53 いただきます
「ノチアっち、スープの方は出来たっすよ」
「麺も茹で上がるわ」
早朝にはダイアを出ていたこともあって、昼にドールに着くことができた。
ならばやることは一つしかない。
ラーメンを完成させて、お昼ご飯だ。
テスラさんに丁寧に出汁の効いたスープを用意してもらい、醤油を用意して合わせる。
麺はルキラが切って寝かせておいてくれたので、湯を沸かして茹でるだけだ。
今回は贅沢にも、出汁を早く出すために鶏の魔物のミンチの肉を使っている。
「こうなると持ち手も付いたザルが欲しいなー。湯切りでザッってやりたい!」
「ぐふふ。秘伝の妙技かしら? 想像も出来ないわね」
「茹でた麺の湯を切るのよ。こうやって」
私が記憶にある麺の湯切りのポーズを取る。
実際は、麺が零れないように丁寧に湯を捨ててモタモタしながら移すのだが。
テスラさんの分も合わせて四つの丼に入れる。
ミアに恐れ多いと断られてしまったのは残念だが、家族で食べる時に一緒に食べれられるから今は良しとしよう。
最後に、細切りしたモールゴン(ネギ)を乗せれば完成だ。
「ついに完成ね。思えば長かったような。短かったような……」
試行錯誤していた時を少しだけ思い出して目を瞑る。
目を開けて視線を前に向ければ、アイラもルキラは笑顔で私を見つめていて、テスラがうんうんと頷いていた。
(ああ、なんだか不思議ね)
少し前の私だったら、家族と食べることを真っ先に優先していただろう。
だが、今は苦労したみんなとラーメンを食べられることがこんなにも嬉しい。
私の世界もラーメン作りと共にこんなにも広がっていたのだ。
もう一度ラーメンを見る。
足りないものはまだたくさんある。
チャーシュー、メンマ、ナルト、味玉も欲しい。
豚骨も作ってみたい。
魚介出汁もいいな。
つけ麺はもタンタンメンも。
まだまだラーメンはある。
でも今はただ……。
「……いただきます」




