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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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36 ゴウオウの姿の訳は

「えっ、小さくなるなんて聞いてない! これじゃゴウオウに乗ってドール領に日帰りする計画が水の泡だわ」


 私はショックで膝から崩れそうになる。

 真っ白な鱗と四枚の羽はそのままだが、サイズだけが小さくなっていた。


「やっと来てくれたと思ったらどうしたんよ? こっちはあんまりにも来ないノチアの為に、町でも目立たない様にわざわざ形を変える進化の途中なんよ?」

「えっ? 来なかったって言われても、会いに行くなんて別に約束してなかったよね?」

「ひどっ! パスまで繋がってる相手を蔑ろにしすぎじゃんよ!」

「繋がってるって⋯⋯それってそんなに大事な事なの?」


 そもそも、パスが繋がったと言うけれど、そこまで深く繋がるような事はしていない気がする。

 せいぜいピーピンバードの討伐を手伝ったくらいだ。


「ワシの威圧を跳ね除けた時に、ノチアにぶつけられた高潔な意志に、ワシは打たれたんよ。対等な存在として接して、ノチアもそれに答えたからこそパスはつながったんよ?」

「竜に対してあれだけの担架をきれる存在もいないっすからね。当時は七、八歳くらいでしたっすから驚きっすよ」


 テスラさんが納得と頷く。

 あの時は前世の記憶に引きずられて、私もムキになった自覚がある。

 竜の存在なんて知らなかったし、脅威に対して無知なだけだった。

 正直、過剰な評価な気がして納得はいかない。


「あれ? そういえば、いまテスラさんもゴウオウの言葉がわかっているの?」

「あっ、ホントっすね。なんでか疑問に思わなかったっす」

「ふふふふ! ワシも人里に降りるために努力してるんよ」


 そこで、小さくなったゴウオウをもう一度見る。

 サイズは三メートルくらいだろうか、前回の十分の一以下になっている。

 そして、私はある可能性に気がついてそれを口にした。


「人里に降りるって⋯⋯まさかゴウオウ、人に化けようとしてたんじゃ⋯⋯」

「そのまさかなんよ。 ノチアが来ないならもう人になるしかないじゃんよ?」

「ゴウオウ、元の大きさには戻れるの?」

「今なら出来なくはないっしょ? でも完全に人化したら戻れないかもじゃんね?」

「あっぶなー」


 その言葉を聞いて肝が冷える。

 もしドール領に行く決断を、もう少し先送りにしていたら『ゴウオウに乗ってドール領に日帰りプラン』の道が潰えていた事になる。


「ゴウオウ、元の大きさに戻ってよ。私を乗せて飛んで欲しいの」

「えー。せっかく苦労してここまで小さくなったんよ? 戻るのは嫌なんよー。別にノチアを乗せて飛ぶならこのままでもできるっしょ」


 そう言うと、乗れとばかりにゴウオウが屈むので素直に跨る。

 乗ってみると意外と安定感があって、なんだかプールのシャチの浮き輪に乗ってるような気持ちになる。


(まあ、実際には私は乗ったこと無いんだけどね)

「どうするんよ? 飛んでみる?」

「軽くね。軽く一周くらい?」

「わかった。ちゃんと掴まるんよ」


 そう言うとゴウオウが飛び上がる。

 一瞬にして浮上したが、衝撃は体に一切伝わってこなかった。

 そして、ゴウオウが旋回するように飛ぶと景色が一気に流れ始める。

 高度はなかなかに高くて、眼下にはラウメ領の町が見下ろせる。

 そのまま町の端に沿って回り込むように飛ぶと、あっという間に東のエリス大森林から町を中心にグルッと反対の霊峰ファナまで飛んできた。


「これだけの早さがあれば、ドール領を日帰りで帰ってくる事は出来そうね。よかったー」


 計画は成功しそうで、私はホッと息を吐く。

 安心して周囲を見回せば、広大なエリス大森林や、霊峰ファナの頂上付近で落ちる雷までよく見えた。

 不思議なほどに開放感に包まれていて、このままいつまでも飛んでいたいと思ってしまう。


「ダメダメ! 目的を思い出すのよノチア! ありがとうゴウオウ、もう戻ってくれる?」

「もう少し飛ばない? ノチアと空飛ぶの気持ちいいんよー」

「それなら、あとで思いっきり飛んでもらうわよ。その時にはお願いね」

「まあ、それなら今回は諦めるんよ」


 テスラさんのところに戻ってゴウオウから降りる。

 すると、急に立ちくらみがする。


「あっ、あれ。酔っちゃったのかな?」

「大丈夫っすか? ノチアっち」

「あー。ノチアを乗せて飛んだ時に、ワシの魔力とノチアの魔力がお互いの間に流れ合ったんよ。それで体に負担が出たっしょ。慣れるまでは、少し疲れるのは仕方ないんよ」

「大丈夫よ。日帰りのためだもん。⋯⋯それから、ゴウオウは私になにかして欲しいことはない? 飛んでもらうだけじゃなくて、私からもお礼がしたいの。与えられる事を、当たり前だとは思いたくないから⋯⋯」

「そんなん別にいいっしょ⋯⋯って言いたいとこだけど、ノチアがそうしたいと願うんなら考えておくじゃんよ」


 ゴウオウも納得してくれたので、一旦館に戻る。

 ドール領に行くにしては先触れを出さなければならない。

 予定は決めて、父様に手紙を書いて貰う。


 それとは別に、私からアイラとルキラ嬢に手紙を出す。

 ドール領のルキラ様とはヒューリ様の紹介で、すでにこの二年間で手紙のやり取りを何度も繰り返している。

 ルキラ嬢も趣味がアイラと似ていて、冒険譚が大好きらしく手紙では私の冒険話をよく催促される。

 文章はとても女の子らしくて、なんだか可愛い人だ。

 手紙でアイラとルキアにはゴウオウで行く旨を伝えて、目立たない着陸場所(?)を教えてもらうつもりだ。


「こうやって根回しもできるなんて、私もすっかり令嬢ね」


 ドール領日帰り計画が上手くいきそうで、私は部屋で手紙を書きながらガッツポーズをした。 

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