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ビアンカの告白2

【結果は最悪。

フランチェスコは双子をわが子と信じたけれど、双子から完全にわたしを引き離して会わせてくれなかった。実子でなかったとわかったウィルバート公子様を超えさせるために必死で英才教育を施していたわ。

なぜそこまでするのかわからない。怖い男だと背筋が凍った。だから双子の秘密も絶対にバレるわけにはいかないと思ったわ。でもわたしはわが子に会いたくても会えず、毎日乗馬をするしか楽しみはなかった。

ジェイには会った?馬たちにわたしは大事な人たちの名前をつけたの。ジェイもそう。ジェイは双子の実父の名よ。もちろんニックネームだけどね。

毎日夫に話しかけるみたいにしてジェイに話しかけて遠出していたの。そんな日々を過ごしていたのだけど、ある暑い日の昼下がりに厩舎の近くにあった井戸から水を飲もうとした時だった。井戸の中から声が聞こえたの】


え?


【若い女性の声だった。ひたすら泣いていたわ。息子に会えないとその女性は言っていた。もうすぐ自分は病気で死ぬのだと】


「これって……」


「ああ。きっと裏庭の井戸だ」


「それにこの声ってもしかして……」


「そうだな。君たちは双子だから同じ加護を受けているんだよ。たぶん」


それが神の加護の例外?


【そこで聞いたの。ウィルバート公子様の母君の声を。

彼女はわたしと同じ。フランチェスコに凌辱されて結婚せざるを得なくなったのだと言ったわ。】


はっ……やっぱり。

ウィルバートが目を閉じてから天を仰いだ。


【けれど、そのときには子を身篭っていて、ウィルバート公子様はフランチェスコの子ではないのだと。それがばれないように必死で隠し通してきたけれど、わたしをわが子に会わせようとはせずずっと監禁されているとおっしゃっていた。

わたしよりひどいわよね。

彼女は言ったの。わたしはクロノスの加護を持っている。あなたもそう。そしてあなたの双子の妹もそう。そしてお願いがあると】


「え?どういうこと?」


「彼女が会った母はもう死ぬ間際の母だな。時系列が違うんだよきっと」


「ということはこの前にクリスティアナ様はわたしと交換日記をしていて……その何年も後の話ということですね。だからクロノスの話もわたしがビアンカと双子という話も知っているのだわ。

そしてこの今の時代にはすでに自分の命がなくなっていることも……」


きっとクリスティアナ様もクロノスの加護について勉強したに違いない。


ああ、でもあの後エイダン様とは別れてフランチェスコと結婚してしまったのね。わたしはそれを阻止することができなかったのだわ。


阻止……。


そこまで考えてはっとなった。


阻止してしまえば……それは現在が変わってしまうということになる。


ぷるぷると頭を振る。

今は考えずに読み進めよう


【あの男は公爵家を乗っ取ろうとしている。

いつの間にか家系図を書き換え、王都にあった家系図も差し替えさせた。

現国王があんなふうだから公爵という地位を利用して実権を握ろうと考えているの。前国王と王太子を殺して現国王を擁立したのもおそらくフランチェスコよ。

このまま放置しておけばいずれ国はつぶれてしまう。

ウィルバート公子様の実の父であるエイダン様がプレストンの近衛隊長をしている。彼が本当の父だとウィルバート公子様に伝えて。

当時のクリスティアナ様の侍女が今から数年前に寝言を言ったのをフィーネが聞いたみたいよ。それでバレたみたい。

酒に酔った時に奴がポロリと漏らしたのよ。

ウィルバート様と交流を持つのよ。ハンナとウィルバート様とで何とかして。どうかお願い。ロズウェル王国をあの男の一派にに牛耳らせてはならない】


なんということ……。


「やはりハンナの予想通りだったな。あの家系図、マッキノンに復元させたよ。線は母の上に伸びていた。そしてこれがグスタフとフィーネの息がかかった使用人たちのリストだ。見せる暇がなくて持って来た。これを見る限り、皆うちの領地のプレストン王国との国境付近の出身だ。あそこにはスラム街であるドルド峡谷がある。フランチェスコの父バイロンはその峡谷のギャング団のボスらしいということがわかったよ」


「では、公爵家に恨みがあるということですか?」


「おそらくな。スラム街はその場所を通ったことしかないが、とてもひどいところだった。衛生状態も悪いし、悪臭が漂っている。あれをほうっておくわけにはいかないな。これから勉強する必要があるな。公爵として」


「そう思います」


「だが、国王陛下や王太子殿下の殺害にまで関わっていたとは……流石に信じられない」


アレス神の加護を受け国を守っているウィルバートにはショックなことだったようだ。

ハンナは続きを読み進めた。


【わたしは詳しく聞きたくて毎日その井戸の周りをうろついていた。そしたら気づいたの。やつが。わたしがクロノスの加護者だと】


「まぁそんな……」


【井戸にはそれ以来もうクリスティアナ様は現れなかった。でもわたしが井戸に向かって叫んでいたのは見られてしまったのよ。あの男は加護について異様に詳しく勉強していたから】


「俺がアレスの加護持ちだからな。やつは加護に詳しい。それはビアンカは知らないだろう」


「はい」


【それであの男は絶望の提案をした。自分を過去に戻せと】


え?

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