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第1話「突然のスカウト」

「おれ達のユニットに入らないか?」

「……え?」

準平は困惑してしまう。それも無理はない。いきなり先輩がユニットに入らないかとスカウトして来たからだ。

「準平君、僕達のユニット、Point:médianを知ってる?このユニットは僕を変えてくれたんだ。」

「このユニットは本当に良いユニットだよ。準平君も入ろうよ。」

しかしいきなりである為、準平は大きく悩んだ。

「(Point:médian…でもあのユニットって確か…『鬼』と呼ばれていたリーダーがいる…?)」

「あ、あの誘ってくれたのは嬉しいんですけど…自分、普通なので厳しいのはその…」

「ああ。大丈夫。そのリーダーは今は…まあ学園に来ていないから。」

笑った顔で結構重い事を言う裕靖に準平は驚きつつも少し安心した。

「そ、そうですか…なら自分も怯える必要は無い訳ですね?」

「(…まあ本当はリーダーは深い傷を負ってしまったのが原因で学園には来られないんだけど。)」

「あ、うん。大丈夫。それにゆーりもいるからな。久松さんも安心したらいいぞ。」

「まあ、勿論入りたくなければ断ればいいけどな。」

すると、此処で疑問を感じた準平が聞いた。

「あ、あのどうして自分を誘ったんですか?自分よりも上手い人は沢山いるのに。」

「それはだな、エージ…永吉エイジってやつがなんか授業サボって久松さんを体育の時に見ていたらしいんだ。」

「…永吉先輩が?」

「うん。永吉は授業をよくサボるけど割と他人を見る目がある。」

「そして見た人がどうだったかをすぐに他人に言いたがる性格だ。だからこそアイツがそんな性格でも馬鹿にする態度がまだ少ないのはそれ故だろう。」

「はあ。永吉先輩もふざけてた訳では無かったんですね。」

準平はため息混じりにそう言った。

「うん、そうだ。アイツは勘違いされやすいが悪い奴じゃない。久松さんもそれは分かってくれると嬉しい。」

「……で、どうだ?久松さん。おれ達のユニットに入るか?」

準平は悩んだ。

「(…確かにユニットに入れし自分は普通から変われるのかもしれないけど…)」

「(でも自分が入って足を引っ張ってしまわないかな…)」

「──準平君。やっぱり入らない?」

すると優利が準平に声をかける。

「確かに新しい事に挑戦するのは不安かもしれないけど…それでも僕はこのユニットに入って良かったと感じているよ。」

「それにと行ったらなんだけど…助けられる事だったら僕も手伝うよ。」

「……本当?それだったら…」

「──自分、入ってみます!」

準平は裕靖達のユニットに入る事にした。

「…そうか。ありがとう、久松さん。」

「じゃあこれからはじゅんへーって呼んでいいかな?」

「あ、はい。ご自由にどうぞ。」

こうしてPoint:médianは四人のユニットになった。

それでもまだ準平は不安を抱えていた。

「自分はどうすれば足を引っ張らずに済むだろうか」や「白土先輩はともかく永吉先輩は厳しくないか」などであった。

「いやー本当に嬉しい!『ポイメデ』は個性的なメンバーばっかりだったからな!じゅんへーが入ってくれて良かった!」

「あ、勿論、おれもじゅんへーを助けるから、安心してくれ!」

裕靖は嬉しそうに言った。

その言葉を聞いて準平も少しは緊張がとけた。

「あ、ありがとうございます。」

「よーし!それじゃあじゅんへー、ゆーり!おれ達の拠点に行こう!...あ、じゅんへーはおれ達についてきてくれ!」

そして裕靖達についてきた場所は...


~代々木おんがくスタジオ~

~受付にて~

代々木おんがくスタジオだった。代々木おんがくスタジオとは代々木にある音楽関連のスタジオで代々木音楽学園から近いのが特徴。しかし、東京全体だと「Square」や「Triangles!」に知名度を奪われている。それでも代々木音楽学園からは代々木音楽スタジオが一番近い為、潰れる事にはなっていない。

「此処がおれ達が普段使っている場所の『代々木おんがくスタジオ』だ!」

「...代々木おんがくスタジオ?自分はあまり知らないですね...」

「まあそれも仕方が無いな。だってSquareやTriangles!の方がここら辺では有名だし、楽器も充実しているからな。」

「それでもおれ達にとっては代々木おんがくスタジオは助けになっている。何せ、学園から近いから。」

代々木おんがくスタジオに入った準平達はスタジオのオーナーにスタジオを使う許可を得て、使うスタジオに向かって行った。


~使える音楽スタジオにて~

「さて此処が僕達がいつも使っているスタジオだよ。準平君、どうかな?此処は。」

「凄く良い所だと思うよ。オーナーの人も優しかったし。」

「あの人はかつてのおれを凄いと言ってくれた人だからな。」

「...そう”あの時”のおれを...」

そう呟いた裕靖はいつもよりも暗く見えた。少なくも優利には。

しかし、準平は気付かなかった。

「?まあ、僕達にとってとにかく此処は使いやすいよ。準平君。...あの永吉先輩はまだですかね?」

放課後それなりに経っているのにまだエイジが来ない。優利はそれが気になり始めた。

「あ~アイツ?アイツはいつも通り遅刻だと思う。...だけどいくらなんでも遅刻しすぎだよな?」

「えっ?あの、永吉先輩って授業だけじゃなくてユニットの集合にも遅刻するんですか?」

準平は驚きながら聞いた。

「あ、じゅんへーは学園でしかアイツの様子を知らないか。」

「アイツ..エージはとてもマイペースでのんびり屋。そしてある意味、甘えたがりや。普段は全くと言って良いほどやる気が無いのに、興味のある事のみにやる気を出す。」

「アイツはそんな奴なんだ。だからじゅんへー、慣れないかもしれないけど...まあ、もし大変になったおれとかゆーりとかに言ってくれ。助けられる範囲で助けるからな。」

裕靖の割と深刻そうな顔を見て、準平はそこまでの人物だったのかと感じ始めた。

「....は、はい。そんなに大変なんですね...?」

「(嘘だろ?自分、なんで永吉先輩の性格を詳しく知らなかったんだよ...学園で見てきている筈だったのに...)」

「(しかも、白土先輩の言い方を見るに相当な問題児と思われている...?優利もその話を白土先輩がしている時は呆れている気がしたし...)」

「(自分は大丈夫なのかなあ...?)」

準平は不安になりかける。それはエイジと関わる時にどうすれば良いかだった。

そしてそんな事を考えている時だった。

「──皆~?」

自分が考えている人物と全く同じ人物が遅れてやって来たのは。

「.........!」

一斉に皆がエイジを見る。

それは何処か毎回の遅刻に呆れているようだった。...まだ裕靖の目はそこまで哀れみの目、という訳でも無かった。

「ちょっと!永吉先輩!今回はかなりの遅刻ですよ!」

「え~?ぼくは被害者なんだけどな~?居残りさせられたし。」

「それは分かるけど、お前が悪いんじゃないか?真面目に授業を受けていれば、皆と同じように授業を受けていれば居残りは無かったと思うぞ?」

裕靖はエイジに意見する。

「うるさいなあ...ってあれ?」

「そこにいる人、誰?新人?」

するとエイジは準平と目を合わせる。

「えっ!?永吉先輩!?」

「自分、用事を思い出しました!此処で帰ります!」

しかし準平はエイジと話もせずにさっさと帰ってしまった。

「え?なんでぼくをみただけで帰るのかな...?」

「ま、まあじゅんへーもきっと忙しいのに付き合ってくれたんだろうな。だからじゃないか?」

「...最も、永吉先輩を恐れているって言うのもありそうですけどね。」

「.....そうかな~?ぼく、最近は良くなってきてるけど...」

その言葉に裕靖は渋い顔をした。

「それでもまだお前は素行が良くないと思われているからな?これから良くすれば良いのかもしれないが。」

「(...だけどエージはおれ達を助けてくれたんだよな。勿論、ゆーりもだけどさ。)」

「(おれもきつく言い過ぎなのか?)」

しかしその心情は誰にも気付かれることが無かった。

「さて、準平君が帰ってしまいましたけど僕達で練習しますか?」

「ああ。そうだな。おれ達三人でユニットの練習をしよう。」

そうして三人は基礎的な練習をするのだった──。

皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回は準平がユニットに入る話ですね。そして割とエイジに対して当たりが厳しい面もあります。まあこれはエイジが悪いのですが。

そして裕靖の心の中で意味深な言葉を呟いています。これは後々に詳しく描写します。

次回予告

四人集まっての初めてのユニット練習。目標を決めないと意味がないと感じた裕靖とエイジは「数週間後に代々木おんがくスタジオにあるライブ会場で一番レベルの低い『Eステージ』に出る」という目標を設定する。果たして準平はユニットの練習について行けるのか。

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