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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
五章

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103/113

103 シルテーリア様の誘い

「私に何かやらせたいのですか? シルテーリア様」

「うふふふ。ただ~ノチアちゃんと買い物がしたかっただけよ~? この大会には~優勝に賞金が出るでしょ~? だから~、それを目当てに相場より安~く良い商品が出回る事が多いのよ~。これなんて素敵じゃない? こんなに安いならお買い得よねぇ~」


 そう言ってシルテーリア様が、服や雑貨のお店に立ち寄って商品を私に見せてきた。

 大量生産が出来ていないこの世界では服は高価だ。

 シルテーリア様が私に見せた女性ものの服も、やはりなかなかの値段だった。

 しかし、それでも相場の十分の一の値段だった。


「これとこれとこれもいいわねぇ~。ノチアちゃんにプレゼントするわ~」

「えっと……シルテーリア様、そのような服を頂いても……」

「そう? 服だけじゃなくてアクセサリーなんかもあるのよ?」


 シルテーリア様にうながされるようにアクセサリーを眺める。

 そうしていると、私の目に見覚えのあるペンダントが飛び込んできた。


「――っ! これって……」

「あら~、そのペンダントが気に入ったのね~」


 私がペンダントを見て声を上げそうになると、シルテーリア様が私の唇に指を添えて黙らせた。

 私がシルテーリア様を見ると「そう、これなのね~」っと小さく呟いた。


「ここのお店はアゲート商会が出しているみたいなのよぉ~。そこの商品がこんなに安く手に入るなんて~お得よねぇ~」


 シルテーリア様が少し大きめの声でそう発言すると、興味をもった女性たちが集まり出し、すぐに店が繁盛し始めた。

気が付いたお客さんが商品を見始めた。

 シルテーリア様はそんなお客さんに紛れる様にして会計を済ませて戻ってくる。


「はい、ノチアちゃん。このペンダントはあなたに上げるわ~。きっと金色の髪の女性に良く似合うと思うの」

「そうですね。私の友人に似合いそうです」

「本当~? それならよかったぁ~。じゃあ、私はもう少しお店を回るわ~。ついでに服の方も持って行ってね? 付き合ってくれてありがとうねノチアちゃん」


 私は店に戻る途中で怒りで自分の体が震ている事に気が付いた。

 アンリーヌに確認しないとわからないが、恐らくこの渡された服も、アンリーヌに横領の濡れ衣を着せた時に出てきた服だろう。


「調査なんて初めからするつもりもなかったって言う事じゃない」


 アフェンタとつながりのあるアゲート商会で証拠として押収されてしまったアンリーヌのペンダントが転売されていたのが何よりの証拠だ。

 もはや、調査のためのお金すらも意味がないのに、アンリーヌはそのお金を払わなければ愛人にされてしまう。

 こんな卑怯な手を使う相手だ、愛人になっても幸せになれるはずがないのは確実だ。

 私はなるべく冷静になるように意識しながら戻る。


「あっ、ノチアお帰り」

「おかえりなさいませノチア様」

「えっ……えっと……」

「私はヘンリー様の執事を務めさせていただいているギンバーと申します。この度はヘンリー様の命でアンリーヌ様のお手伝いをさせてもらっています」

「ああ! あの時の」


 そこでこの人物が、劇場でヘンリーの横に立っていた執事だとわかった。


「ノチアっち遅いっすよ!」

「えっ、ええ。……あっ、そうだアンリーヌ、見て欲しいものがあるの」


 私はそこで服とペンダントを見せた。


「このペンダントはお母さんの! ありがとうノチア!」

「アンリーヌので間違いないわね。服の方はどう?」

「これは……たしかにあの時の押収された服みたいだけど……ごめんなさい。急な出来事過ぎて覚えていないわ」

「詳しく聞いてもよろしいですかな?」


 アンリーヌに服の確認をしてもらっていると、ギンバーが話を聞いてきたので、私の予想と共に説明する。


「なるほど。……申し訳ありません。私はヘンリー様にこのことをお伝えしに行ってきます」

「ええ、手伝いいただいてありがとうございました」


 ギンバーの後姿を見送りながら考える。

 最初に会った時のアンリーヌの髪は赤毛の巻髪だった。

 それは劇場の支配人の指示だったが、アフェンタの髪の色に合わせていたとすれば、劇場側からの愛人候補のサインだったのかもしれない。


「それなら、電気を明るくしていたのはアンリーヌの為だった。私は余計な事をしてしまったの?」


 怒りがすこし収まると、私を自己嫌悪のようなものが襲う。

 私が余計な事をしてしまったために、こんな事態になってしまったのではないのだろうか。


「ノチアっちの所為じゃないっすよ。むしろ、助けられるタイミングで事件が起こったのは奇跡っすよ」

「ノチア! 私はノチアのしてくれたことはうれしかったわ。ノチアと出会えたことを女神様に感謝したいほどよ」


 落ち込みかけた私をアンリーヌとテスラが慰めてくれた。


「ほら、まだ大会は終わってないっすよ? 屋台の看板娘がそんな顔していたらダメっすよ」

「看板娘なんて……」

「ノチア様の伝説のラーメンが食べられる屋台はここかしら! あっ、ノチアお姉さま! フェリシアが参りましたわ!」

「ふふ、ノチアご指名よ?」

「そうね。私が落ち込むのは違うわね」


 いま危機にあるのはアンリーヌだ。

 ギンバーの話を聞いたヘンリーが何かアクションを起こしてくれるかもしれない。

 私は、この大会での成功と目の前のお客さんに集中するために気合を入れた。

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