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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
二章 器を求めて

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15 山での出会い

 釉薬や絵付けの作業も気になったが、私はいま山に来ている。

 私の領も含めて、上下に連なった領の左半分はエリス大森林と言う森が占めている。

 森と言っても地形的にはほぼ山で、遠くに見える木々は雲の上まで続いていて果ては見えない。

 敬意を込めて大森林と伝えられているが、地元の民はみんな山と呼んでいるので、私も山と呼んでいた。


「こんなに大掛かりじゃなくていいのに」

「何をいってるのかしら。ノチアは我が領の恩人なのだから、これは当然かしら」


 魔石を取った鳥を探したいと言った私に、シュリン伯爵は騎士団を付けてくれた。

 それ以外にも、街の冒険者達が沢山雇われていた。

 興味本位だった鳥の捜索が、予想外に大規模捜索になってしまって私は狼狽えていた。


「しかし、おかしいですね。本当に鳥の声が聞こえない」


 一緒に来た冒険者の一人が首をかしげる。

 当初は、魔石を取った鳥などすぐに見つけられると大半の冒険者は思っていたようで、明らかに鳥の声の少ない森に困惑さているようだった。

 そこに、騎士団の声が響く。


「ノチア様とアイラ様を守れ! 全員隊列を組み撤退を開始する!」


 騎士団が素早く私達を囲むようにして盾を構えた。

 アイラが慌てて騎士団長に確認する。


「何があったのです」

「申し訳ありません。偵察に出ていた冒険者が竜の姿を確認したと言うのです。お守りいたしますので、お二方はこのまま我々と街に下がっていただきます」

「竜だって! まさか鳥の数が減っていたのはそのせいか!」


 私達が話しているのを聞いた、Aランクの冒険者のグループにも一気に動揺が広がった。

 この世界は竜は確実に最強の一格であり、人間にとって逃げる以外の選択を取る者はほぼいない。

 それは例えAランクの冒険者であっても同様で、警戒をしながらもジリジリと交代していく。

 しかし、事態は最悪の方に流れたらしく、強烈な圧迫感が全員の体を縛った。


『森を荒らしているのは貴様らか』


 頭に直接語りかけるような声が響き、周囲が暗くなる。

 光を遮る先を見れば、そこには白い綺麗な竜が浮かんでいた。

 四枚の羽を広げたその圧倒的な存在に誰も声が出ない。


『答えよ!』


 竜の咆哮が周囲の木々をなぎ倒す。

 冒険者の一部が腰を抜かしたように座り込んだ。

 それを見た私は前世のアイツの姿を幻視した。

 母からお金を奪い、暴れた時に落ちたパンを見ながら言ったあの台詞を。


『質素な飯だな。粗末にしないでちゃんと食えよ~』


 そう言いながら、アイツはパンを踏みつけていった。

 私の全身を怒りが支配して金縛りを解いた。

 気持ちのままに私は叫ぶ。


「森をいま荒らしたのはお前だろうが! 私達はちゃんと敬意を持って山に来ているのよ!」


 竜を糾弾する声だけが森の中に響く。


「あっ、マジすまん」

「えええっ!」


 いきなりの軽い反応。

 予想外の反応に私が戸惑うと、他の人達が金縛りが解けたように膝を突いた。


「ノチア、大丈夫なの! なんて無茶を」

「大丈夫だよ。それより周りが大変なことになってる」


 アイラがすぐに私を抱きしめて体を確認する。

 その間に、竜の咆哮で吹き飛んだ木々で、誰かが怪我を負ったりいていない確認が行われた。

 幸い吹き飛んだ範囲も狭く、怪我人は出なかった。

 竜は一拍子置いてから話し出す。


「鳥どもがワシに助けを求めてきたんよ。魔石も貰っちゃったし、何とかしなきゃ

と思ってた時に、人間の気配がしたから勘違いして張り切りすぎちゃった」


 そう言うと、 頭の後ろに手を回して謝ってきた。

 てへっとでも言うよう片目を閉じて舌を出した仕草に、私の肩の力が完全に抜ける。


「自己紹介してなかったね。私はノチア。一緒にいるのがアイラよ」

「こりゃご丁寧に、ワシはゴウオウって呼ばれとる。そうだ、お詫びに魔石をやるよ」


 ゴウオウが喉を鳴らすと大鷲が近くの枝に止まった。


「魔石やっても良い? 良いが早くアレをなんとかしてくれ? わかっとるわかっとる。そう言えばそいつの特徴を聞いてなかったな? ええっ、それマジ?」


 大鷲と会話を続けていた竜が困ったようにこっちを見た。


「マジ悪いんだけど、ノチアちょっと手伝ってくんない? 相手が予想通りならワシと相性最悪なんよ」

「私達でいいの? 私達だって鳥を捕縛したり食べたりはするよ」

「それは自然の摂理っしょ? 鳥なんて自然界では他の生物にも襲われることなんてしょっちゅうだし、そもそも鳥同士でも狩ったり狩れれたりが常っしょ」

「そう言われればそうだけど」

「今回は規模が問題なんよ。森の鳥たちが激減してる。鳥も森の維持には必要な存在なんよ」

「わかったわ。何をすればいいの?」


 ゴウオウが首をこちらに寄せてくる。

 アイラが私を掴むてに力を入れて、騎士団に緊張が走る。

 私が静止するように手を上げて止める。


「大丈夫よアイラ。ゴウオウは助力を求めてるだけみたいだし」

「まさか、ノチア竜の言葉がわかるの?」


 アイラの言葉にゴウオウを見る。


「あー。威嚇の様な感情は伝わるんじゃが、ワシの言葉を正確に受け取るんわ、強い意思の力とワシの敬意が必要なんよ。ワシ強いから普通の相手に敬意を持てんし」

「そうなのね」


 この出会いもまたラーメンの導きなのかしら? などと考えているとゴウオウが続ける。


「手伝いっちゅうかノチアには討伐をまる投げしたい。なんかデカい魔物の鳥が巣を作って繁殖してるっぽいんだけど。話を聞く限りじゃピーピンバードみたいなんよ。マジワシには無理」

「ゴウオウが無理なほど強いの? それじゃあ、私達には無理だわ」

「いや逆に、ワシ存在が強すぎて近寄る前に逃げられるんだわ。ピーピンバードはマジ早いんよ」

「そう言うことね。話はわかったわ、皆に相談してみる」


 私はピーピンバードの事をすぐにアイラや冒険者に伝えた。

 すると、すぐに対策が話し合われた。

 ピーピンバードの存在は人間にとっても死活問題のようで、すぐに冒険者達が捜索のために散り散りになる。

 過去にも大規模な討伐が何度か行われていたようで、その動き出しに迷いはなかった。

 場所さえ分かれば一気に討伐できそうだ。


「よかった。なんとかなりそう」

「本当か? そうだ! ワシは行けんしノチアの嬢ちゃんにはワシからプレゼントをやるよん」


 そう言ってゴウオウが虚空から、一本の剣を渡しに差し出した。

読んでいただきありがとうございます。

評価してくださった方も本当に感謝です。


引き続き、面白いと思っていただけたら、気軽に評価の方をお願いします。

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