乗馬ピクニック1
「よし。それでいいぞジャック。なかなかいい腕だ」
わずか数回しか訓練していないのに腕前はかなりのものだ。まだトロットしかできないがこれは素晴らしい騎手になるだろう。
「はい!兄上」
念のため乗馬の教師にも同行してもらっており、ジャックは熱心に教師の言葉に耳を傾けている。
ジェニファーは自分の目の前にカチコチになって座っていた。
「ジェニファー。もう少しリラックスしていいぞ。そんなに緊張しているとダンが逆に怖がってしまう」
「そ、そうなんですか?」
ジェニファーは勉強が好きなのだとハンナは言っていた。本が大好きで、動物や自然に興味があるのだと。
ハンナはどんどん双子と接していい関係を築いている。
いくら甥と姪とはいえ産んだ子でもないのにすごいことだと思う。
「ジェニファー。本が好きなんだろう?今度街に行ったときに本屋に行ってみるか?新しい本を買ってやろう」
「え?」
そんなことを言うと、とたんにリラックスする。
子どもとは不思議なものだ。
「ご本を?わー……」
「ああ。好きなものを選ぶといい」
「いいのですか?」
それからはリラックスして、ダンもほっとしたようで、ゆっくりと歩いていた。
ハンナはジェイというビアンカが残した馬に乗って野原を駆けている。
本当に言っていた通り乗馬の腕はかなりあるようだ。
バーディナ伯爵領は治安の悪いベリード国と隣接しており国境の警備がかなり大変だという。
弟の任務を代行するために派遣した兵士たちからの報告だと、常に数十名の警備隊が必要で、何かあれば夜中でも馬で駆け付けなければならないというかなり過酷な体制のようだ。
物資が足りなくなると、ハンナも馬で駆け付けたりしていたようで、必然的に乗馬の技術が身についたのだろう。
もともと運動神経はいいタイプではあると思うが……。
ジェイという牝馬もなついているようだし馬の扱いもうまい。
ただ、気になるのはあの騎乗している姿だ。
背筋をピンとはって馬に乗る姿は美しいが、かなりあの大きな胸が目立つのだ。
腰が細いのでより一層大きく見えてしまう。
顔は地味なのに身体はかなり魅力的だと言わざるを得ない。
連れてきた兵士たちの視線がハンナの身体に纏わりついているように見えて腹が立つ。
ちっ。
心の中で舌打ちしながらジェニファーに話しかける。
「ジャックは乗馬がうまいな」
「はい。ジャックはお母様に似たんです」
そうか。この子たちは母親が乗馬をしているのをずっと窓から見ていたのか。
自分の母と違って、本当の子を産んだ母は子から遠ざけても外に出すのは許していたようだ。
それから遊んでしばらくしてから川べりで座って皆でサンドイッチを食べた。
ニアとダフネがお茶を水筒から入れて皆に配ってくれている。
「おいしい!」
ジャックがそういいながらパクパクほおばりジェニファーは食べながら野に咲く花々に興味を示している。
楽しいことをして体を動かしたあとはとても食事がうまいものだ。
しかも野外で食べるとなおさら。




