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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
四章

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73/80

73 フェロンと大クライネ

 フェロンを持ってフラウの後に続いて食堂に入る。

 部屋にはテーブルと椅子が並んでいるが、すべてが石で出来ていた。

 水の中から上がったばかりの濡れたクライネも席に着いてフェロンを齧っている。


 席に着くと岩肌族の人が、皿とフォークが目の前に置いてくれた。

 皿のお礼を言った後、フラウがテーブルの上にフェロンを乗せ、フェロンが地面に着いていた方だろうか、ヘタの様なっている側を上にする。

 そして、ヘタを掴むとネジるように捻った。

 パキンと良い音を立てて、ヘタの部分が取れる。

 私達もフラウをマネてネジると簡単に取れた。

 クリスタルのような見た目だったが、思った以上に柔らかかった。


「中身は果肉みたいだね」

「これは果実なのかしら?」

「フェロンはれっきとした魔法生物じゃ。まあ、生物で言うならば貝が近いのじゃ」


 中身は白いプルっとした肉質で、一見すると果実の様にすら見える。

 それを皿の上に出すと、汁気が意外と無くヌタっとしている。

 真ん中に入っていたラグビーボールのような大きな種は、食べないようなので脇に避けた。

 フラウが果肉にフォークで刺して口に運んだ。

 貝と聞いたのでちょっと心配になる。


「フェロンは生で食べられるの?」

「生で大丈夫じゃよ。火を通しても美味いが、生の方がわらわは好きじゃ」


 生でも大丈夫だと聞いて安心して食べる。

 すると、見た目通りのミルクのような甘みと濃厚な貝の旨味が溢れた。


「牡蠣が一番近い味かな? レモンとか柑橘系を絞って醤油で味付けしたくなるわ」

「歯ごたえも面白いね。芯があって、それでいてモニュモニュした食感」

「ぐふふ。満足感があるわね。味は好き嫌いがありそうだけど」


 アイラとルキラの評判は上々。

 でも、ルキラの言う通り、好き嫌いはわかれそうではある。


「ノチアよ。お主の言うコオジという部分はここにあるのじゃ」


 フラウがフェロンの残していた種の方を持ち、爪で真ん中を裂いた。

 すると、中に白くモコモコとした綿のようなものに覆われた細かい種が入っている。

 これが麹になるのかと感心して見ていると、別のテーブルが騒がしくなる。


「またフェロン! もう飽きた! 他のが食べたい!」

「わっ、飽きた?」

「わっ、他の?」

「わっ、そうよ! 毎日毎日フェロンばっかり。これじゃ私もフェロンになっちゃうわ」

「わっ、フェロンになる」

「わっ、フェロンになる」

「わっ、踊るんじゃないわよ」


 声の方を向くと、そこには一回り大きいクライネがいた。

 他のクライネがその大クライネにせっせとフェロンを持って行っては追い返されてクルクルとその場で回り始めている。


「いらないって言ってるの!」

「わっ、わわわ」

「危ないわ。押したら転んでしまうじゃない。」

「わっ、何よあんた!」


 大クライネに押されて転びそうになっているのを私が受け止める。


「自分が気に入らないからって、押したら怪我をしちゃうでしょ? 傷つけるようなことをしてはダメよ?」

「わっ、押すのダメ?……怪我するからダメ……わっ、なるほどわ」


 以外にも私の言葉に大クライネは反発しなかった。

 わかってくれたと思い、席に戻ってフェロンの試食の続きをする。


「じーーーーーーっ」

「ノチア、さっきのクライネが見てるみたいだよ」


 アイラが持ち歩いていた醤油味のポーションをフェロンにかけて味わっていると、さっきの大クライネがこっちを見ていた。


「ぐふふ。この琥珀の雫に魅入られたようね」

「あやつにも食べさせてやったらどうじゃ?」

「それもそうね」


 飽きてしまったフェロンを少しでも美味しく食べられるなら良い事だ。

 恥ずかしいのか警戒しているのかわからないが、このままでは来なさそうなので、私は大クライネのところに近寄って話しかける事にした。


「私はノチア。あなたの名前は?」

「わっ、名前……名前……名前は無い。クライネはクライネ」

「名前が無いの? でもそれって呼ぶとき不便じゃない?」

「…………?」


 大クライネは意味が解らないと言う顔をする。


「クライネは個という考えが薄いのじゃ。ゆえに先ほどの行為も暴力ではない。自分で自分を叩いたところで暴力にはならんじゃろう?」

「気合を入れるために自分の頬を叩くみたいなこと?……えっ、あれがその感覚なの?」

「ノチア! ノチア! 名前を付けて名前」

「ええ? 名前なんてそんなに簡単につけていいのかな?」

「良いのではないか? そう難しく考えんで適当につけたらいいのじゃ」

「うーん。そんないきなり言われてもな~。お姫様みたいな振る舞いだし、プリンセスとか? ……はさすがに不味いから……そうね! プリン! あなたはプリンでどう?」


 そう口にした瞬間、大クライネが光った。


「えっ? 光ったけど、これ大丈夫よね?」

「おお、なんという事じゃ~。ノチアがクライネと契約してしまったのじゃ~」

「ちょっと! フラウ、棒読みじゃない! 謀ったわね!」


 なぜかクライネと契約してしまった。

 味噌を作るための麹を求めて来ただけなのにどうしてこうなったの。


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― 新着の感想 ―
 また、変なのが増えそうですね。(誉め言葉です)
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