表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/79

71 シリオスの料理

 二品目がスタートする。

 勝敗を決めるのは全てを食べ終わった時だ。

 一品目の時点で水に漬けて置いた昆布に火を入れる。

 沸騰させないように火加減に気を付けながら煮ていくと出汁の良い香りが漂い始める。


「これは、なんとも良い香りじゃ! 楽しみじゃな!」


 その一方で、アイラにはかき揚げを、ルキラには麺の作成をお願いする。

 麺に関してはフラウの寝かしていた生地があったので、許可を得てそれを使わせて貰った。

 フラウの作った麺でも美味しくなることを見せたかったのだ。


「あれは! ぐふふ。シリオス……敵ながら恐ろしい男ね」


 ルキラの声でシリオスの方を見ると、なんとスライム麺を使っていた。

 スライム麺は元のスライムによって風味が変わる。

 しかも、その麺を魔法を使って凍らせ始める。


「まさか、スライム麺を研究しているなんて……」

「商人然としているのは佇まいだけでは無いと言うことだね。彼の本気度合いが受け取れるよ」


 料理が終わり、お互いの席とフラウの前に並べられる。

 私の前に来たシリオスの料理は、またしても私の予想を超えていた。


「これはボンゴレ……」


 私は言葉を失った。

 シリオスも海鮮をしっかり押さえていた。

 しかも、私の見落とした貝類だ。

 三股のフォークでクルクルとまとめると口へと運ぶ。


「美味しい……」


 貝の出汁が麺に行き渡っていて、香りが鼻腔を突き抜ける。

 大蒜パージカ唐辛子ペロニが効いていて、パンチ力もある。

 驚いたのはスライム麺の食感だ。

 麺に芯があるのだ。

 これがあの魔法で冷却したことで起きているのなら、ルキラ並みの情熱を持って研究したに違いない。


「凄いね。たいした情熱だよ」


 フラウもこれには感激しているようで目が輝いている。

 文句のない美味しさだ。

 対照的に私の料理は静かに味わっている。

 麺を啜り、スープを飲めば満たされた顔になった。


「ふむ。美味い! やはりうどんは良いのう~」


 フラウがまったりとしたところで、デザートに移る。

 私の綿菓子はすぐに出来てしまうし、一緒に完成させたいので動かない。

 一方でシリオスの方は慌ただしい。

 先ほど以上の真剣さと気迫が伝わってくる様子から、デザートに特に力を入れているのが伝わってきた。


「なんじゃ? ノチアは作り始めんでよいのか?」

「私のお菓子はみんなの力が必要なのよ」

「面白そうなことを考えている顔じゃな? ふふふ、楽しみにしておるよ」


 シリオスの料理が完成したが、まずは先に食べてもらうことにする。


「私のデザートはイベントみたいなものだから、先にシリオスのデザートを味わってもらってもいいかな?」

「シリオスよ。かまわんか?」

「はい。なにがあっても返り討ちにする覚悟です」

「よかろう。では先に食べるかのぅ」

「さあ、私の渾身のデザートです。ご賞味ください」


 シリオスが持ってきたのは綺麗なケーキだった。

 真っ白なクリームに覆われ、飴で作ったのかフラウの形のお菓子が乗っている。

 砂糖でコーティングされたイチゴのような果実が良いアクセントになって華やかだ。

 切り分けられたケーキをスプーンで食べる。


「あまぁーい」


 まず口いっぱいに広がるのが生クリームの甘さ。

 いくらでも食べられると錯覚してしまうほど蠱惑的な甘さだ。

 そこには純粋な糖のポテンシャルがあった。

 フワフワの生地はなめらかで果実の酸味が甘さを何倍にも引き立てる。


「このデザートも古文書のレシピだね」

「ぐふふ。古来のレシピを再現してフラウの郷愁を刺激するつもりなのね。これは策士だわ」

「それもあるんだろうけど、純粋にすごく美味しいわ」


 前世では私はケーキをあまり食べられなかったが、それでも懐かしくて美味しい。

 郷愁を刺激されているのは、むしろ私だ。

 フラウを見ると好みど真ん中だったのか、尻尾がピーンと逆立って、頬を上気させている。


(お腹いっぱいだけど、ラーメン食べたくなっちゃったよ~)

「うむ。これは見事じゃ。感心したぞシリオス」

「――ッ! もったいない言葉です姫!」

「じゃあ、最後は私達ね」


 私達は見学に来ている中の子供たちに手伝いをお願いして回る。

 説明は簡単なのだが、言葉だけではイメージできないのか、頭にハテナを浮かべながら頷いている子達が多い。

 私と共に子供たちが舞台に上がってくる。

 手には割り箸が握られている。


「フラウもこれを持って! 今から甘い雲を作るから、その棒で絡めとってね」

「雲を作るとな? よかろう見せてみよ」


 私は穴の開いた缶の中にザラメを入れて上に掲げる。

 魔力で火をおこし、さらに風の魔法を合わせていくと熱風にかわる。

 威力の調節が難しい。

 最初は缶の中に留めるようにして回転させていく。

 魔法陣が躍ると、缶自体も回転を始め、私は魔力を開放して解けた砂糖が糸状に外干へと飛び出した。

 頭上に急速に冷えた雨が雲のように固まりフラリと舞う。


「なんと、ノチアは雲を呼べるのか!」

「ほら、みんな! その雲をお箸に絡めるのよ」

「こうやるんだ。クルクルクルってね」

「こう? クルクル……わぁーーー! 凄い」

「あはははは! 面白ーい!」


 壇上で子供たちが駆けまわる。

 アイラの動きをマネて、次々にわた飴を完成させていく。

 みんな笑顔で楽しそうだ。


「完成したら食べてみて! 甘くて美味しいから!」

「本当だ! 甘ーい」

「おいしいねぇー」

(ああー、やっぱりこれよね)


 食べて笑顔になるのも幸せだ。

 みんなで笑って食べればもっと幸せになる。

 私の料理の理想の一つがそこにはあった。


「ふー。わらわとした事が、はしゃぎ過ぎたわい。しかしノチアよ。もう少し綺麗に出来んのかえ?」

「フラウがはしゃぎ過ぎたんでしょ」


 わた飴を飛ばし過ぎたの事もあるが、フラウの尻尾が飴だらけになってしまった。

 私は尻尾のブラッシングをさせられながら文句を言って返す。

 口では、ああは言っているが顔は実に満足そうだ。

 そして、フラウがシリオスと私を交互に見て口を開く。


「さて、では結果の発表といこうかのぅ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 2品目。うどんに1票。スライム麺は美味しそうに見えても、生理的に無理。  3品目。わたあめがケーキに勝てるとは思えん。  勝負はシリオスの勝ち。  この世界の人であるフラウが決めるのですから、結果…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ