18 お肉と責任の所在
戻ってアイラと合流した私はピーピンバードの討伐が完了したことを伝えた。
アイラはすでに父親に状況を報告していて、ギルドと相談してお肉の買取と報奨金の支払いに動いているという。
私は冒険者達への労いと言う体で、お肉を振る舞う場を設けたいと提案した。
肉の味と骨の出汁は確認しなければならない。
私の意見はすぐに通って、広場に炊き出し用の設備が並んだ。
そして、私は鍋の前で待機する。
「前から思っていたけど、やっぱり寸胴はほしいわね」
「ノチア様ー。ピーピンバードの骨持ってきましたけど、こんなのどうするんですか?」
「スープの出汁にするのよ」
「あっ、ノチアっち。ガラは先に焼いたほうが良いっすよ?」
そのまま鍋に入れてにようとした私をテスラさんが止めた。
「ウチの地元でも鳥の骨でスープ作るっすけど。まずは洗って汚れや血を流すんす。その後で骨を炙って香ばしさを出すんすよ」
「テスラ、鶏ガラのスープを作ったことあるのね!」
「うっ、あるっす。ウチの地元は土地が痩せてたんで渡り鳥なんかはご馳走だったんす」
勢いがつきすぎたのかテスラさんが少し引いたが、今の私にはそんな事はどうでもいい。
テスラさんに縋るように詰め寄る。
「ノチア、私だって鳥のスープは作れますわ」
そういったアイラが骨を切ろうとして、盛大にスカっっていた。
「ありがとうアイラ。すごく頼りにしちゃうね」
アイラの提案は本当に魅力的だ。
アイラの加護〝賢哲〟はまさに知識と理解の化身で、料理にしても食べただけで使われているものが理解できてしますという。
しかも、素材の配分の比率や最適な時間まで
導き出せてしますのだ。
ラーメンを作るための加護と言っても過言じゃない。
「私、アイラと友達に慣れて本当に良かった。出来ることなら私の領に連れ去ってしまいたいわ」
感極ってアイラを抱きしめる。
「ふぇっ。わっ、私もノチアとずっとずっと一緒にいたいですわ」
「お熱いっすねー。鍋の方も熱々になりましたっすよー」
「そのまま二時間ほど煮込んでいただけるかしら」
アイラがテスラに的確な指示を出す。
本当に料理に関してはポンコツな私とは大違いだ。
ピーピンバードの肉はとても美味しかった。
けれど、スープの方はかなり癖が強く独特な獣臭さがあり、ラーメンのスープには向かない気がした。
ピーピンバードの討伐で私の領でも鳥類が増えると言う話だが、やっぱい鶏が欲しい。
この世界にいるかアイラにあとで聞いてみよう。
——次の日
私は冷却が終わった陶器の絵付けに参加していた。
しかも、工房の危機を救ったということで丼の作成もしてくれると言う。
私は家族の丼のデザインに頭を悩めせていた。
すると、ガシャンっと言う音が聞こえる。
「やっ、やめてくれだすよ。それはオラが一生懸命にー」
「なにが一生懸命だ! まだお前は器の制作を許されてないだろうが! 領主様に手をお貸しいただいたタイミングでこっそりお前にたいな奴が駄作を混ぜるなんて恥をしれ」
「謝るだすからー。割るのだけは勘弁してくれだすよー。その子達には罪はない出すー」
「うるさい! 弟子たちから聞いたぞ。お前が魔石の管理をおろそかにしたのが今回の原因なんだってな! 二度と陶器を作れると思うなよ!」
声の主はグスタフと先日助けたダグだった。
グスタフは今にも手に持った器を地面に叩きつけようとしている。
せっかく家族の喜ぶ顔を想像していたのに気分が台無しである。
私は少し強い口調でグスタフを止める。
「待ちなさい。その器も私達が手伝った時の作品でしょう! 勝手に壊すことは許さないわ」
「こっ、これはノチア様、お見苦しい所をお見せしました。違うのです。割るなんてそんな」
グスタフはすでに割ってしまった陶器を隠すように上に跪いて、ダグの器を両手で差し出してきた。
それを見て、私は諭す気持ちが薄れて、器を受け取る。
「綺麗ね」
器は薄くて軽く、飲み口も滑らかに整っている。
クネクネとしたデザインは少し奇抜かもしれないが、丁寧な作りでとても繊細だ。
「ダグは職人に慣れないの?」
「その⋯⋯今回のことの責任は取ってもらわなければなりませんので⋯⋯その」
「じゃあ、この子は私が貰ってもいいわよね」
「⋯⋯はっ?」
「職人じゃないんでしょ? 今回の火入れの手伝いのお礼に、私はこの子を領に貰って帰るわ」
「しかし⋯⋯」
私はまだ何か言おうとしているグスタフを無感情に見る。
「それから、魔石の件はアイラに頼んでしっかり調べて貰うから、そのつもりでいてね」
「!? はっ、はい」
私は頭を下げるグスタフから視線を外してダグを見た。
「急にごめんね。ダグが嫌じゃなければ、私と一緒に来て領で丼を作ってくれないかな?」
「どっ、丼はわかんねぇだすが、オラ職人に慣れるだすか?」
「ええ、もう十分実力があると私は思うの。場所は私が絶対に用意するから、お願いできる?」
「オラ⋯⋯行きますだ。ここではオラは職人にはなれねぇだす。それにお嬢様はオラの作品を綺麗だと言ってくれただす」
「本当? じゃあアイラに頼んでシュリン伯爵の了解を貰うわ。今回の借りを使えばいいんだもの、きっと大丈夫よ」
私はダグを連れて領収邸に向かおうとした。
すると、急に飛び出してきた男が、すごい勢いで私に向かってきて腕を掴んだ。
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