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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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60 ムーハス湿原の調査

「はははは、凄いな! 自分の領地に接しているのにこんなにも未知なんて」


 ダイアに来ての私の仕事は、ムーハス湿原の地図の作成だ。

 ドラゴンの騎士たちは、もっと高度を落として、湿原に生息している生物の危険度を調査している。

 アイラは初めて踏み込む未踏の地にワクワクが止まらないようだ。

 冒険小説が好きなルキラもそれは同じなのだが、ルキラはいま必死にペンを走らせている。

 書かれた地形を見るとかなり正確で、もしかしたらルキラの加護の力なのかもしれない。


「ノチア、向こうの地形も見ておきたいわ」

「ぴぴぴー」

「ヒーちゃん。あんまり出ると落ちちゃうから」


 ルキラの首元から顔を出して翼で方向を示すヒーちゃんに注意する。

 ヒーちゃんはバレないようにルキラに付いて来てしまった。

 すぐに気が付いたのだが、もう空の上だったので引き返すわけにもいかず、そのまま連れてくることになった。


「ゴウオウお願い」

「了解したよん」


 ルキラの示した場所まで行ってみるが、濃い霧がかかっていて空からでは地形の確認が難しい。

 高度を落として近くまで行けばわかる事がありそうだが、霧のかかり方に誰かの意図があるような気がしてこれ以上は近づかない。


「ルキラ、ここまででいい?」

「ありがとう。紙も無くなりそうだから引き返しましょう」


 ルキラから、いつもの笑いが出てこないあたり、もしかしたらプレッシャーを感じているのかもしれない。


「せっかくだから、下も見ていきましょう。ゴウオウ危なそうならお願い」

「大丈夫だよん。ワシにちょっかい出す馬鹿いないじゃん」


 私の合図でゴウオウの高度が一気に下がる。

 遠くから見ていた湿原が一気に近づき、空からではわからなかった景色が見える。


「わー。結構花が咲いてるのね」

「ははは、風になるとはこのことだね」

「ぐふふ。すまぬな。我が波動が驚かせてしまったようだ」


 泥だけかと思っていた湿原には、ところどころに低い草の茂みが出来ていて、苔から生えた花も見える。

 ゴウオウの強大な力に驚いてワニのような魔物が次々に水の中に逃げて行ったのは、少し申し訳なかった。


「これが大まかなムーハス湿原の地形です」

「これは見事な! これがあればより安全で最適な街道の建設計画が作れる」

「予想以上だルキラ。さすがは我が娘」

「おっ、お父様」


 作成した地図を渡すと、伯爵は大喜びでルキラを抱き上げた。

 顔を真っ赤にしながらも嬉しそうに笑うルキラにほっこりする。


「魔物の分布はどうなっている?」

「調べたところ、危険な魔物と許容できる程度の魔物はこのようになっております」


 ルキラの書いた地図の上に、デュークが色の付いた石を乗せる。

 赤が危険、青が比較的安全な魔物だ。


「うーん。これは……」


 綺麗に安全そうな範囲が浮かび上がった。

 その中心を通るように道を作っいけそうではある。

 ただ……。


「この霧の区画にぶつかるのか」


 真っすぐに道を伸ばしていくと、あの濃い霧のエリアを突っ切る事になる。

 騎士達のドラゴンも、そのエリアを避けようとする傾向があったので、まだ未調査だ。


「私とゴウオウで調査するわ」

「危険だノチア!」

「大丈夫よ父様。私にはゴウオウがいるもの」

「ノチアが行くなら僕も!」

「アイラごめん。アイラを守りながらは調査できないわ。私にはゴウオウもいるから大丈夫よ」


 私の言葉にアイラが悔しそうにする。

 それを見て、胸がチクリと痛んだ。


「私も戦力外とは言わないですよね? ドラゴンの騎士として同行させてもらいます」

「そうだな。さすがにノチア嬢一人では心もとない」

「ノチア、いざとなったら盾にして逃げるんだよ」

「父様!」


 一時は緊迫した空気が笑いに変わり、私の霧の中への探索が決まった。


「アイラ、怒ってる?」

「自分が男じゃないことが悔しいだけだよ」

「ぐふふ。もし男ならゴウオウには私とノチアの二人で乗れるわね」

「なっ! ふふ、そもそも令嬢だったからノチアに出会えたのか……」

「そうそう。こんな時はお風呂に入ってスッキリしましょう。泥は撥ねてないけど沼地は少し臭かったもの」

「ははは、そうだね。明日頑張るノチアの背中を流してあげなくちゃ」

「ぐふふ。疲れも吹き飛ぶ魅惑のマッサージをしようぞ」


 翌日、シュリン伯爵の用意した鎧を身に着ける。

 女神の加護を意識した真っ白な鎧だ。

 これから行くのが沼地のため、かなり軽くて丈夫な素材で出来ている。


「ぐふふふ……ノチア様かっこいい。はわわ」

「惚れ直したよノチア」

「ありがとう。ルキラ、アイラ」

「では行きましょう」


 念のためにデューク他二名のドラゴン騎士が先導役になり飛び立つ。

 すぐに私もゴウオウにまたがって後を追う。


「さぁ、ヘビが出るかじゃが出るかね」

「ノチア……それじゃ蛇しか出ないじゃんよ」

「……間違えちゃった」


 実際、何も出ないのが一番だけど、何か出そうな予感は消えなかった。


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