67 フラウ領に人材派遣
「じゃあ、行くわよ」
緊張した表情のトーア達に声をかける。
ラウメ領からは、トーア以外にトボナとドンナが孤児院から来てくれる。
ダイア領からはメリナと侍女のモンティナとディーア。
ドール領からはヒューリと商人見習のアーベラとタタナがフラウ領に来てくれることになった。
街道はまだ出来上がっていないので、ダイアからドラゴン騎士に乗っての移動になる。
「我々は緊張感を持って行動しますが、ドラゴン達は良く調教されていますし、空の上は安全ですから安心してください」
デュークも加わって編隊を組み飛び立つ。
私たちは隊列の一番後ろだ。
トーア達は緊張で固くなり、メリナの侍女は冷静、商人見習たちは好奇心旺盛にキョロキョロすると、それぞれの領で反応が違うのが後ろから見ていて面白かった。
「ノチア遅いぞ」
フラウ領が見えると、すでにシリオスとフラウが待っていた。
シリオスの後ろに並んでいるのは、フラウ領内で見る種族だが、見た事の無い大人たちだ。
「我がミューヘ領と、その周囲の領に連絡を入れて、フラウに住んでいる種族と同じ種族で、なおかつフラウ領に来てくれる善良な人を募集しました」
シリオスの後ろには二十人近くが並んでいる。
「さすが大領地の侯爵家と言ったところかな」
「ぐふふ。なかなかに隙の無い布陣ね」
「トーアと同じヘーレン族もいるわね」
シリオスの手腕には舌を巻くばかりだ。
さすがのフラウもいらないとは言えないのだろう、少し不貞腐れながらも受け入れる様だ。
「ふん! 癪じゃが、礼はせねばならん。わらわが直々にその者らの住まいを建ててやろうぞ」
「これは凄い。さすがはフラウ姫」
フラウが地面を踏みしめると、木材が浮かび上がり形を成していく。
ものの数分でそこには長屋が完成していた。
「部屋は自分たちで勝手に決めるがよいわ」
ツンと顎を逸らしフラウが言い放つと、さっそく荷物を運び入れ始める。
そこで私もフラウの手を取り、ある事を提案する。
「まずは歓迎会をしましょう! フラウも料理を一緒に作るのよ」
「わらわはノチアの為にしか作らんぞ」
「少しでも馴染んでもらうためには、一緒にご飯を作って一緒に食べるのが一番だわ。フラウは私に作ってくれるだけで十分よ。私がみんなのために作るもの」
「ぐふふ。まさにノチアらしい提案だわ」
「そうだね。みんなを集めてみんなで作ろう」
その後は、思い思いで料理を作った。
特に、シリオスが連れてきた人たちが、自分の部族の料理を同じ種族に振舞っていたのが印象的だった。
一度も食べたことない料理を懐かしいような気がすると喜んでいたのだ。
「大成功ね」
「ノチアよ。喜んでいるみたいじゃが、そちとシリオスの料理対決も忘れる出ないぞ」
「ああ、覚えていたのね」
「わらわが忘れても、あやつは対決する気満々じゃ。負けることは許さぬからな」
忘れていた訳ではないけど、別に私は負けてもいい。
そんなことを考えていたら、心を読んだのかフラウに睨まれてしまった。




