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ビアンカの告白1

【ハンナ。見つけてくれてありがとう。真実を書くわね。この屋敷なら誰に見られても大丈夫だから】


そんな文面から始まっていたその手紙には想像を絶するような内容が書かれていた。


【まず、わたしはこれからキングスフォードの城に戻ってフランチェスコを殺します】


思わず息をのむ。


【やつは悪魔よ。わたしは六年前、はじめて行った夜会で彼に凌辱されました】


「な、!」


ウィルバートを見ると、大きく目を見開き、そしてその後眉をひそめ、毒づいた。


「何てやつ!」


先ほどの破れたドレスはその時のものに違いない。

酷い!


【もちろん処女だった。だから泣いたわ。あんなじじいに初めてをささげるつもりじゃなかった。わたしが王都に出たのには訳があったの。好きな人がいたのよ】


え?

ビアンカが王都に好きな人?


【どうしてもその人に近づきたかった。ほら、わたしの取り柄なんて見た目しかないじゃない?ハンナみたいに賢ければよかったけれど、わたしはバカだから見た目を着飾って夜会に出たの。もちろんその人が出るって知っていたからよ。

なのにその人は急な仕事で夜会に来れなくてそれでめそめそバルコニーで泣いていたら、フランチェスコが声をかけてきた。

気をつけるべきだった。もらったお酒に薬が入っているなんてまったく知らなかった。田舎から出てきたわたしにはそんな駆け引きわからなかったの。

両親の話を聞いておけばよかったととても悔やんだ。けれどもう遅かった。

だからわたしはやけになって夜会で男を漁りまくったの】


「なんてこと……」


「フランチェスコのやつ……信じられない」


ウィルバートの怒りは静かに沸騰しはじめている。

怒りがひしひしと伝わってくる。

それはハンナも同じでフランチェスコに激しく憤りを覚えた。


ここで新たな疑問がわく。

もしかしたらフランチェスコはクリスティアナ様にも同じことをしていたのではないかという疑問だ。


「あいつもしや……」


やはりウィルバートもそう思っているようだ。


【退廃的な暮らしは楽しくはなかった。どれだけ遊んでもあの屈辱は忘れられない。

そんなとき好きな人がまた夜会にやってくるという噂を聞いた。

わたしは娼婦になろうと思った。その人と一度だけ結ばれればそれでもう死んでもいいと……いっそ結ばれたら死んでやろうと思って、死ぬ気で近づいたの。

そしたら運よく、その人と一夜を過ごすことに成功した。歓喜の喜びだった。

けれど、その人は朝になったら帰ってしまった。まぁどうせひとときのお遊びくらいにしか思われていなかったからそれでよかった。だけどわたしには一生の思い出。それでその思い出を胸に死のうと思った。

そしたらつわりが来たの】


「「まさか……」」


ウィルバートと顔を見合わせる。


【驚いたわ。

あの一夜以降、誰とも体は重ねていなかったからあの人の子であることは明白。これは絶対に産んで育てなければと思った。ひっそりとひとりで。

でもひとりで育てられる?こんなバカなわたしが?だからと言って今更両親やハンナに助けてと言いたくはなかったの。バカなプライドよ。

そんな時フランチェスコが魔の手を差し伸べてきたの】


え?


【あの男は何度もわたしに連絡をよこして、また会おうと言ってきているのは知っていた。だからそれを利用したの。

すぐに会ったわ。そして体を重ねた。あなたしか頼る人がいないとしがみついたの。

そしてその後妊娠したと告げた。あの男は歓喜の雄たけびを上げて喜んでいたわ。

これで本当の子どもを持てるって】


「なんてことを……」


【そのまま結婚して、双子だったから早産だったと偽り、ふたりを産んだ。

フランチェスコを選んだのには訳があって、やつは好きな人と同じ髪色に同じ瞳の色だった。だからばれないと思ったの】


ほんとだ。ジャックもジェニファーもアメジストの瞳だ。フランチェスコと同じだわ。

わざと選んだの?


【だけど、それが恐怖の始まりだった。

やめておくべきだったのよ。実家に戻ってすべて打ち明けて育てるべきだった。なのにわたしは実家を大口たたいて飛び出したのにしっぽを巻いて帰りたくなかったの。幸せだといいたかったの。だからあの魔の家に入ってしまった。

ウィルバート公子様と結婚したことにしたのはあいつがハンナや両親をこの屋敷に寄り付かせないために考えたの。

わたしも乗った。みんなに落ちぶれた自分を見せたくなかったから】


「はぁ……」


ため息が出る。


「バカだな」


ウィルバートもため息をついていた。


「ええ。そうですね」

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