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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
四章

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72/80

72 結果の後に

 フラウが意味深なためを作って結果を先延ばしにする。

 前世の知識がフラウにあったならば、絶対に口でドラムロールをしていただろう。


「勝者はノチアじゃ!」

「えええ! そんなのおかしいわ!」

「なんでノチアが否定しておるんじゃ!」


 私は自信を持って料理を出したけど美味しさも、それを追求する姿勢もシリオスの方が上だったと思う。

 正直、全敗してても私に文句は無かった。

 シリオスも黙ってはいるが、美味しさで負けたとは思っていないはずだ。


「シリオスの料理は美味かった。間違いなく最高の味じゃった。しかし、シリオスよ。お主が作った料理はわらわの為と同時に、勝つための料理じゃった。わらわの我儘が判定に入って悪いが、すべてをわらわのために、喜ばせる為に作ったノチアの料理にわらわの心は動かされたのじゃ」

「……私の負けです。ですが、勝負も関係なしにフラウ姫の為に作った料理を次も食べていただけるでしょうか?」

「もちろんじゃ! そなたの料理は良かったぞ」

「よっしゃーーー! それだけで私は幸せです」


 こうして料理対決は私の勝利で幕を閉じた。


 フラウは約束通りに味噌のレシピを教えてくれたのだが、口頭の説明だけでは理解しきれない部分があったので、本の場所を聞いて調べなおした。

 そしてわかった麹の存在で私たちの味噌作りは頓挫していた。


「麹って人間に害にならない厳選されたカビだったわよね? さすがに零から作るのは無理があるわ」

「研究すれば出来なくわないけど、時間がかかるのは間違いないね」

「ぐふふ。それも一年や二年の騒ぎじゃないほどだわ」

「はぁー。諦めるつもりはないけど、先が長いわね」


 私たちは、調べて解った麹の難易度の高さに、軽い眩暈を起こしていた。


「なんじゃ? あの本の書いてあるフェロンが必要なのか? ならば取りに行けばようでわないかぇ?」

「えっ? フェロンって麹よね? どこかに保管されているの?」

「まあ、それは見てのお楽しみじゃ。着いて来るがよいぞ」


 フラウの後に続いて、フラウ領でもまだ行った事のない山の裾野からさらに奥へと進む。

 かなり昔に作られたような人工的な道を進むと、洞窟の入り口が見える。

 その入り口には両脇には大きな水晶が設置されていた。

 警備しているのか、岩の肌をした私と同じくらいの背丈の人が立っていて、こちらに気が付いた。


「フラウ様、珍しいだな。ここに来るとは」

「わらわの友人がフェロンを求めているのでのぅ。つれてきたのじゃ」

「おお、別嬪さん達だな。これは男どもが騒がしくなるだな」


 そのまま、入り口の男性に案内されて中に入る。

 洞窟の中は、入り口の水晶から取り込んだ光が反射しているのか、緑や青い光で床や天井の一部が光っていた。

 鍾乳洞のような道を進んで行くと開けた空間にでる。


「わぁー。幻想的だわ」

「これはすごい迫力だな」

「ぐふふ。この暗闇がなんとも心地いいわ」


 頭上の遥か上の方から続いて垂れさがる大きな鍾乳石には、光を反射する成分が混ざっているようで、入り口から取り込んだ光が複雑に反射している。

 先が見えない高さの中で、ゆらゆらとオーロラな光を反射する天井を見上げていると、吸い込まれるような錯覚を覚える。

 足元に目を移せば、豊富な水が流れていて、天井と同じように光を反射させている。

 外に比べれば暗いはずなのに眩しく感じる奇妙な感覚は、地に足が付いているにもかかわらず、浮いているようにも思えるほどだ。


「あれがフェロンじゃ」

「え? どれ?」


 フラウが指したのは水の中にある大き目の結晶だ。

 クリスタルを幾重にも重ねたその姿は、まるでクリスタルで出来た蓮のツボミのようだ。

 内側からは淡い光を放っていて、透明感のある流れる水の中にいくつも浮かび上がる姿が幻想的だ。 

 私たちが自然のスケールに圧倒されていると、フラウが水の中を泳ぐ動物に話しかける。


「クライネよ。フェロンを取ってくるのじゃ」

「わっ、フェロン」

「わっ、取ってくる」

「わっ、きゃきゃきゃ」


 クライネは耳の長いカワウソのような姿だ。

 言葉を発したことに驚いたが、クライネと言う種族のようだ。

 フラウが命令すると、他のクライネ達も一斉に四方に散らばってフェロンを採取し始める。


「これ! クライネども取り過ぎじゃ! 三つもあれば十分じゃぞ」

「わっ、三つ?」

「わっ、これ一つ」

「わっ、これで三つ」


 三匹(?)のクライネが水中から顔を出して、フェロンを渡してくる。

 首をかしげながら渡そうとする姿は、かなり愛らしい。


「おお、どれも食べごろじゃな」

「これが味噌を作るかなめの麹なのよね?」

「わっ、コウジ?」

「わっ、カナメ?」


 クライネは好奇心旺盛なのか、私の声に反応してどんどん集まってくる。


「集まってくる出ない。ノチア、こうなると収拾がつかん。移動するぞ」

「わかったわ」

「ついでじゃ。さっそく一つ食べるかのう。食堂はこっちじゃ」


 手に持ったフェロンは光が収まり、ただの石の様になっている。

 見た目からは味が想像できない。

 これに麹が入っているのだろうか?

 どんな味なのか食べるのがちょっと楽しみだ。


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