ワインで食事
結局双子はそのまま寝てしまったので、今日はウィルバートとハンナふたりだけのディナーとなった。
テーブルの斜め向かいにすまして座るウィルバートを見ると昼間に見た彼の覇気に包まれた姿が信じられない気がする。
あまりに覇気にあふれていた。
その姿はまるで……。
「どうした?食べないのか?」
「食べます」
気もそぞろになっていたようだ。
あわててナイフとフォークを手に取り料理を口に運んでいく。
最近、昼間は双子と一緒にいるので、おなかがすくのかディナーはしっかり食べている。
今日も食べておかないと明日体がもたない。
パクパクと口に運んでいたら、ウィルバートから「くっくっくっ」と笑いが漏れた。
「なんですか?」
笑われているのってわたしよね?
「それでこそ君だな」
「は?」
「君の食べっぷりは健在でよかったよ」
そのまままだ笑っている。
どうやら大食いと言いたいらしい。
レディにあるまじき食欲だと。
まぁ昔からよく言われた。
食欲旺盛な令嬢と。
令嬢とは思えないほど食べると。
舞踏会やパーティに何度か出たことはあるけれど、ダンスは最初だけで後は料理を食べていた記憶しかない。
だって、おいしいから。
ここにきた初日も食事がおいしすぎてそれだけで来てよかったと思ったものだ。
「双子と一緒にいるとおなかが減るんです。ほっそりしていては子育てはできませんから」
きっと顔が赤くなっていることだろう。
だけど、それでもフォークとナイフは動かしながら答えると、こらえきれないという風にウィルバートはナイフとフォークを置いて「はははは」と笑い出すではないか?
「君は十分ほっそりしているぞ」
ほっそりというか、腰は細い自信がある。
ボンネットなどの帽子をかぶっていた場合は昔から後ろ姿はよくビアンカと間違えられた。
胸もそれなりにあるし、あの美女で有名なビアンカとスタイルは相違ないのだ。
ただ、雰囲気と顔が地味なのだ。
それにいくら食べても太らないという便利な体でもある。
「ほっそりしているのは生まれつきです。あまり食べても太らないみたいで……」
「便利な体だな。令嬢は皆どうやって痩せようかと苦労しているというのに」
相変わらず笑いながらウィルバートはまたフォークとナイフを持ち、ひらひらと魚を食べていく。
「まぁ。そうですね」
「ところで、ハンナ嬢。今日は子どもがいないこともあるし、ワインでもどうだ?」
「え?」
ワイン……。
ここに来てからアルコールは一滴も飲んでいないことに今更気づいた。
「そうですね。では少し」
別にアルコールが飲めないわけではない。実家でも毎日というわけではないが時々飲んでいたのだから。
ウィルバートは給仕の者に命じて赤ワインを持って来させると、何やら耳打ちしている。
そのあと運ばれてきたワインは渋みがキツくない飲みやすいもので少しだけお肉料理と一緒に飲んだ。
「おいしい」




