感動の再会?
今日より最終章入ります。
「まぁほんとに来たのね」
目の前に見えるのは先日鏡の前で話した美女。
「クリスティアナ様ですね」
「ハンナね」
コクっと頷き、そしてはっとした。
「ウィルバート様は?」
「ここにいる」
ウィルバートだと思ってそちらに視線を向けると、シルバーブロンド髪に白い肌の綺麗な顔の男性が立っている。
声がウィルバートそっくりだ。
もしかして……?
「まだ目覚めていないが、脈は正常だ。問題ないだろう」
「うっ」とウィルバートが眉をしかめてゆっくりと目を開ける。
「ハンナ?ハンナは?どこだ!」
意識がはっきりしたのか大きな声をあげた。
「しっ。静かに。今は真夜中よ。やつが起きて気づいたらまずいわ」
「は、母上?と父上ですよね」
ウィルバートが知っているふたりよりかなり若いのだろう。
「この子が僕たちの子なのか?」
「ええ。そうよ」
エイダンはなんともいえない表情だ。
三人が親子の再会にしみじみしているが、それはまた後でゆっくりするとして……。
と言ってもあまり時間があるわけではないが……。
「クリスティアナ様。わたしたちには二十四時間しか時間がないんです。その間にやつらを仕留めなければなりません。バイロンは呼んでもらえましたか?」
「ええ。内輪でエイダン様を送る会をするからフランチェスコの身内も呼びなさいと父に言ってもらったわ。いつもお金を送っているおじさんがいただろうって父は言ったの。フランチェスコには親はいないことになっているから」
「ありがとうございます。それと公爵閣下と夫人には会えますか?」
「ええ。部屋で待機しているわ。裏道から行きましょう。家族しか知らない通路があるの」
ウィルバートも知っているのかスタスタと着いていく。
今は演武場に改築されている場所が離れのような館になっていて、そこから入って地下の秘密通路を伝い、本城の公爵が住む部屋、すなわち今のウィルバートの部屋まで行けるようになっているらしい。
「ここはやつも知らないわ」
地下通路を行くと、公爵の部屋に着いた。
「お父様。お母様。連れてきました。わたしの交換日記のお友達、ハンナちゃんよ」
ずっこけそうになる。
そういう紹介の仕方をこの差し迫ったときにしてくるとは、さすがクリスティアナ様としか言いようがない。
エイダン様はまじめそうだからそういう天然というかおちゃめなところに惹かれたのかしら?
「おお。ハンナちゃん」
ええっ!
この性格は父譲りだったのね。
「娘を助けてくださったの?」
お母様は優し気な方に見える。
そして座っておられるその椅子に車輪がついていることに気づいた。
「おばあ様は足がお悪いのですか?」
ウィルバートが驚いたように声をあげている。
「ええ。あなたは……?」
「僕は母上と父上の息子です。おばあ様の孫ですよ」
「まあ…なかなかイケメンじゃないの」
「そりゃそうよ。わたしとエイダン様の息子よ」
「まあ、そうじゃな」
先の先の公爵閣下もうむうむとうなづいているではないか。
この家族、危機的状況理解してるのかしら?不安になるわ。
「ではハンナちゃんはその、なんだ。そなたの……」
恋人とでも言いたいのだろうか。
「婚約者です」
え?
キッパリ言い切ったウィルバートを思わず見る。
クリスティアナは「素敵」と小さく声を出した。
「それよりその足は?」
ウィルバートだけでも危機感を理解してくれていてよかったとハンナは思った。
「数年前に乗馬をしようとしたら馬が暴れだすという事故があったのよ。それから足が動かなくて……」
きっとそれもフランチェスコの仕業だろう。
証拠はないのでどうすることもできないが……。
「わたしもこれがないと歩けなくなってね」
先の先の公爵閣下も杖をついている。
「まぁ……」
「おじい様。おばあ様。これから話すことは信じられないかもしれませんが真実です。よく聞いてください」
ウィルバートは真面目な顔で祖父母に向き合い、話し始めた。
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