表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/83

真実2

図書館にある家系図はキングスフォード家で作成されたものだ。王家に提出されているものの写しである。王家に保管されているものを正としてその後その写しが各貴族のもとへ配られるのだ。

王家でも父が公爵家の息子ということになっていた。

だが、この話だとこのあと母はエイダン卿とともに王城に出向くはずで、その時にはキングスフォード公女と認められている。だが、実際の家系図ではただの夫人となってしまっているということは、母が分家からの養女だったと報告し、フランチェスコをどこか外で見つけた息子だという報告をしてふたりを結婚させたか何かだろう。


「ところで、フランチェスコ公爵はいったい誰なのでしょう?」


ハンナの眉根にしわがよる。

ハンナはよくこの顔をする。

とにかくいつも考え込んでいて、眉間によくしわを寄せていた。


このハンナの表情がなんというか……好きだ。


「俺が物心ついたときには祖父母は死んでいて父が公爵だった。母はほとんど部屋にこもりっきりだった。だから父がいったいどこから来たのかは知らない。俺は何も知らずに、訳のわからない男に伝統ある公爵家を乗っ取られていたのか?」


「そうなりますね」


そう考えると無性に腹が立ってきた。

素性すらわからない男に乗っ取られている?

そんなバカな話……。


「父は足が悪かった。祖父母の乗馬の事故の時に助けたのが自分なのだと得意気に話しているのを聞いたことがある。酒が入っているときで上機嫌だった。今思えば母が亡くなって少し経った頃だと思う」


「もしかしたら……」


ハンナはそれ以上言わなかったが、言いたいことはわかった。

自分もその可能性には気付いた。考えると吐き気がする。


「ああ。そうだな。母や祖父母は殺されていた可能性は否めない」


ハンナの顔がゆがんでいる。

こういう顔も好きだ。


ハンナの化粧気のないうすい顔の表情がくるくる変わるのがとても好きらしい。

こんなごく普通の顔をした女なのに。


「同じ時代に同じ神の加護者は二人と存在しない。そのことを母はわかっているのだろうか?」


ハンナも自分も加護持ちということをよく考えれば自分は二十七年後にはすでにこの世にいないということに気づくはずだ。それはすごく悲しいことに違いない。


「それはわたしも考えてみました。加護のことを詳しくご存知なのかどうか……。この文面だけではわからないですね……」


と、突然流れ込むかのように自分の脳裏にある小さい頃の出来事が思い浮かんだ。


「待ってくれ。そうだ。フィーネと執事は父と知り合いだった。ふたりがこそこそ話しているのを聞いたことがあるんだ。『バイロン様がフランに殺らせろっていったのよ。息子に殺しをさせるなんて最低よね。しかも好きな女をよ』『ああ。だがいつか殺らねばならない』って。あれは今思えば父が母を殺すという意味だったんだ。あの頃は殺るという隠語を知らなかった。だが今ならわかる。フランはフランチェスコ。父のことだろう?」


なぜ今まで忘れていたのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ