謎は深まるばかり
次の日は午前中の双子の授業中に大急ぎで図書館に行くと、いろんな本を漁り読んだ。
【時空を超えた交換日記の事例】をとにかく探していく。
変わった魔術だろうか?
だが魔術書を見てみたがそんなことは書いていない。
そもそも魔術は謎が多い上に、そこまで高度なものはないらしい。
それよりはこれ?
【時の神クロノス】
え?
【クロノスの加護を得た者は時空を超えた者との交流が可能。ある一定の条件を満たすと時空を超えた場所へ旅もできる。時をコントロールできる能力をも持つ。有名なものでは過去や未来の人物との交流をはかるための交換日記などが存在する。他にも交流方法はある。例をここに述べる。・・・・・・・・・・なお、この場合は過去の者と未来の者両方がクロノスの加護者であることが条件である。交流方法は本人たちにしかわからない】
なっ!
クロノスの加護?
ではあの女性も自分もクロノスの加護者だと?
あまりのことに頭が真っ白になる。
自分が加護者?加護持ち?
しかも時の神ですって?
通常加護持ちが生まれる時はその加護を使わねばならぬ何かが起きるから神がその能力を授けるのだと前に読んだ時に書いてあったではないか。
ということは自分がその加護を得たのは何か理由があるからなのだ。
あまりの衝撃にしばらくその場で固まってしまったが、こうしちゃいられない。昼から出かけるんだから速く済ませなければ……。次は歴史本よ。
キングスフォード公爵家の系図を見なければ……。
歴史本の一角へ行って探すとあった。
大きな古びた本。
開くとキングスフォード公爵家の家系図だ。
古くはロズウェル王国建国時からはっきりとした系図がある。
もともとは国王の弟君が公爵としてこの地に君臨したのか……。
で、ずっと下に辿っていって……。
これが今よね。
ウィルバート公爵。
その両親を見てみると
フランチェスコ公爵が父、そして母はクリスティアナと書かれていた。
フランチェスコ公爵の上に先々代の公爵の名前がある。
あら、先々代公爵の名はウィルバートというのね。
ウィルバートは先々代の公爵の名を受け継いでいる。
フランチェスコ公爵のもうひとりの妻のところにビアンカの名があり、その下に双子の名前が記されていた。
現代の系図のところがやけにごちゃごちゃしているように見えるのはなぜだろう?線が斜めになっていたりで少しおかしい。
そして更におかしなことにこの家系図を見ると、あの日記の主がいない。
年齢的にはフランチェスコ公爵の妹ということになる。十九歳と書いていたから今四十六歳のはず。ならばフランチェスコ公爵の妹か、先々代公爵のめちゃくちゃ年の離れた妹か……。
だが、そんな人いない。
はて?
訳が分からないと思いながらも、ウィルバートなら知っているかもしれないと思い直してまた夜に聞こうということで自分の中では今のところ落ち着けた。
今はあまり時間がないのだ。
とりあえず魔術の件と家系図を見るという目的は達成できたから良しとしよう。
思いがけない事実を発見してしまったが……。
そうこうしているうちにもう昼だ。
出かける準備をしなければならない。
今日はここまでにしてハンナは図書館を出た。




