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エピローグ1

エピローグ、最終章となります

「ハンナ!早く!」


「もう。わかったってば」


今日はバーディナ家の双子のデビュタントの日である。

ロズウェル王国ではレディは十六歳になると社交界デビューするのだ。


「待ちなさい。ふたりとも」


「そうだよ。そんなに焦らなくても王城は逃げないから」


「姉さまたちいいなぁ。僕だけお留守番だ」


ぷうっとむくれたのは弟のイーサンだ。


「大丈夫よ。お母様が一緒にいてあげますからね。今日の夜は特上のケーキを用意したのよ。チョコレートというとってもおいしいものが乗っかってるらしいわ。ベリード国からの輸入品よ」


「チョコレート?」


「あ、いいな。わたしそっちがいいかも」


チョコレートというのは茶色くて苦くて甘いという絶品の代物らしい。

今王都でもなかなか手に入らないと噂になっている。

食べたことはないけれど聞いているだけで美味しそうではないか。


「こらっ!ハンナ!あなたはこっちよ」


ビアンカがハンナの腕を半ば強引に引っ張った。


「でも……」


「ハンナは行きなさい。ダメよ。貴族の子女たるもの社交界デビューは必要よ」


「はぁい」


仕方なく会場入りすると華やかに着飾った貴族たちがにぎやかにひしめき合っている。

今日は年に一度の冬の舞踏会。

王城で開かれる一番大きなパーティだ。

十六歳になったレディと十八歳になった令息はこの舞踏会でデビューすることが多い。


バーディナ家も会場入りすると、ちょうど国王陛下が挨拶されるところだった。


「皆の者、今日は王城での年に一度のパーティだ。楽しんでくれ」


今年四十八歳になる国王だ。

諸外国との関係性もよく、国内統治に置いても様々な政策を打ち立てておられるよき国王である。

王妃殿下はミニストリー王国から迎えられ、王女殿下もお生まれになっている。


プレストン王国との関係性も、キングスフォード公爵家がプレストンの名家フィリーズ公爵家から婿を迎えたことにより、良好である。

キングスフォード領では先の領主は足の悪い夫人とともに早々に若い娘夫婦に家督を譲り、自分たちはスラム街の近くの街へと居を構えた。

今までの領主がずっと放置していたスラム街ドルド峡谷。

その場所の開発に乗り出したのだ。

プレストンの土地とロズウェルの土地両国にまたがるそのスラム街はとても大きく、かなり時間はかかったが、娘婿の実家であるフィリーズ家も巻き込み、十五年ほど前にようやくきれいに区画整理して整えていたところ、その近くの場所に金山を発見した。ちょうど両国にまたがる金山で、スラム街に住んでいた者たちを雇い金山の開発に着手し始めた。

権利を両国で分け合い、今両国は今までになく良好な関係を築けている。

大陸におけるロズウェル王国の地位は安泰だといえよう。


「では、デビュタントの者はこちらへ」


デビュタントの者たちは一番最初にホール中央でダンスを披露することになっている。

パートナーが必要なのだが、ビアンカはいとこのギルバートに頼んだようだが、ハンナは父に頼んである。

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