27 メンマメテオ
「ノチアっち、始めに言っとくっすけど、白雷虎の縄張りより二つ前までの範囲が限界っすよ。この山の奥はマジでヤバイっすから!」
「わかった。私にはどこまでが範囲か分からないからテスラさんの指示に従うよ」
山の奥に進むにつれ緊張が高まる。
メンマを追っている途中でも何度か魔物に襲われた。
テスラさんの協力もあって、すぐに撃退できているが、メンマを見失ってしまっていた。
メンマの痕跡を追いながら、魔物の襲撃も警戒して、ゆっくりと進む。
「メンマ無事でいてね」
「こっちっすね。近いっす」
テスラさんの指示で藪を抜ける。
するとそこには想像もしていない光景が広がっていた。
「えっ、メンマが⋯⋯飛んでる!」
「あれはブレーブバードっす。ヤバイっす! 可愛いっすー!」
なんと、メンマに翼が生えて飛んでいた。
正確にはブレーブバードが何故かメンマを持ち上げて飛んでいたのだった。
丸い毛玉のメンマを丸くて可愛い鳥が必死で持ち上げている姿はかなり可愛かった。
シルエットはまさに雪だるまのそれだ。
「どういう理由でそうなったのかは分からないけど、形勢は良くないみたいね」
「助太刀するっすよ」
メンマの前には無数の魔物の鳥が威嚇するように滞空している。
まさに一触即発だ。
「メーメメー」
「ぴぴぴー」
メンマの掛け声で両者が一斉に動き出した。
テスラさんがシールドでメンマに近づく魔物を弾く。
メンマ達も足で魔物を叩きながら、どんどんと奥に進んでいく。
「メーメ。メメメー!」
「ぴーぴ」
そして、メンマが合図するとブレーブバードがメンマを空中に離した。
落ちながらメンマは急速に回転する。
そして、すごい勢いで巣の中央に落下した。
「ぐげぇーーー」
ひときわ大きな鳴き声が響く。
すると、他の鳥の魔物達の統率が一気に乱れた。
「今がチャンスっすよノチアっち!」
「わかったわ。ファイアー」
私とテスラさんで、残っている鳥の魔物を一気に蹴散らしていき、メンマの落下地点まで急いだ。
するとそこには、上半身が人の女性のような鳥の魔物が、泡を拭いて倒れていて、メンマが踏みつけていた。
魔物の横には、メンマのご飯の入ったバスケットと、他の鳥の卵と思われる残骸が散乱していた。
その卵の側にブレーブバードが降り立ち、ぴよぴよと悲しそうに鳴いたあと、敬礼のようなポーズをとった。
「メメメ」
「ピーピヨ」
ブレーブバードの肩を叩くようにメンマが振れる。
その時、確かに二匹の間には何かが交わされた。
そして、ブレーブバードは静かにその場を飛び立とうとして⋯⋯
「待つっすーーー!」
テスラさんに鷲掴みにされて捕まった。
「テスラさん!」
「ブレーブバードは保護対象の動物っす。行かせるわけにはいかないっすよ」
真剣な顔で言っているテスラさんだが、すでに匂いを嗅いでいた。
ブレーブバードは必死に逃げようとするが、そこにメンマが鳴いた。
「メーメーメメ」
「ぴよーぴぴ」
それを聞いたブレーブバードは、何かを悟った様に静かになった。
その後は、メンマの指示でテスラさんが手を離しても逃げようとはしなくなっていたので、今度は私の番だ。
「テスラさん⋯⋯この魔物の鳥たちは食べられる?」
「あー、セーレン以外は美味しいっすよ」
「命を粗末にするのはダメよね。すぐに処理して持ち帰りましょう」
「うっす。血抜きは任せるっすよ」
私達は倒した魔物の鳥を残さず回収した。
絶対、鶏ガラスープを作るぞ。
そう決意して帰ると、はしゃぎすぎたのかアイラにちょっとだけ怒られてしまった。
それでも、今回の山の探索は大成功に終わった。
私は笑顔で館に帰った。




