過去と交信する2
「クリスティアナ様が領地に戻られるのはいつですか?」
『明日の夜戻るから明後日には領地にいるはずよ』
何を提案するつもりなんだ?
「わかりました。必ずエイダン様も一緒に戻ってくださいね。そして時間を決めて領地の敷地内にある裏庭の井戸に集合しませんか?」
『井戸?』
「ええ。あそこは過去と未来をつなぐ場所です。わたしの推理だと、あそこから行き来できるはず」
ハンナの声が低く小さくなる。
『なんですって?』
母は驚きの声をあげた。
「そちらに行きます。ウィルバート様と」
「ハンナ……?」
井戸で過去と行き来できる?
「そして、フランチェスコの息の根を止めます」
ウィルバートは絶句した。
そこまでやるつもりだったのか。
「やつを生かしておくのは危険です。あと、やつの父親は生きています。それがバイロンです。スラム街のボスです。フランチェスコになんとかうまく言って父親を呼ばせるのです。バイロンも息の根を止めます」
『スラム街……バイロン……』
絶句しているようだって母は、しばらく考え込んでいたが、整理できたのかこくっと鏡の中で頷いた。
「ひとつだけ約束してください。エイダン様とはまだ結ばれてはなりません。ウィルバート様がそちらから戻ってからにしてくださいね」
『まぁ。そんな、結婚前なのに……』
顔を赤らめている。
そうか、俺がふたり存在するのはまずいからか。
母もそれは理解したようで頷いた。
『わかったわ。息子も一緒にくるのね』
「俺がやつらを殺るということでいいんだな」
ハンナに言うと、ハンナもこくっと頷く。
それから小一時間ほど三人で打ち合わせを続けた。
キングスフォード公爵家を、そして国を守り正しい位置に正すために。




