本の魔法陣の構造から、確認していきましょうか」


ソフィアが丁寧に、基礎から説明を始める。


「ここの線、こう繋げるんだったか……」


ルーカスが慣れない手つきで、魔法陣を描いていく。


「あ、そこ、逆向きになってますよ」


エミリーが優しく指摘すると、ルーカスは慌てて修正した。


「くっ、やっぱり苦手だな、これ」


「大丈夫、何度も練習すれば、きっとできるようになるわ」


シャルロットが意外にも、根気強く教え続けていた。かつての自分自身も、同じように苦労したことを、思い出しているのかもしれない。


「シャルロット、お前、教えるの上手いんだな」


フェリックスの言葉に、シャルロットは少し照れくさそうに答えた。


「私も、昔は本当に苦手だったから、気持ちが分かるのよ」


「なるほどな」


しばらく練習を重ねるうちに、ルーカスの魔法陣は、少しずつ安定したものになっていった。


「お、できた! 今度は爆発しなかったぞ!」


ルーカスが嬉しそうに声を上げる。


「よし、その調子よ! どんどん練習しましょう」


シャルロットの励ましに、ルーカスは真剣な表情で頷いた。


「ありがとな、お前ら。正直、一人じゃ、どうにもならないと思ってたんだ」


「困った時はお互い様だって、言ったでしょ」


シャルロットの言葉に、ルーカスは照れくさそうに微笑んだ。


勉強会が終わり、教室を出る頃には、夕暮れの空が、優しいオレンジ色に染まっていた。


「ルーカス、思ったより筋が良かったな」


ニコラスの言葉に、ソフィアも頷いた。


「はい、集中力もありますし、きっと試験までに、しっかり実力をつけられると思います」


「それにしても、シャルロットの教え方、本当に丁寧だったわね」


エミリーの言葉に、シャルロットは少し照れくさそうに答えた。


「べ、別に、普通のことをしただけよ」


「普通じゃないですよ。すごく分かりやすかったです」


ソフィアの言葉に、シャルロットは嬉しそうに、それでも素直になれない様子で、頬を赤らめていた。


「よし、明日からも、ルーカスも交えて、皆で頑張っていこうな」


ニコラスの言葉に、皆が力強く頷いた。


帰り道、ルーカスがふと、フェリックスに話しかけた。


「なあ、フェリックス。お前ら、本当にすごいよな。卒業試験の勉強と、新しい魔道具の開発、両方やってるなんて」


「まあ、慣れたもんだよ。最初は俺も、両立できるか不安だったけどな」


「俺も、何か手伝えることあったら言ってくれ。剣術の実技なら、少しは力になれると思う」


ルーカスの申し出に、フェリックスは目を輝かせた。


「お、それは助かるな。実は、俺、剣術の実技、本当に苦手でさ」


「任せとけ。基本の型くらいなら、教えられるぞ」


「頼りにしてる!」


二人は固い握手を交わし、新しい約束を結んだ。


二人のやり取りを見ていたニコラスが、微笑ましそうに言った。


「お互いに助け合えるって、いいことだな」


「はい、こうやって輪が広がっていくの、素敵だと思います」


ソフィアの言葉に、皆が頷いた。


「よし、それじゃあ、明日から、剣術の練習も、勉強会に組み込もう」


ニコラスの提案に、皆が賛同した。


夕暮れの道を歩きながら、エミリーがふと、しみじみとした様子で呟いた。


「なんだか、どんどん仲間が増えていきますね」


「ああ、本当にな」


夕暮れの光に照らされた並木道を、六人分の影が、長く伸びていた。


ニコラスが、温かい気持ちで頷いた。グラント商会の騒動から始まり、様々な困難を乗り越えてきたこの一年。その中で築かれてきた絆は、今、ルーカスのような新しい仲間をも、自然に包み込むほどに、大きく育っていた。誰かを排除するのではなく、受け入れていく。それこそが、このチームの一番の美点なのかもしれなかった。


卒業試験という大きな壁に向けて、仲間の輪は、また少しずつ、広がりを見せていた。この広がりこそが、これまでの困難を乗り越えてきた、何よりの証なのかもしれなかった。


第104話へ続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。