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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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42 ドール領についてのお勉強

 ラウメに帰ってきた私は五日間で弟妹成分をたっぷり吸収するつもりでいた。

 しかし、姉離れさせると言う名目で、弟妹との戯れる時間は減らされてしまった。

 その代わりに、令嬢教育とドール領の知識を叩き込まれている。


「ノチア様、今回のドール領はしっかり歴史を学んでおいたほうがよろしいのです」


 そう言って、家庭教師のヴァネッサさんが資料を机の上に次々に重ねる。

 私は一番上の資料を開けた。


 ドール領の歴史は意外と浅い。

 正確には百年くらい前まではメルカマル領と言う、当時はエブラ侯爵家が管理していた大領地だった。

 メルカマルは、豊富な銀の採掘と南の群島国家との貿易で栄えていたのだが、エブラ侯爵の死後、二人の息子による後継者争いが勃発してしまった。

 領地が荒れに荒れた事で(恐らくメルカマルの発言力が高まりすぎている事に警戒心を持ってた)王家は、その騒動を理由にメルカマル領をドールとガストルの二つに分けて別の領地として管理させたのだった。

 それ以降もドールとガストルは、メルカマルを衰退させた理由をお互いに押し付け合っていて、今でも犬猿の仲らしい。


 領地が分れた今でも、ガストルが銀の採掘と軍馬の生産地、ドールは家具の生産と貿易品の流通で成功を続けているので今も発言力は高いそうだ。


「ドールにとってはガストルは逆鱗にもなりかねません。しっかり学んでおきましょうね」


 言われてみれば婚約の申込みはガストル領からは来ていなかった。

 今回のポーションのアージュ豆騒動はガストルとしては面白くなかったのかもしれない。


「いくら私でも、そんな地雷を踏み抜いたりはしないわよ。そんなことよりドール領の立地とね」


 ドール領の勉強をしてわかったことは、他国と貿易していると言うこと。

 そう、つまりは南側が海に面しているという事なのだ。

 

「ついに、出汁のレパートリーにカツオや昆布が増えるかもしれないのよね。これはみなぎるわ。ふふふ」


 元々ドールの令嬢が見たことない麺を食べているという情報が始まりだった。

 もしかしたら、ドールへの来訪でラーメンが完成するかもしれない。

 行きたり理由がしっかりしたことで、勉強にも身が入り、五日間はあっという間に流れた。


「ノチア、しっかりね。くれぐれも無茶は駄目よ」

「「いっってやっしゃい」」

「わかりました母様。それじゃあ、行ってくるねルーナ、ソラーレ」


 私は、手に持ったお茶と軽食の入った袋を持ち上げて見せる。

 今回も朝早くの出発しての長旅になるので母様が持たせてくれたのだ。

 腰にベルトを回してその袋を結びつける。

 母様たちに挨拶して済ませた後は、デッカのところに向かう。


 デッカのところに着くと頼んでいたものを渡された。

 デッカには変装用のフード付きの外套と仮面を頼んでたのだ。

 受け取ってさっそく外套を着てみると、サイズはぴったりだ。

 外套といっても、足の先にくる部分がズボンの様に絞ってあって、足をその穴に通して前を閉めれば、モモンガのようなシルエットになる。

 スカートのままで履けて、めくれ上がるのを防いでくれる見事な出来だ。


「かわいい。ルーネとソラーレに着せたいよ」


 白く染められた皮の生地はかなり厚みがあって、少し重いくらいだ。

 これならゴウオウの上での風で裾がヒラヒラしないで済むだろう。


「ありがとうデッカ。想像していたよりもいい出来よ」

「当たり前じゃ! ワシは何をやらせても天才じゃからな」


 デッカと軽くやり取りをた後、ゴウオウを呼んですぐに空に駆けあがる。

 こうして空を飛ぶのも五回目だ。

 短期間で何度も往復したからか、空を飛んでいることにすっかり慣れてしまっているのが、なんとも変な感じだ。


「ドールまでは馬車でも九日もかかるんだものね。前回のダイアまでにかかった時間を考えても、休み無しでも十時間以上かかりそうね」


 自分で言っていて、よくこんな無茶な事をしようと思ったものだと息が漏れる。

 さすがにドールに付いてから毎日往復はできそうにない。


「ゴウオウごめんね。疲れたらいつでも言ってね」

「こんなのなんともないんよー。ワシはノチアと飛べて大満足じゃん?」


 ゴウオウがそう言ってくれるから、甘えてしまう。

 ゴウオウの背をそっと撫でながら、私もゴウオウに何かしてあげられる事はあるのかな、と考えた。

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