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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
三章 ノチアの為の工房作り

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23/65

23 成敗!

 商人の店には複数の住民が詰め寄っていた。


「あの商人を出してくれぇ~。俺は騙されたんだぁ~」

「こんな大金払えない。商品を返すから書類を返してくれ~」

「帰れ! 相場も分からないのに取引なんかに手を出すお前らがバカなんだ。失敗を人のせいに愚か者め! 帰れ帰れ! おいお前達、このバカ共を追っ払え」


 商人が店に入り扉を締めた。

 眼の前で住民が蹴り飛ばされて倒れる。


「酷い、なんてことを⋯⋯おじさん大丈夫?」

「ちくしょう! ちくしょう!」


 私はとりあえずおじさんを起すと、落ち着かせるために教会まで連れて行って話を聞いた。


「このままじゃ、俺の家があいつに奪われちまうんだ」


 おじさんから聞いた商人のやり口はこうだ。


 必ず儲かると、アージュと呼ばれる豆の投資話を持ちかける。

 そして豆の購入代金を、売ってから儲けた金で払えば良いとして、家を担保に本人の資金以上の量を購入させたのだ。

 しかし、実際は今年のアージュ豆は豊作な上に、同じ投資話を聞いた住民の大多数が購入していた為に、市場では豆が大幅な値崩れを起こしてしまっているのだ。

 住民がその事に気がついたのはアージュ豆が運び込まれるようになってからで、すでに手遅れだ。

 そして多くの住民が、もし払えなかったら土地を譲るという契約書にサインさせられていたのだ。

 期限はアージュが全て運び込まれた時。

 幸い量が多いため搬送には時間がかかっているが、それが終われば支払いをしなければならず、土地を奪われてしまう。


「あくどいっすね。アージャ豆なんて家畜の餌じゃないっすか!」

「契約書に不備はありませんわね」

「このままでは怒りにまかせて商人を襲撃するような犯罪者が、住民から出てしまうわね」

「そっ、そっすね⋯⋯」


 そこで、私の中で何かが引っかかった。


「待って! アージュ豆? 最近どこかで聞いたような気がするわ?」

「⋯⋯ああ! そうよ、アージュ豆ってツテゾの研究論文にあった素材じゃないの」


 もしツテゾの研究が上手く行けば、莫大な利益が出る。

 住民も助けられる。


「アイラ!」

「わかりましたわ。〝賢哲〟の加護にかけて研究を完成させますわよ」

「うん。私は父様に相談に行く」

「ウチも裏で動くっすよー」


 こうして私達は各々で動いた。

 アイラは素材の上でのアージュの有用性を先に証明してくれてポーションの研究に入った。

 私は父様の協力も兼ねて商人を調べ上げ、アージュ農園が格安で売りに出ているのを確認して、全て買い入れた。

 その購入劇は商人に協力していた他の商人の農園にも及んで、ラウメ領、ダイア領、ドール領の縦に連なる三領地を巻き込んでの大買収になった。


 それと同時に、ポーションで得られる利益を盾に、商人の本拠地のドール領でも商人の店に圧力をかけてもらう。

 商人はかなり好き放題やっていたようで、協力者は多かった。




——数日後。

 被害にあった住民全員の借金を父様と私で肩代わりして支払う。

 商人は一瞬だけ悔しそうにしたが、すぐに捨て台詞を吐く。


「まさか領主自ら肩代わりするとはね。まあ良いでしょう。私もとてもお受けさせてもらいましたし」


 見下すような視線は、明らかにこれからも住民をカモにするつもりの目だった。

 そうはいかない。

 この商人はうちが辺境だからと舐めてかかったのだ。

 その代償は払ってもらう。


「商人カスメ、あなたは会員を募り加入の際に金品を払う事で、上位の物が受け取る商売を進めていましたね。それは無限連鎖講といって王国法に違反する犯罪行為です」

「なっ、言いがかりはやめてもらいたい」

「証拠はあります。テスラ」

「はいは~い。これっすよ~。証言を集めるのに苦労したっすけど、 おかげで王国捜査令状は貰ったっすよ」


 王国の特捜兵がなだれ込む。

 ポーションの新しいレシピを王国に献上することで便宜を図ってもらった。

 効果は絶大でスピーディーに兵が派遣されて、査察官が後から来ることになった。


「なっ、なぜ王国の正規の特捜兵が! ワッ、ワシは無実だ。知らんぞ~」


 商人が狂ったように暴れまわると店に火の手が回った。


「不味いわ。証拠が燃えちゃう」


 一斉に商人の家に雪崩込もうとした時、不意に影が落ちた。


『おおー。ノチア探したぞ』


 ズーン!


 凄まじい衝撃とともに商人の店が押しつぶされ、土煙の中から顔を出したのはゴウオウだった。

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