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凄い加護を貰いましたが、私の夢はラーメンですよ女神様!  作者: 千両
五章

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100/113

100 ふざけた契約

 アンリーヌとラーメンの話しで盛り上がった翌日。

 アンリーヌの仕事が休みと聞いた私は、二人で遊びに行く約束をした。

 っと言うのも、平民のアンリーヌは下町で育ったのだが、母親が死んで劇団で働くようになってから、ほとんど街に出ていなかったと聞いたのだ。

 一緒に出掛けようと誘った時は、嬉しそうに「私が案内しますね」と張り切っていた。


 待ち合わせ場所は劇場の前だった。

 しかし、着いてみるとアンリーヌが座り込んでいる。

 その姿は、とてもこれから出かける事を喜んでいるようには見えなかった。


「アンリーヌどうしたの! 大丈夫?」

「ノチア……。私、どうしたら良いか……」

「落ち着いて! ゆっくりで良いから話して」


 アンリーヌの話しでは昨日のあの後、急にアンリーヌの部屋に衛兵が来たという。

 なんでも、アンリーヌが劇団のお金を横領したと密告があったようだ。

 すぐにアンリーヌの部屋が調査されたのだが、その時に見覚えのない服が大量に出てきたと言う。

 そして、アンリーヌが無罪を訴えると、調査し直す代わりに多額の金銭を要求されたそうだ。


「その時に、アフェンタ様もいらして、代わりに調査の依頼を申し出てくれたのですが……」

「アフェンタって昨日の援助を申し出ていた男よね」

「はい。でも条件があって……」


 アンリーヌの差し出した紙には、期日までにお金を返すことそれが出来なければ愛人になる事を了承するように書かれていた。


「愛人! こんなふざけた契約なんてないわ。アンリーヌ契約なんてしてないわよね」


 しかし、アンリーヌは首を振った。


「証拠として押収された服の中に、私のお母さんのあのペンダントもあるんです。あれはお母さんの唯一の形見なんです。だから……私」

「もういいわアンリーヌ」


 私はアンリーヌを抱きしめる。

 いくら借りたか確認したが、なかなかの金額だった。

 アイラ達にも協力を頼んで立て替えることも考えたが、そもそもちゃんと捜査をしているかどうかも怪しい。

 ここで大金を出しても、出元に難癖をつけられかねない。

 それに、私の方でも調べる時間は必要だ。


「テスラさん。アイラ達と情報共有したいわ。連絡をお願い」

「わかったっす。ノチアっちはここを動いてはダメっすよ!」


 アンリーヌを落ち着かせながらテスラさんが戻ってくるのを待つ。


「オーケーっす。アイラ様達も調査してくれるみたいっす。それと、こんな情報をゲットしたっすよ!」


 テスラが差し出したのは、街の中央広場で開かれる露店の大会のチラシだった。

 急遽開かれる大会のようだが、参加資格も緩くそれでいて優勝賞金が多い理想的な大会だった。


「アンリーヌ。この大会でラーメン店を出しましょう。材料は私が用意するわ」

「大会? でも、優勝なんて出来るかどうか」

「大丈夫よ。いま王都では私の話題で盛り上がっているのよ」


 そう。

 私は見た事は無いがガストルでの私の活躍を模した劇は盛況だと聞いている。

 しかも、それは先日の謁見によってさらに過熱しているらしい。

 そんな中、ガストルで出された屋台の味噌ラーメンが食べられるとなったらどうだろうか。

 味は保証するし、客引きならアンリーヌがその物語を歌うことも出来る。

 これだけ条件がそろっていれば、優勝可能性はかなり高いはずだ。


「わかったわノチア。お願い私に協力して」

「当たり前よ。ふざけた企みなんてぶち壊して、王都に味噌ラーメンのブームを作ってやるわ」

「もう、ノチアったら」


 二人で笑い合い、大会参加の手続きをしに向かう。

 絶対にアンリーヌを愛人なんかにさせるものか!


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