やはり謎だらけの日記帳
【六月二十五日 雨
あいにくの雨。エイダン公子様はプレストン王国の近衛騎士団にお勤めされている。今日は連れてきた十数名の剣士たちと練習したいというのでうちの裏庭で訓練をされたのを見学させてもらった。お父様は乗馬で事故をして以来、剣をふるわれなくなってしまったから剣をふるう人なんて何年ぶりに見ただろう。とてもかっこいいわ。ロズウェル王国と違ってプレストン王国では北側の隣国とのいざこざが多いから近衛騎士団の出動は多いらしいの。出征ばかりされたらわたし耐えられるかしら?て言ってもプロポーズされたわけでもないのだけど。
プロポーズ?きゃー……考えただけですごくわくわくするわ。
もうひとりのあなたへ
プリングの街はどうだったかしら?パストラルはどうだった?パスタ絶品だったでしょう?店は少し狭いけれどそれがまたいいのよね。エイダン様と近くになれるから。うふふ。そういえばあなたが時々書いてるウィルバートという方はわたしの父と同じ名だわ。キングスフォード公爵家にはその名が多いのよ。ウィルバート様はわたしとエイダン様の子どもだったりして……それだったらいいなぁ】
え?
父と同じ名?
午前中に見た家系図を思い出す。
あれには確かに女性の子どもはいなかった。フランチェスコ公爵しか。
それなのに父はまぎれもなく先々代の公爵の名だ。
ああ……。
何だろう?
すごく何か喉元に引っかかっているような違和感。
何かおかしい。
辻褄が合わない。
すっきりしない。
けれどわからないわ……。
【六月二十六日 晴
パストラルのパスタは最高!だったわ。また行きたいとウィルバート様に言ったの。彼はいつでも行こうと言ってくれた。お店にはフィリーズ公爵家の紋章があったわ。エイダン近衛騎士団長が今もよく利用されているらしいの。そのあと動物園に言ってから公園を散歩して最後にモーゼの丘に行った。すばらしい景色だったわ。まだ夕方だったけれど……あなたも昼間に行ってみて。昼間もすばらしい景色よ。一面の小麦畑の中央にキングスフォード公爵城が白くそびえたっていてすばらしいの。
もうひとりのあなたへ
ウィルバート様は現、キングスフォード公爵様よ。金髪に碧い瞳のとても美しいお顔をされている。ただ、遊び人なのが玉に傷ってところかしらね。またエイダン公子様とのその後、報告してね。あなたの日記を読むのが楽しくて仕方ないわ。そういえば調べてみたのだけど、過去と未来を行き来する交換日記をやりとりできるわたしたちはクロノスの加護を得ているそうよ。加護持ちだったなんて驚いちゃった】
今日は昼間に出かけたから夜は仕事をしないといけないから無理だとウィルバートに言われており、ゆったりと部屋で過ごしていた。
この女性は誰だろう。
あの家系図から抹殺されている?
もしかしてエイダン公子様と駆け落ちとかしちゃって公爵家が怒って……とか?
ということはエイダン公子様のことを調べればいいのだわ。
明日図書館で見てみよう。




