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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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43 長距離の空駆け

 今回は長旅なので早めに一度休憩を取ることにする。

 ラウメを出てから二時間ほどの地点で、場所はダイア領に入る手前だ。


 森の中に降りると身だしなみのチェックをする。

 外套はさすがの作りで特に問題はなさそうだ。

 仮面は常に付けているのは息苦しいので、すぐに装着で着るように頭の上に被っている。

 仮面と言っても、前世で言う目出し帽になっているので、普段はただのニットの帽子だ。

 完全に被ってしまえば不審者なので、使わないで済むこと祈っておく。


「さて、空の旅を再開しますかー」


 再び空に舞い上がりドールへ向けて進む。

 するとダイアの街の近くを通る時にまたしてもドラゴンの影を遠目に見つけた。


「ええー。5日も立っているのになんでまだいるのよ」

「ぶっちぎれば問題ないんよー」

「そうね。お願いゴウオウ」


 幸いにも見えたのは前と同じムーファス湿原の上空だ。

 私は構わず全力で逃げることにした。

 向こうはあらかじめ警戒していたのか前回よりも反応が早かったが、速度的には問題なかった。


「ダイア抜けてから休憩しようと思ってたけど、どうしようかなー」

「ノチアが大丈夫なら休憩無しで飛んでもいいよん?」

「そうね。今回はこのまま飛び続けてもらうわ」


 それから初めての長時間の飛行が開始される。

 ⋯⋯っと言っても、私は操縦しているわけでもなくただ乗っているだけなので、ゆっくりと景色を楽しんでいるだけなのだが。


 しばらくして、ゴウオウの背の上で昼ご飯を食べる。

 飛び続けているので、本来は私もすごい風にさらされているはずなのだが、魔法で守ってくれているのか、ゴウオウの上は無風では無いものの強風と言うほどではなく、ご飯を食べることも可能だ。

 母様が持たせてくれたサンドイッチを食べながら後ろを確認して、追手の見えないことに安心する。

 そして五時間が経った頃、ゴウオウが近くの森の中に舞い降りた。


「どうしたのゴウオウ。疲れた?」

「疲れてるのはノチアの方じゃんね」

「私? って、あれれ?」


 ゴウオウに言われて背から降りた私は、腰が砕けたように座り込んでしまった。

 立ち上がろうにも上手く足に力が入らない。


「乗っている間は気が付かなくても、集中力も気力も減ってってるじゃん? 気がつくのに遅れて悪かったんよ」

「いいえ。ありがとうゴウオウ。私こんなに疲れていたのね」


 自覚した瞬間に、さらにどっと疲れが押し寄せてくる。

 運動しているわけではないので、息こそ切れていないものの、疲れの芯のようなものがある事に気がつく。

 腰のベルトに付けた水筒を取って喉を潤し目を瞑る。

 しばらくして、立ち上がってみると、身体は以外にも凝り固まっていて、ゆっくり足先から順にほぐしていく。


「あと三時間も飛べばドールの街が見えてくるわね。少し離れているけどドールの街の南には海があるって聞いたわ。空からなら見えるかな?」

「海! 行きたいじゃん!」

「ゴウオウは海に行ったことないの?」

「ノチアと行くから良いんじゃんよ!」

「そうね。機会があったらいきましょうか」


 そうして、一時間くらい休憩を取った後、再びドールに向けて飛び立つ。

 合流場所は決めてあるが、もりかしたら馬車を追い抜かしてしまう可能性もある。

 そのため、ここからは街道沿いを飛びながら、テスラさんの乗った馬車も注意して見ながら進む。


 そして、ドールに入って街道の上を実際に飛んでみると、ラウメとの違いに驚かされた。

 まず、話には聞いていたが、街道の綺麗さが全然違う。

 小麦色の広大な畑の中なのに、石畳の道は太くて作りもしっかりしている。

 綺麗に形の揃った石が敷き詰められていて、変な言い方だが道自体に重厚感があるって歴史を感じるのだ。

 そして、村が見えてきたと思えば、それは町と呼べる規模のものばかりで人口の多さに圧倒された。 

 石造りの立派な煙突が並んでいて、それが工房ではなく民家のものだと気がつくのに少し時間がかかってしまった程だ。


「ドール領って凄いのね。ダイアも凄いと思ったけど、規模が桁違いよ」


 もちろん、ラウメの牧歌的な雰囲気も私は大好きなので比べるべきではないのだが。

 出発してから、すでに十一時間以上経っている。

 空はすっかり茜色に染まっていて、小麦色の畑を更に幻想的に染め上げている。


「ここまでは街道でテスラさんの乗った馬車は見えなかったね。よし、もう集合場所に向かっちゃおう」


 ドールの街の手前にある集合場所の村は、エリス大森林から少し離れている。

 ラウメもダイアもエリス大森林からの恵みを受けるために、森の近くに街がある。

 ドールの街も類に漏れずにエリス大森林の近くにあると聞いているのだが、小さな村ではエリスの森に近すぎるのは不安だからだ。


 私は周囲に村人がいないのを警戒しながら、すばやく村の近くにある森に降りた。

 この森の近くにテスラさんが来ているのなら、メンマが気づいて迎えに来てくれるだろう。

 しばらくその場で待機していると、予想通りにメンマが迎えに来てくれた。

 メンマに乗って、テスラさんのいる村まで行くと、テスラさんは前回と同じ様に鍋を火にかけてスープを作っていた。

 手を振ると気が付いて振り返してくれた。

 よく見れば、少し疲労感が滲んでいるように見える。


「おー、ノチアっち来たっすねー」

「お疲れさまテスラさん。長旅をまかせて私だけ帰っててごめんなさい。領から何か食べるものでも持ってくればよかったね」

「良いっすよ。冒険者は旅慣れしてるんす。それに合流したらドールの館でゆっくり出来るっすから」

「そう言ってもらえると助かるわ。それじゃあ、スープを飲んだら向かいましょう。今日中に付いておきたいし、あまり遅くなるわけにも行かないものね」

「どうぞどうぞ。今度のも自信作っすよー」


 そうして、スープを少し飲んで、着ていた外套とマスクを脱いで馬車に乗る。

 いよいよ、ドールでの社交がスタートだ。

 仄かな緊張感と期待を解すように私は夕日を見ながら小さく息を吐いた。

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