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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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56 悪だくみを挫く方法

 オンリー商会に着くとそこにはアルティが居た。

 アイラの事を見た彼女は酷く驚いたが、立ち上がり礼を取る。

 その姿に、こちらに対する侮りはない。

 それどころか、軽い緊張が伝わってくる。


「ようこそいらっしゃいました。ルキラ様、アイラ様、ノチア様」

「ああ、あなた方の商会の忌憚なき意見を聞きに来たよ」


 アルティは私たちを中に通した。

 その部屋は商談用の部屋で、グレンツェ商会に比べると質素にも見えるが、机も絨毯も質の高いもので揃えられていて、見せつけるのではなく寛ぎを与えてくれる、そんな雰囲気だった。

 向かい合って座ると、アルティは真剣な顔になる。


「……忌憚なきですか。まず初めに、我が商会の取引相手から苦情のような要望が上がっているのは事実です」


 アルティが悔しそうに一度俯くと顔を上げた。


「ガストル領は、商品の値を吊り上げる以外にも、審査に時間がかかると言って、荷を止めるのです。食料品を扱う我々にとっては、時間をかけられると商品価値が下がるものも多い。……しかし、そのことで領主様に反感など持っている者がいないことだけは断言させてください」


 アイラは黙ったままルキラを見た。

 ルキラはそれに静かに頷き返した。


「ぐふふ……いえ……わかっています。そもそも、あの契約書が出た時点で、ブンシェが黒なのは確定でしょう。会話では対立しているように見せていましたが、スレドもグルの可能性がありますね」

「本来はもっと慎重なんだろうけど、僕たちを物を知らない小娘と侮り、功を焦ったようだね。サインされないままで書類をこちらに握られてしまうんだから」


 アイラが肩を竦めた。

 相手が侮るのも仕方がないとは思う。

 事実、私たちは十二やそこらの小娘なのだから。


「ぐふふ、奴らの処分は父様……我が眷属に任せようぞ。それより、混沌なる血の詰まりをどう正す?」

「街道については考えがあるよ。まずは、アハトでゴウオウの捺印式を行おう。アハトに注目が集まることで、ガストルと内通している勢力を牽制できるはずだ」


 アイラとルキラでどんどん話が進んでいく。

 完全に任せっきりの私は、オンリー商会が食品を扱う商会だと聞いて、魚醤があったりしないかなどと、呑気に考えていた。


「日程はルキラに任せるよ。まずはドールの町に戻って、ヒューリを通じて竜の目撃情報があったとデューク様に伝えよう」

「ぐふふ。闇の宴の始まりは近そうね」

「闇の宴!」

「いや、物の例えだから、アルティは気にしなくていいよ」


 こうして話し合いが終わり、私たちはドールに帰ったあと、デュークの到着をまった。

 デュークはヒューリから連絡が入った時点で、根回しをすでに済ませていて、捺印式にくる中央の役人の選出まで終わらせていた。

 連絡と同時に移動を開始したので、捺印式の日は役人がアハトに到着した翌日になった。

 ドールに戻った私は、館の離れにゴウオウを呼んで事の経緯を軽く説明した。 


「でも、いいの? ゴウオウ。交渉の場を作れた理由が『清らかな乙女が森で薬草採取をしていたら、それに惹かれて現れたので接触に成功した』なんて理由で。女の子好きのレッテルが張られちゃうわよ?」

「ノチアがそれで助かるなら構わないよん」

「まあ、清らかな乙女のお願いだし、間違いじゃないさ。それに乙女って括りにしてしまえば、個人名を出さなくても良いしね」


 ユニコーンの設定を思いついてでっち上げた理由だが、ゴウオウが不満に思わなくて良かった。

 個人ではなく若い女性全般にしてしまえば、特定しようと言う流れになりにくい上に、必ず呼び出せるわけではなく出来る。


 グレンツェ商会会長のブンシェに関しては、契約書が決定打にはならなかったが、背後の貴族や関係者の洗い出しが行われている。

 決定打ではなくても、領主に目を付けられて、後ろ盾を失えばブンシェの影響力は落ちるので、その隙にアルティに頑張ってもらうことにする。



――そして、数日が経ち、いよいよ明日が捺印式だ。


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