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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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40 空とニアピン

 ラウメに帰った私を待っていたのは、ルーナとソラーレの包容だった。

 抱き付いて離れない姿が愛しくて堪らない。

 これだけでも頑張っ帰ってきた甲斐があった。

 しかし、昼の間に一緒に町で過ごすと以外なほどにあっさりと解放された。


 もっと甘えられると思っていた私は、拍子抜けするとともに寂しさを感じてしまった。

 甘えたりなかったのは私の方で、夜に母様に頼んで弟妹と一緒に寝させてもらったほどだ。

 テスラさんやアイラの言う通り私の方こそ、よほど弟妹離れが出来てないようだ。


 朝になって起きた後、ルーナとソラーレを起こさないように慎重に部屋を出て、急いで森に向かい、ゴウオウに乗ってダイアに飛ぶ。

 我ながら過密なスケジュールだが、ダイアでの滞在期間が終われば、またしばらくはラウメでゆっくり出来る。

 それよりも、ドールに付いてからも日帰りを続けるのなら、何かいい方法を考えなければならない。


「まあ、結局ドールに着いてみないとどうなるかわかんないんだけどね」


 そんな事をぼやきながらダイアに向けて飛んでいると、ふと左側の遠くの空に大きな鳥が飛んでいることに気がつく。

 

「おっ? 珍しい。ドラゴンじゃんよ」

「ドラゴン? 竜じゃなくて? ドラゴンと竜って何か違いがあるの?」

「はぁ? ドラゴンなんてトカゲと一緒じゃんよ? 竜はもっと知性があって神聖で気高い生き物なんよ!」


 珍しくゴウオウが憤っている。

 ゴウオウの言ってる言葉はただの自画自賛になると思うのだが、その後も続けたゴウオウの力説した内容を要約すると、ファンタジーに出てくる知性あるドラゴンがこっちだと竜で、ドラゴンは前世で言う恐竜のような位置のようだ。

 なぜ逆なんだろうか?

 正直、前世の知識があると凄く紛らわしい。

 まだ遠くだが、言われてみるとドラゴンがトカゲっぽく見える気がしてくる。


「向こうは気が付いてないみたいだし、進路上でも無いから無視してそのまま行こう」

「もともとあんなのに興味はないんよー」


 ゴウオウが私の意見を聞いて速度を上げる。

 一瞬、ドラゴンの方がこっちに反応した気がしたが、ゴウオウの速度ですぐに振り切った。


 無事に前回アイラと別れたムーファス湿原の傍の森に降り立つと、そのままお土産を買った村に向かって歩き出す。

 すると、頭上をあのドラゴンが通り過ぎていった。


「大変! あのドラゴン、ダイアの街に向かっているじゃない!」


 私が咄嗟にゴウオウを呼ぼうとすると、ドラゴンが旋回して私の方に来る。

 私は剣をいつでも抜けるようにかまえた。


「そこの令嬢! なぜお一人でこの様な所を歩いておられるのですか!」


 ドラゴンから声がして、そのままドラゴンは私の前に降り立った。

 そして、背から誰かが降りてくる。

 金色の髪の青年だ。

 身につけた青の鎧には細かな細工が施されていて、人目で身分の高さが見て取れた。

 まずいと思った。

 さすがの私も、明らかに関わると面倒な事になりそうな相手には慎重になる。

 どう言い訳しようかと考えていると、アイラの乗っていた馬車が近づいてくるのが見える。

 馬車と並走するメンマがドラゴンに気づいて飛び跳ねたのがわかった。


「アイラー」


 こんな時はアイラに助けてもらうのが一番だ。

 私は必死に馬車に手を振ってアピールする。

 すぐに馬車は私に気が付いて目の前に来て止まった。


 この後、重要なのは第一声だ。

 この状況(私も良くわかっていない)をいかにアイラに伝えるかがカギになる。

 馬車から出てきたアイラがドラゴンから降りてきた青年を一瞬睨んだ気がしたが、アイラに上手く伝えるために口を開く。


「アイ⋯⋯」

「もう、ノチアったら、いくら朝の散歩が好きだからって離れ過ぎては危険でしてよ?」

「ごっ、ごめんなさいアイラ。散歩している間に、朝の湖畔まで行ってみたくなってしまったの」


 アイラが青年の方を向きカーテシーを取る。


「デューク様。ご心配ありがとう存じます。私どもは大丈夫ですので、どうかお勤めにお戻りください」

「あっ、ああ。ノチア嬢でよかったかな? 村の近くとは言え、魔物も出ないとは限りません。令嬢がお一人で歩き回るのは危険ですのでもうお止めください」

「お心遣いありがたく存じます。以後気をつけたく存じます」


 それだけ返すと、私はそそくさと馬車の中に逃げた。

 私が入るのを見届けると、青年はドラゴンに乗り直し、空に舞い戻っていった。

 離れていく後ろ姿を見送って、私は大きく息を吐く。


「ありがとうアイラ。一時はどうなることかと思ったよ」

「まさかデューク様がいらっしゃるなんて、私も驚きましたわ」

「知り合いなの?」

「ええ、お姉様の婚約者のソラチ様が竜騎士団に所属していますの。デューク様はそこの団長ですわ」

「あれが竜騎士。ゴウオウが聞いたら怒りそう」


 私は『あれは竜では無くドラゴンなんよ! ドラゴン騎士団に変えるんよ』と怒っている姿を幻視した。


「とにかく、誤魔化せて良かったですわ。竜に乗ってる所なんて見られてしまったら大事ですわよ」

「あっ!」

「⋯⋯ノチア?」

「見られてない。見られてないよ⋯⋯たぶん」

「まあ、あの場で問い詰められてないなら大丈夫でしょうけど、何か言われても知らぬ存ぜぬで通しましょう」


 私達はそう結論づけて頷き合うと、街に戻る為に馬車を進めた。


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