77 ノチアへのプレゼント
「姉さまこれがいいわ」
「ええ~! 姉さまにはこれだよ」
「どっちも素敵で選べないわ~」
「わっ、これがいいわ!」
私たちは割れてしまった丼の代わりを買いにダグの店に来ていた。
ダグはここ数年でさらに腕を上げているので、自分たちで作る分とは別に何個か買っておくことにした。
そして、私の誕生日になる。
プレゼントは父様からは革製の肩掛けの鞄だ。
ゴウオウと共に飛び回る私の為にしっかりした作りになっていて、長く使えそうだ。
母様からは貰ったのは黄色いドレスだった。
刺繍とレースで裾を華やかにしながらも、どこか落ち着きのある大人のデザインだ。
身長もそろそろ伸びなくなりそうなので、このドレスが私のメインのドレスになるだろう。
ドレスを送ってきたと言う事は、やはり女の子らしくして欲しいと母様は思っているのかもしれない。
「ボク達のはコレ! お誕生日おねでとう姉さま」
「私からはこれね 姉さまお誕生日おめでとう」
「ありがとう」
棚に入れていた、あの手作りの丼をソラーレとルーナに改めてプレゼントしてもらい、私は笑顔で受け取る。
小鉢の様に小さくてかわいい丼に顔がニヤけてしまう。
「わっ、私からはコレ! ノチア喜ぶのよ」
プリンが持ってきたのは、母様に習ったのか布で作ったプリンの人形だ。
なかなかに出来が良くてかわいい。
「ありがとう。うれしいわプリン」
「じゃあ、次は僕からだね」
「アイラ! それにルキラも!」
「ぐふふ。刻まれた時に祝福を捧げに来たわ」
プレゼントを受け取っている所に、アイラとルキラが入ってきた。
父様が誕生日に合わせて二人を招待していたようだ。
「アイラお姉さま! ようこそお越しくださいましたわ」
「ルーナ、ほらこれが頼まれていた本だよ」
「ルキラ姉さま。僕のマント見て!」
「ぐふふ。ソラーレ、なかなか良いセンスよ」
「着ていたのならもっと早くに出てくれば良かったのに」
「ごめんごめん。予想外に時間がかかってしまってね。先にお風呂に入らせてもらったんだよ。旅の汚れを落とさないままパーティーに出るわけにはいかないだろ?」
「ぐふふ。それよりもノチア、我々二人の力を合わせた芸術。刮目して見ると良いわ」
ルキラが私の前にリボンに包まれた薄い箱を差し出した。
「もしかして、プレゼント?」
「そうだよ。さぁ、開けてみてくれノチア!」
包みを開いて箱を開けると、中には紙の束が入っていた。
その一枚を手に取って目を通す。
「――っ! これって!」
「ぐふふ。ノチアの構想を聞いてから、密かにアイラと設計の職人を招いて作っていたのよ」
私の見た紙に書かれていたのは、屋台の設計図の一部だった。
私の呟いただけの野望を二人が形にしてくれたのだ。
嬉しさのあまり、私は力いっぱいに二人に抱き着いた。
「すごい! すごいわ! ありがとう二人共、大好きよ!」
「ははは、ノチアの為ならこれくらい大したことないさ」
「ぐふふ。喜びを爆発させるのは完成まで取っておきなさい」
そんな嬉しいサプライズを持って私の誕生日は終了した。
数日間、アイラ達とラウメでゆっくりした後、私たちはダイア領にゴウオウに乗って向かった。
目的はもちろんラーメン屋台の作成だ。
ダイアは街道が完成したことによって人の流れが生まれますます発展している。
正直、屋台を作るうえでは、ラウメに比べて資材も手に入りやすいし職人も多いのだ。
「少し見ない間に凄い人の数ね」
「わっ、お祭り? ノチアこれお祭り?」
「違うぞプリン。でも、これもノチアの街道のおかげだよ。それとドールの方がもっと人が多いと思うよ」
「ぐふふ。もうノチアには足を向けて寝られないわ」
アイラ達とそんな軽口を叩いて緊張を解しながら、待ち合わせ場所の職人ギルドの会館に行って、そこで職人が来るのを待つ。
アイラの集めた職人は調理器具を作る鍛冶職人と屋台の骨組みを作る大工職人、あとは家具の木工職人と魔道具の職人だ。
火を魔道具にするか炭にするかで迷ったが、移動販売という点を考慮して最初は魔道具を贅沢に使って見ようと言う事になったのだ。
「遅くなって悪いな」
「失礼します」
「……します」
「お邪魔しまーす」
待っていると、挨拶をして職人たちが入室してきた。
四人の職人はどの人もかなり若い。
ヘタをしたら全員が十代なのではないだろうか?
その四人にアイラが宣言する。
「来たね。それでは、僕たちの屋台について話し合おうじゃないか」




