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弱気な公爵閣下2


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「神に選ばれしあなたがそんなことを言ってどうするのですか?」


思わず声を大きくしてしまった。

ウィルバートは声に驚いたのか顔をあげてじっと見ている。


「神に選ばれた時点であなたは強いのです。その加護を……有益に使われているから今ロズウェル王国の威厳は世界に対して保たれているのです。それはあなたの力です」


ウィルバートが平定した諸外国とのいざこざは数知れない。

今の国王が頼りないという噂で、その国王を持ってしても国が保たれているのはウィルバートのおかげに他ならない。


「だが、俺は母の不義の子だ」


そうか。ウィルバートがすべてに対して適当な対応に見えるのは、そのせいなのか。

それを知っているから……。

自分を肯定できないのだわ。


だけど……。


「あなたが不義の子であろうと、あなたは優れた人です。それはアレスの加護のせいだけではありません」


ここに来てウィルバートとずっと話しているうちに気づいた。

この人は突然やってきた自分をなんだかんだここに置いてくれて双子の世話をやらせてくれている。

こちらが言ったことも嫌な顔ひとつせず真面目に聞いてくれるし、対応は紳士だ。


「あなたと出会ってまだ二週間ほどですが、あなたは弱くはないし、人間として真心のあるとても実直な人です」


「俺が?」


「ええ」


こくっと頷く。


「わたし、これでも人を見る目はあるのですよ。実家でも両親が騙されそうになった詐欺まがいの投資話はすべてわたしが撃退しましたから」


数年前にビアンカが出て行ってからすべてハンナに頼るようになった両親。

親友と呼んでいた人から持ちかけられた投資話を調べて撃退したのは自分だ。

父親の親友が親友でなくなったその時もその人に会ってすぐ、おかしいと思った。目が泳いでいたし、今までぴしっとしていた衣服の端がよれていたからだ。

そういう細かいところに気がつく。それは昔からだ。


「詐欺を?さすがだな」


「はい。ですからわたしが言うことは信じてください」


ウィルバートはふふっと笑った。


「まぁそうだな。ここに来た時も使用人がおかしいと気づいた人だ。人を見る目はあるのだろう」


「ええ」


「俺に真心がねぇ」


「真心があるから公爵家を双子に渡そうとされているのです。悪い人なら自分が公爵家に入るために双子を殺すはず。お母様の不義が許せないのも真面目だからですわ」


「ははは」


「自信をお持ちください」


「君って言う人は……」


ルルナルを飲んでいると、ずいっと手を持たれた。

ひっぱるように自分の顔に近づけられる。


「きゃ……」


ルルナルがこぼれそうになる。


「ますます欲しくなるな。どうだ?今日はここに泊まっていくか?」


「け、結構です」


結局今日は何を話したのかわからない。


「失礼します」


と立ち上がろうとしたらウィルバートはくすっと笑った。


「明日昼から双子と一緒に出掛けないか?」


「え?」


「俺の予定が空いた。プリングの街を案内しよう」


「いいのですか?」


「たまにはのんびり過ごすのもいいだろう?」


「はい。双子は喜びますわ」


「どうだかな」


思いがけない提案だ。

楽しい外出になるだろう。

お読みいただきありがとうございます。

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