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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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24/63

24 こき使って使われて

「ん? どうしたノチア呆けて」


 ゴウオウが首を傾げるがぜんぜん可愛くない。

 今の私の頭の中は、どうこの事態を収拾するかで一杯だ。

 思わず心の中で叫んでしまう。


(もー! ゴウオウなんてタイミングで来るのよー)

『おんやあ? 不味かったか? ワシそう言う空気とか読めんのよ。竜だしのー』

(えっ? いま私の頭の中の声に答えた?)

『そんなの余裕じゃん? ワシ竜だし』


 あらためて周りを確認する。

 今は沈黙が支配して、誰も動こうとしていない。

 ゴウオウの威嚇が効いているようだ。


 気持ちを整理する時間はあるようなので深呼吸すると、私は疑問をぶつける。


(なんで来たの? それにどうしてこの場所がわかったの?)

『ピーピンバードのお礼をしようと思ったんよ。ノチアの場所はあれだ。前回の取引でパスが繋がった、みたいな?』

(来るにしてもタイミング悪いよー。⋯⋯ん? 逆に良いのかな?)


 ゴウオウが来た時点でどんなタイミングでも騒ぎにはなっていた。

 そう考えれば、いっそこの騒ぎも商人のせいにしてしまえば良いのでは無いだろうか。


 幸い人的被害は出てないし、周りの建物も無事。

 商人は気絶してしまっているし、本人の店だけがぺちゃんこだ。

 竜の怒りで商人の家が壊わされた、筋書きはそんな所でいいだろう。


(ゴウオウ、とりあえずこのまま飛び去って。あとで絶対に会いに行くから)

『あいよ。まあ、お礼する相手に迷惑かけるつもりはないんよ。了解だよー』


 そう言って、ゴウリュウは山へと飛び立つ。

 あとは私が何も知らない体で振る舞えばいいだけだ。


「わー。怖いかったー。こんな町中に竜がでるなんてー」


 私は手に持った剣をゆっくりしまうと、頬に手を当てて怯えたフリをする。

 そして、アイラに目配せして商人を見る。


「まさかこの商人、住民だけではいざ知らず、竜にまで恨みをかっていたのね。信じられませんわ」

「すぐに怒りを沈めて帰ってくれなかったからよかったねだー。あぶなく被害が出るところだったわー」

「住民を危険に晒すなんて許せませんわね!」


 アイラが私の意を汲んで、すぐに乗ってくれた。

 これで安心だ。

 ゴウオウが去ったことで特捜兵も動き出す。

 隊長らしき人物が私を見ているが、知らないったら知らない。


「後日、正式に話を伺います」

「捜査には協力いたしますわ」


 これ以上はボロが出そうなので、アイラが牽制してくれているうちに退散する。


————


「それでねー。悪し商人を懲らしめたんだよー」

「あらそうなの。ノチアが立派に正しく育ってくれて私も嬉しいわ」

「メーメメー」


 私は椅子に座って服を編む母様の横で、メンマにかぶさる様にうつ伏せに寝そべりながら、今回のことを母様とお腹の中の弟妹に語りかけた。

 もう母様のお腹もかなり大きくなっている。


「ねえ。いつ生まれるの?」

「そろそろだってお医者様は言っていたわね」

「楽しみですわね」


 側に控えめに立つアイラも母様の前ではちゃんとしたお嬢様口調だ。

 まあ、相変わらず男装ではあるが。


「そういえば、ノチアを尋ねてお客様が来たってケイシーが言ってたわよ」

「ケイシーさんが? 誰だろう?」

「ドワーフでデッカと名乗っていたそうよ」

「ああ、丼が来たんだ! ごめんなさい母様。私いってくるね。アイラ行こう! メンマは母様をお願いね」

「慌てて転んでしまわないようにね。気をつけていってらっしゃい」

「メメメ~」


 母様の元を出た私はアイラと冒険者ギルドに向かった。


「ダグ! デッカとポポンが来たみたい。本格的に工房が作れるわよ」

「わー。良かっただす。ノチア様はオラのこと忘れてなかっただすね」

「ちゃ、ちゃんと覚えていたわよ?」


 そう言いながらも、後回しにしてしまっていた負い目から、私は視線を逸らした。


 ⋯⋯と言うのも、ラウメ領は辺境の領地なので、今までは商業ギルド以外のギルドは冒険者ギルドがまめて斡旋管理してた。

 それが、岩塩によって新たに人が流れてきたことで建設ラッシュがおき、工房や建築関係のギルドを別で開設する動きになったのだ。

 しかし、どこもかしこも書類仕事の出来る人材が不足しているのが現状で、ダグには陶芸工房の運営を学ぶという体で、アイラに指導してもらった後は冒険者ギルドで書類仕事を手伝ってもらっていた。


「ダグに読み書きの才能が合ってよかったわ」

「オラは早く陶芸がやりたいだすよー」

「わっ、わかってるからね。工房を作る候補地は決まってるし、デッカとポポンも来たからすぐ建設を始められると思うわ」


 そもそも、ラウメ領に陶芸工房は無かったので、ダグが唯一の親方なのだ。

 それではさすがに工房を作っても管理出来ない。

 冒険者ギルドに護衛を頼んで、山で陶器に最適な土を探しに行くにしても、ノームのポポンがいたほうが良いし、結局は二人が来るのを待つしか無かったのだ。


「とにかく会って話をしましょう」


 私はダグを連れてケイシーさんから聞いた、デッカ達がいるという鍛冶工房に向かった。


「あっ、デッカ! 丼は持ってきてくれた?」

「おお、嬢ちゃん。会っていきなりそれかよ。ほらここにあるぞ」

「わーい。マイラーメン丼だー」


 私が感動で小躍りしている、後ろでダグとポポンも挨拶をかわす。


「会いたかったよダグ~。なにか新しい作品は作った~?」

「あうう。それどころかまだ工房もまだだよ」

「そうなんだ~? それじゃあ~すぐ作っちゃおうよ~」


 ポポンはそう言うとダグを連れて出ていってしまっう。

 私達もあわてて後を追って予定地まで移動した。


「ここか~。それそれ~」


 ポポンが地面に手をつくと、すぐに地面が盛り上がってあっという間に建物の形を作っていく。


「ふ~。こんな感じかな~」

「凄い。一瞬じゃない」

「そうだろう? ポポンのおかげでワシはどこに行っても工房には困らんのよ」

「デッカも手伝ってよ~」

「おう。まかせておけ」


 そう言ってデッカが手持つハンマーで叩くと、地面や壁が堅牢な石作りに変化していく。

 そして、何もなかった空き地に、ほんの数分で石造りの建物ができあがった。

「疲れた~。ノチアも手伝って~」

「そうだな。嬢ちゃんならすぐにマスターするだろう。教えてやるから一緒に作ろうぜ」

「ええ~。でも丼渡してきたいんだけど」

「ダグの面倒は見るっていったよな?」

「うう~。わかったわよ」


 そうして私は、デッカとポポンの指導で陶芸工房の設備や鍛冶の工房まで作らされてしまった。

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